『朝起きたらサキュバスになっていました』

作:月華

序章

夏も近づき、政木三知雄は扇風機を探し出そうと、押入の奥へと体を突っ込んでいた。
扇風機はすぐに見つかったのだが、さらに奥の方に、小さな木製の箱が置かれているのに気付いた。
(なんだ、これ?)
三知雄は箱へと手を伸ばす。
さほど重たくない箱を持ち上げると、中で、ごとり、と何かが揺れたような音がした。
三知雄は扇風機をどけてから、その箱を物置から取りだした。
桐で出来た両手で持つのにちょうど良いサイズの箱には、筆でしたためられた文字が書かれた、お札のようなものが貼り付けられている。
ただ、さっき物置から取りだした時にか、少し破れ目が入っているのだった。
彼は気にせずに箱の蓋を開けた。
その途端、冷気のようなものを感じた気がしたが、気のせいだと思って、三知雄は箱の中を覗いた。
そこには、一体の像が入っているのだった。
最初に目に付いたのは、大きく広がった、二枚の羽根だった。
鳥の置物か、と思ってみたのだが、羽根が生えているのは、二本の足で立つ、人間の背中からだった。
羽根の部分に触れないようにと、三知雄は像の胴の部分へと手をやった。
触ってみると、金属のような冷たい手触りがした。
だが持ち上げてみると、金属ほどには重たくなく、むしろ軽いと言った方が良かった。
持ち上げて部屋の灯りに照らしてみて、その像が女性であることに気付いた。胸の部分は前へとせり出し、腰はくびれ、尻は持ち上がるようにして、それぞれが持つべき理想の形を作っている。
その体は、きついタイツのようなものに包まれていて、腕や太ももはさらけ出されている。
尻の部分からは、細い尻尾が伸びている。
まじまじと見つめてみると、その像は良く造られていることに気付いた。
灰色一色のため、すぐには気が付かなかったのだが、顔には輪郭だけでなく、目と鼻、口が彫られている。
髪の毛は腰まで伸び、先端の一本一本までが造形されているようだった。
閉じられた目は切れ長で、今にも瞼を開けてこちらを見つめて来そうな気がしてくる。
(これは……まるでサキュバスって奴だな)
そう思ってじっくりと見つめているうちに、三知雄は妙な興奮を覚えた。
同級生の男子高校生並の性欲を持つ三知雄であるが、フィギアに萌えるような趣味は無い。
それでも、サキュバスの像を持ちながら、その顔つきや体のくびれを見つめていると、だんだんと自分の意識が惹きつけられ、体が熱くなっていくのが感じられる。
その変化は、体の一部へと現れた。
あぐらを掻いている中心の股間にあるものが、だんだんと大きくなってくるのだった。
(あっ……)
もうその部分は痛くなるほどに勃起していて、びくん、びくん、とズボンの中で脈打っているのが感じられる。
三知雄は我知らぬうちに、ズボンとパンツを下ろした。
仮性包茎のそれは、心臓の鼓動に合わせて、細かい上下運動を繰り返していた。
まだ昼間だと言うのに、三知雄は股間へと手をやった。
それは、いつも以上に固く、熱かった。
添えた手を股間の根本へと近づけるようにして、被った皮を剥く。
(ん……)
すっかりエラを張った雁首が姿を現す。
三知雄は、指先をその雁首へと触れた。
「ひゃふっ!」
その敏感さに、三知雄は驚きの声を上げた。
これまで、毎晩のようにオナニーをしてきたが、こんなに感じるようになっているのは初めてのことだった。
まるで、初めてオナニーをした時のような、過敏な刺激がペニスから伝わってくる。
指先を離すと、逆に強烈な物足りなさが三知雄を襲う。
(はあ、はあ、したい……オナニー、したい……)
堪らない気持ちのままに、三知雄は自らのものを擦り始めた。
その時、さっき手にしたサキュバスの像がちらりと目に入った。
すると、彼の勃起はますます大きくなるのだった。
(これの、せいなのか?)
三知雄はサキュバスの像を正面に置き、ペニスの先をそれへ向けるようにして、しこり続けた。
一擦りする度に、快感はだんだんと膨らんでいく。
いつもなら、すでに射精してしまいそうなほどに強烈になっても、三知雄のものはまだ爆発には至らず、さらにと手淫を続けていく。
激しく手を動かしているうちに、三知雄はペニスから、自らの指先とは違った感触が伝わってきているような気がした。
まるで、指先が増えて、三知雄の指先とは別に、ペニスを撫でているかのようだった。
女の指先のように、繊細で、柔らかい感じ。
試しに、三知雄は指先を股間から離してみた。
「あっ!」
触れるものは何も無いにも関わらず、三知雄のものには、何かが触れてきて、撫で回してくるのだった。
「ああっ、あはぁ」
未知の刺激への驚きとそれを上回る興奮から、三知雄はのけぞるようにして、両手を後ろへとつき、腰を突き上げる。
持ち上げられたペニスへと、さらに柔らかい刺激が湧き起こる。
まだそんな経験は無いが、ねっとりとした舌に舐められているような、そんな感じだった。
「も、もっと……」
異常な経験であるが、そんなことを感じさせないほどに、その快感は強烈なものだった。
三知雄の呻き声に答えるように、ペニスへの刺激はまたしても変わった。
亀頭の先端へと、柔らかく、ねっとりと湿ったものが、当たってくるような感じがした。
「ああ……」
触れてきたものは左右へと広がり、亀頭から雁首へと、三知雄のものを締め付けてくる。
その感触は止まることなく、ついには陰茎の根本まで伝わってきた。
三知雄のペニスが、柔らかく、熱いものに包み込まれている感じがする。
彼は、自らのペニスを見つめた。
そこには、勃起して上を向いたものがあるだけで、自らの指先を含めて、触れているものは何もない。
ただその向こうには、サキュバスの像があるだけだった。
それにも関わらず、三知雄のものは、何かに包み込まれているような感じがするのだった。
「あっ!」
三知雄はまたしても叫びの声を上げた。
根本まで包み込んでいたものが、ゆっくりと持ち上がっていくのだが感じられるのだった。
ペニスを見ると、包皮の部分が引っ張られるように動き、せり出した雁首が、わずかにめくれるように形を変える。
そして、柔らかいものが雁首を抜けようかとした時に、
「あぁ……」
再び、三知雄のペニスを包み込むように、こちらへと向かってくるのだった。
「ああ、気持ち、良い……」
見えないものにペニスを犯されながら、三知雄は歓喜の呻き声を上げる。
その快感は、オナニーとは比べ物にならないぐらいだった。
ペニス全体が包み込まれる度に、射精と同じような快感が湧き起こる。
それが繰り返される毎に、急速に快感は高まっていく。
もう、限界だった。
射精するかどうか、そんな問題ではない。
これ以上に快感が高まることで、失神してしまうのではないか、そんな恐怖すら感じさせられるほどの快感だった。
股間の根本が熱くなると同時に、ペニス全体が、きゅぅ、と締め付けられた。
「ああ、出るぅっ!」
びゅくるぅっっっ、びゅくっ! びゅくっ!
叫び声と同時に、三知雄は盛大に射精をしていた。
あまりの快感に目を閉じてしまっていたが、ペニスから伝わってくる感覚は、これまでに射精したことのない量のように感じられた。
「ああ、まだ……」
目に見えないペニスへの刺激は、まだ続いていた。まるで、三知雄から精液を一滴残らず吸い出そうとするように、根本から亀頭へと、チューブを絞るような動きが繰り返されるのだった。
「あはぁ……はぁ、はぁ……」
まるで、体中から精液のすべてを放出してしまったような脱力感が三知雄を襲う。
まだ夢見心地のままに、彼はゆっくりと目を開いた。
そこにあったのは、どろりとした白い大量の精液を浴びた、サキュバスの像だった。
「や、やばい」
三知雄は下半身をむき出したままに、慌ててティッシュを取りに行った。今居た部屋にはティッシュは無く、隣の部屋でどうにか見つけて、箱から何枚か取りだしながら、元の部屋へと戻っていく。
手にしたティッシュで像に掛けてしまった精液を拭き取ろうとした時、
「あれ?」
サキュバスの像は、箱から取りだした時のままに、灰色一色で、その姿をさらけ出していて、三知雄が思わず掛けてしまったはずの精液は、どこにも見られなかった。
像から畳へと垂れ落ちたのかと思って下を見てみたのだが、像を持ち上げても、精液の姿も匂いも、どこにも無かった。
(勘違い、だったのか?)
そう思おうとしたものの、股間にはさっきした射精の余韻がまだ残っている。
(何だったんだ?)
ついさっきの、目に見えぬ感覚から来る快感。そして射精したはずなのに、姿を消した精液。
すべては、このサキュバスの像が原因なような気がしてきた。
そう思った三知雄は、像を手にして、箱へと戻した。
その時、さっき持った時よりも、どことなく温もりが感じられるようになっていたのを、三知雄は気付くことは無かった。
箱を押し入れへと戻し、元々探していたもの――扇風機を取りだして、その風に当たりつつ漫画を読んで、その日一日は終わったのだった。

第一章

翌朝、布団の中で目覚めた三知雄は、体に違和感を感じた。
どうも胸元に、掛け布団とは違う、柔らかくてまったりとしたものが張り付いていて、彼の胸元を左右へと引っ張るのだった。
(何だ?)
三知雄はゆっくりと、目覚めたばかりの割には軽く感じられる体を起こす。
すると、さっきまで胸元を左右へと引っ張っていたものが、今度は肩から胸元の部分を、下へと引っ張っていくのだった。
三知雄は、その理由を確かめようと、胸元を見た。
はだけたパジャマの中心には、柔らかくて肌色の膨らみが二つあり、真ん中で寄り添って、切れ目を作り上げているのだった。
どこかで見たような形だな、と思ってから、三知雄はパジャマの胸元が、大きく膨らんで、男物のパジャマをきつくしているのが感じた。
パジャマがきつく感じられるのはそれだけではない。背中の当たりに何か大きなものが張り付いているようで、パジャマが前後から広げられているのだ。
三知雄は慌ててパジャマのボタンを外した。
「うわっ!」
胸元に張り付いている、肌色をした二つの膨らみ――それは紛れもなく、おっぱいだった。
写真やインターネットでは見たことがあるが、実際に生では見たことがなく、どうしても見たいと思っていたもの、それが今や、彼の胸元にあるのだった。
しかも、ご丁寧なことに、その先端には、ピンク色の乳首が、左右を向くようにして、添えられているのだった。
「これって……何なんだ?」
呟いた自らの声に、三知雄はまたしても驚いた。
ややハスキーな感じはするものの、その声は自分のものではなく、甲高い女性のものだったからだ。
「あー、あー」
再び声を出してみる。やはり、さっき出したのと同じ、女性のものだった。
発声練習をするように、喉元を触ってみると、男にはあるはずの喉仏が見つからなかった。ただ、声を出す度に、喉の震えは伝わってきて、耳に届く女性の声は、自分が出していることを思い知らされる。
声を出そうと顔を持ち上げたことで、胸元からの引っ張りが、さっきよりも強く感じられるようになっていた。
三知雄は再び視線を胸元へとやった。
「これってやっぱり……」
体の変化を認めたくないままに、おっぱいとは声に出さずに、彼はゆっくりと右手を胸元へと当てようとした。
視線に入ってきた手のひらに添えられた指先は、男の無骨なものとは違って、やけにほっそりとしていた。その先には、手のひら側からでも分かるほどに、長い爪が伸びているのが見えた。
細くなっているのは指先だけでない。二の腕から手首までの腕の部分もほっそりとしており、繊細、という言葉がふさわしいぐらいにほっそりとしており、しかもその色は、抜けるように白い。
三知雄は視界に入ってきた右腕を、閉じたり握ったりしてみた。
指先は、彼の思い通りに動く。力強く握ると、やけに伸びた長い爪が、手のひらへと食い込むようになる。
二度、三度とそれを繰り返してから、三知雄は手のひらを、はだけられ、前へとせり出した胸元へと、ゆっくりと添えた。
ふよぉん……
「うわっ!」
手のひらには、これまでに感じたことのない柔らかくきめの細かい手触りが、同時に胸元からは、柔らかくなった体の一部が、横へねじられるような感じがしたのだった。
慌てて手のひらを離すと同時に、押されていた乳房が元の形へと戻り、振り子のような揺れを、三知雄へと伝えてくる。
彼はもう一度、今度はさっき以上にゆっくりと、手のひらを再び乳房へと当てた。
「柔らかい……」
手のひらに伝わってくる手触りは、まるでくずれてしまのではないかと思えるほどに柔らかく、そして、吸い付くようにきめ細かかった。
女の子のおっぱいに触るって、こんな感じなのだろうか、と男心にエッチなことを考えつつ、同時にせり出した胸元がくすぐられるように触られているのが感じられる。
体を触られること自体は目新しい感覚ではないはずなのに、元々は真っ平らな胸元の先に当たる、何もなかった部分が触られるというのは不思議な感覚だった。
体の一部が膨らんだような――実際に乳房で膨らんでいるのだが――そんな感じだった。
それに、触られている部分も、いつも以上に敏感に感じられる。オナニーの時にペニスを触るような快感こそ無いものの、その過敏さは、男が胸元を触るのとは比べ物にならないぐらいだった。
ぴたりと乳房に触れつつ、改めて自らの胸元を眺めてみると、それがずいぶんと大きなことに気付く。
手が小さくなっていることもあるのだろうが、乳房の脇に手を添えても、その端は、まだ乳首には届いていないのだ。
脇乳の部分に、手のひらが収まってしまう――ずいぶんと大きなおっぱいだな、と三知雄は思う。
手のひらのわずか先には、ピンク色に尖った乳首が見える。
作りは男の乳首と変わらないはずなのに、おっぱいの先端にあるのを見ると、やはり男と女では違うな、と思うし、乳輪の大きさは、男の時よりも大きくなっている。
三知雄は手を触れたまま、ゆっくりゆっくりと乳首へと近づけていく。
まるで痴漢でもしているような罪悪感が少し感じられたが、自分の体だから良いんだと自らに言い聞かせつつ、手のひらを進ませる。
小指の脇腹が、尖った乳首へと触れた。
「ん……っ」
同時に、びくりとした刺激が乳首から伝わってきた。
途端、全身がぞわりと震える。
さっきまでの乳房の敏感な刺激とは質が違うものだった。
快感、だった。
それも、男とは違う、小さな一点が刺激されただけで、全身に震えが起こるような、過敏さから来る快感だった。
「も、もう一度……」
今度は、人差し指の先端を、乳首へと当ててみた。
乳房とは違う、こりこりとした感触と共に、胸元の先端からは、まさに快感のスイッチを押されたかのような刺激が、三知雄の全身を通り抜ける。
それと同時に、三知雄の背中では、何かがもぞもぞと動くような感じがした。
パジャマは前をはだけているので、せり出した乳房からのひっぱりは無くなっているのだが、背中の部分が妙に引っ張られているような感じは続いている。
なんだろうか、と三知雄はパジャマの上を脱ぎ捨てた。
途端、ばさりと音がして、三知雄の視界の脇に、黒いものが広がった。
振り向くと、底には目の高さまで広がった、何かがあった。
とにかく分からないままに右手を伸ばして、それを掴んでみた。
「うわっ」
手のひらに、人間の肌を固くしたような手触りが伝わってくるのと同時に、背中から張り出した部分が、触られる感触がした。
背中から張り出したもの、これもどうやら自分の体の一部らしい。
後ろにあるものを見定めようと、背中に意識を集中すると、それは、ばさり、と広がった。
目線の高さを超えて、頭上ぐらいまで伸びたものは、黒い動物の肌を思わせる色合いだった。
その形は先端が尖っていて、幕のようなものが下へと垂れている。
「羽根?」
その形から想像できるものを、三知雄は呟いた。
それにしても、と思う。
どうして自分の背中に羽根なんかが生えているのだろう。
まじまじと見つめてみると、そこには羽毛は無く、どちらかと言えばコウモリを思わせるものだった。
(羽根って言えば……?)
三知雄は、昨日見つけた、サキュバスの像を思いだした。あれにも確か、これと同じような羽根が生えていたはずだ。
それと何か関係があるのだろうか、と思った所で、彼は一つのことに思い当たった。
人間、ないはずのものがあることに気を取られていると、あるはずのものが無いのに気が付かないでいるものだ。
三知雄は下半身に被さった布団をまくり上げ、股間を見つめようとした。
だが、せり出した乳房によって、その視界は隠されてしまっていた。
身を乗り出そうとすると、それに合わせて乳房も前へと垂れて、重心が前へ前へとずれるのが感じられる。
三知雄は恐る恐る、股間へと手を伸ばしていった。
意識が下半身に向かうと、それまで乳房と羽根のことで一杯だった感覚が、そちらへと向かう。
男ならあるはずの朝立ちの感じはなく、股間の前部分には、何も感じられない。反対に、尻の方は広がった感じがして、パジャマのズボンを後ろへと引っ張っている。
そんなことを気にしながらも、三知雄の手は、股間へと伸びる。オナニーの時に触り慣れて覚えているはずの場所に手のひらがたどり着いても、あるべきものの手触りはなかった。
そして、何も無いのに驚きながらもさらに手を進めて行って、ようやく、パジャマの手触りにたどり着いたのだった。
股間からは、あるべきはずの感触が無い。
当てた手のひらを、三知雄はゆっくりと動かしてみた。
ズボンとトランクス越しからは、そこにはあるべきものが無いことしか感じられない……と思った瞬間に、
「あうっ!」
突然の強い痛みに、三知雄は驚きの声を上げる。
まるで針で体を刺してしまったような痛みが、股間から伝わってきたのだった。
三知雄は立ち上がり、ズボンとトランクスを一気に脱ごうとした。
前の部分はするりと脱げ落ちようとしたのだが、後ろの方がやけにひっかかる。
ふと、おっぱいが膨らんだのだから、お尻も大きくなったのかな、と思い当たったのだが、それにしてもやけに脱ぎづらい。
ようやく脱ぎ終えた三知雄は、尾てい骨の部分から、何かが伸びているのが感じられるのだった。
棒立ちになった三知雄は、慌てて尻の部分を振り返った。黒い羽根が視界を遮るのだが、そんな中で、彼は尾てい骨の部分から伸びているものを見つけた。
黒くて長く、その先端は膨らんでいて、どことなく皮の剥けた亀頭を思い出させるものだった。
「尻尾!?」
三知雄は慌てて、それが本当に自分の体から生えているものなのか、確かめようとした。
手を伸ばし、尾てい骨からぶら下がっているものを掴んでみる。
「うわっ!」
手のひらからだけでなく、触られた方の尻尾からも、感触が伝わってくる。
しかも、触られた方の感触には、良く覚えがあった。
ちょうど、ペニスを触った時に伝わってくる感触と同じなのだ。
三知雄は手を離して、尻尾へと意識をやった。
すると、まるで腕を動かすのと同じように、自在に尻尾が操れるのを知ったのだった。
持ち上げようと思えば上へと向くし、左右に振ろうと思えばそのように揺れる。
一体、今の自分の体はどうなっているのだろうか、と三知雄は立ちあがって、部屋に置かれている姿見へと駆け寄った。
そこに映っていたのは、驚きの表情を浮かべた、女性の姿だった。
その表情は紛れもなく自分のものだった。しかしその姿は、まるっきり自分のものではなかった。
ピンク色の髪の毛、切れ長の瞳、整った鼻筋、ぽってりとした唇、体のラインをはみ出して左右にせり出した乳房、そして何もなく、ピンク色の陰毛が生えた股間。
それだけでは女性の姿にすぎないのだが、その背後には、左右の上へと伸びた黒い羽根、両脚の隙間から見える、垂れ下がった黒い尻尾。
三知雄は背中を姿見へと向けつつ、首を思いっきり鏡へと向けた。
最初に目に飛び込んできたのは、人間にはあるはずのない、黒い羽根と尻尾だった。
肩甲骨のある部分から、左右へとコウモリを思わせる黒い羽根が生えていて、尾てい骨の部分からは、同じく黒い尻尾が生えている。
試しにその部分へと意識を集中してみると、羽根は閉じたようになり、尻尾は左右へと揺れた。
両手でそれぞれを触ってみると、やはりさっきと同じように、自分の体の一部である感触が伝わってくる。
三知雄は改めて、正面から姿見を眺めた。
(これって、やっぱり昨日のサキュバスの像と、何か関係あるのか?)
そう思って見てみると、その姿は昨日の像にそっくりだった。
表情こそ三知雄の驚きが混じっているものの、大人びた、というよりかは妖艶とも言えるその顔かたち、そしてプロポーションは、まさに男を誘うサキュバスの姿そのものだった。
(そういえば、あそこを良く見ていなかったけれどやっぱり……)
三知雄は両脚を開いて、頭をせり出して股間を覗き込んだ。
そこには、あるべきはずの男のものは無い。
ピンク色の茂みがあるだけだった。
インターネットで無修正画像は見たことがあるが、生では見たことのない。
それが、三知雄の手の届く場所、それどころか、三知雄の股間にあるのだ。
ごくり、と唾を飲んでから、三知雄は指先で股間を左右に広げつつ、鏡へとその部分を突きだした。
すると、直接見た時には茂みのせいで見えなかった、割れ目の部分がわずかに見えてきたのだった。
(これが、女の人の、生のアソコ……)
背中には羽根と尻尾が生えているので、普通の女の人のものかどうかは分からないものの、三知雄にとっては、初めて見る実物だった。
割れ目の部分をもっとまじまじと見たいのだが、立ったまま見るのは難しいのか、むしろはきりと見えないことのもどかしさが募ってくる。
(もっと足を広げた方が……)
そんな思いを実行に移そうとすると、
「ウフフ、だいぶ私の体に興味があるみたいね」
耳元に、囁くような女の声が聞こえてきた。
「だ、誰?」
そう思って声がした方を振り返ると、肩の所へと、昨日見たのと同じ、サキュバスの像が座っているのだった。
しかしあの時のように灰色一色ではなく、髪の毛はピンク色で、白い肌に真っ赤なタイツで身を包んでいるのだった。
その顔立ちは、さっきまで鏡に映っていた、変わり果てた三知雄の姿と、まるっきり同じだった。
「ちゃんと私の姿が見えるようね」
肩に乗った、小さなサキュバスは、口を開いて、身を乗り出してきた。
「だ、誰?」
三知雄は、肩に乗っているサキュバスに向かって、同じ言葉を繰り返した。
「私、私はサキュバスのミサよ」
「やっぱり、サキュバスなんだ。もしかして、昨日のあの像と何か関係があるの?」
「察しが良いわね」
ミサと名乗ったサキュバスは、足を組み替えて、膝の上へと両手をやった。
「そうよ。私は昔、ヨーロッパから日本にやってきたサキュバスなんだけれど、ある僧侶に封じ込められて、像にさせられていたの。それが、昨日ようやく復活できたのよ」
そこまで言って、ミサは三知雄の耳元へと口を寄せて、
「あなたの、精液でね」
そう付け加えた。
「お、俺の……」
三知雄は昨日のことを思いだしていた。サキュバスの像に興奮して精液を掛けてしまったものの、その跡形が消えていたことから、何か勘違いではないかと思っていたのだが、紛れもない事実なのだ、と実感していた。
「俺、サキュバスになっちゃったのか?」
自分が自分で無くなってしまったことへの困惑から、三知雄は震える声で、肩に座るミサへと問い掛ける。
「半分正解と言ったところね。確かに、あなたの今の体は私と同じだけれど、完全にサキュバスになった訳ではないわ。あなたには、私が復活するために、代わりに精気を集めてもらいたいのよ。それが終わったら、ちゃんとした元の体に戻れるわ」
「精気を集める? 元の体に戻れる?」
良く分からない言葉を、三知雄は聞いたままに繰り返す。
「今のところは、半人半サキュバスと言った所よ。とりあえずは元の姿に戻れるから、そう念じてみなさい」
「戻れる? 元の体に?」
「ええ、そうよ。男の時だった姿をイメージするの。そうすれば元に戻れるから」
「ほ、本当に?」
言われるままに、三知雄は目を閉じて自分の体を想像した。
すると、背が伸びる一方で、肩から胸元に掛かっていた乳房の重みが無くなり、股間からは慣れたものが生えてきて、背中からは羽根と尻尾が体へと吸い込まれていくのが感じられるのだった。
再び目を開けると、正面の姿見には、全裸になって茫然と立ちつくす三知雄自身の姿があったのだった。
上から下まで見つめてみても、完全に自分の姿だ。さっきまでのことが夢だったかのようだ。
「ほら、ちゃんと戻れるでしょ」
耳元から再びさっきの声がした。鏡に映る自分の肩の辺りを見たのだが、さっきまでいたはずのサキュバスの姿は無い。
「あ、私の姿は鏡には映らないから。それに、あなた以外の人にも見えないわよ」
再び声がする方を見ると、さっきまでと同じように、ピンク色の髪の毛をしたミサが、肩の所へと座っている。
「それじゃあ、あなたには、私の代わりに精気を集めてもらうからね」
「ちょっと待って。それってどういうこと?」
ミサは肩をすくめた。
「私は今、あなたに取り憑いている状態なの。その私が実体化するために、あなたには男の精を集めてもらうわ。ノルマは1日1回以上。1週間続ければ、私は実体化できるわ」
「どうして俺がそんなことしなければならないのさ」
当然の不満を三知雄は口にする。
「まあ、サキュバスに呪われたようなものね」
「そうは言っても男の精気を集めるなんて……」
おそらくは、さっきなったサキュバスの体になって男の精気を集めさせられるのだろうが、男の精を集めるということは、当然男とセックスしなければいけない訳で。さすがに三知雄には抵抗が感じられた。
「それってやっぱり、男とセックスするってことなんだろ?」
困った顔をする三知雄をあざ笑うかのようにミサは笑みを浮かべてから、
「別に集めなければそれでも良いわよ。その代わり、1日1回以上男の精を集めなければ、あなたは私の体に精を吸い尽くされて死ぬのよ」
「し、死ぬ!?」
「ええ、そうよ。それで私は元の像へと逆戻り。またあなたみたいに、像になった私を見て興奮する男を待つことになるの」
「死ぬなんてやだよ」
「言ったでしょ。サキュバスの呪いみたいなものって」
再びミサは、肩をすくめた。
男相手にセックスするのは嫌だが、死ぬのはもっと嫌だ。
しばらく悩んだ末に、三知雄は頷いた。
「わかったよ。やれば良いんだろ。でも、さっきみたいなあんな格好で街を出歩いたら、すぐに見つかっちゃうよ。それに、羽根の生えた女なんて見たらびっくりするだろうし」
「ああ、大丈夫。それなら心配いらないわ。サキュバスにはね、変身能力があって、狙う相手が理想とする姿に変身できるから」
「え、さっきの姿になれるだけじゃないの?」
「そうよ。狙った相手の意識を見抜いて、その通りに変身できるの。熟女からロリまで、思うままよ」
「でも、男と寝るのはちょっと……」
「まあ、それは仕方がないわ。最初は慣れないかもしれなけれど。でも、男なんかとは比べ物にならないわよ……」
ミサは、大事な秘密をそっと囁くかのようにして三知雄の耳元へと口を近づけて、
「……女の体の気持ち良さは」
告げられた言葉に、三知雄はごくりと唾を飲む。
確かに、それは興味があった。同級生との猥談で、女の体の方が男よりも気持ち良いと聞いたことがある。その時は、どうやって比べたんだと思ったものの、AVとかを見て、女優が喘ぎ声を上げているのを見ると、やっぱりそうなのかな、とも思ったりもしていた。
「それに、サキュバスの体は、人間の女よりも、もっと気持ち良いわよ」
だめ押しをするように、ミサが囁きかけてくる。
「え、そうなの?」
「そうよ。一度サキュバスの体が知る快感を覚えたら、もう人間の体じゃ満足できないぐらいよ。そういう体験が毎日できるのよ。むしろ良い体験だと思わない?」
「そ、そうだよね。良い体験だと思えば良いんだよね」
自分自身に言い聞かせるように、三知雄はこくりと頷いた。
その時、ミサがにやりと笑ったことに、彼は気が付かなかった。

制服に着替えて、両親や兄と共に朝食を取ってから、三知雄は学校へと向かった。今日は月曜日。一週間の始まりだ。いつもなら週末の疲れが残り、うざったい感じで学校へ向かうのだが、今日は違う。
肩には小さなミサが座っている。
「本当に、他の人には気付かれないの?」
「ええ、大丈夫よ。見てなさい」
学校へ近づく度に、同じ制服を来た生徒と同じ方向へ歩く。学年が違うため、特に挨拶はしないが、三知雄の肩に乗っているミサの姿に気付いているような生徒は一人もいない。
「あ、政木君。おはよう」
後ろから挨拶をしてきたのは、同級生の菅野裕也だった。成績は優秀な方だが、真面目な分だけあって、友好関係はそう広くない。ただ、どことなく馬が合うのか、三知雄とは友人関係となっている。
「あ、菅野か。おはよう。ところで今日の俺、どこか違って見えないか?」
言いつつ、ミサが乗っている方の右肩をさりげなく前へとせり出させるのだが、菅野は気付く様子も無い。
掛けている眼鏡を右手でずらすように持ち上げて、まじまじとこちらの方を見てくるのだが、ミサには気が付かないようだ。
「いつもと変わらないけれど……ヘアスタイルでも変えたとかしたの?」
「いや、違わなければいいんだけれど」
「言ったでしょ。他の人には見えないって」
「ああ、そうみたいだな」
ミサが言ってくるのに、三知雄は小さく頷いた。
三知雄は小声で答えたせいか、そんなやりとりすら、菅野の気にはとまらなかったようだ。
それから、週末の出来事を話しつつ、二人は教室へと向かう。さすがに、サキュバスになったなんて話は出来ずに、漫画を見て過ごしたと無難なことを言っただけだが。
それぞれの席についたところで、ミサが囁いてきた。
「さっきの子、良いわね」
「え、それって……?」
「童貞だし、良い精を持っているわ。初日の今日はあの子の精を吸いましょう」
「ってことは、俺、菅野とセックスするのか?」
三知雄の頭に色々なことが浮かぶ。まさか初体験の相手が、男、それも友人の菅野だとは……
そんなやりとりがされているうちに、ホームルームが始まった。
「ちょっと彼の頭の中を覗いてくるわね」
言うなりミサは、三知雄の肩から離れて、教室の中をふわりと飛んだ。
先生の話が響く教室に、小さなサキュバスが飛んでいる姿は、かなり違和感を覚えるのだが、それに気付く様子を見せる生徒は一人もいない。
そうしているうちに、ミサは菅野の頭へと両手を差し出して、探るような仕草をした。
ホームルームが終わり、先生が教室を去った所で、ミサは菅野の所から、三知雄の肩へと戻ってきた。
「彼、どうやら生徒会長の青山って子が好きみたいね」
「え、青山先輩を?」
「あなたも知っているの?」
「知っているも何も、この学校で青山さんを知らない男子はいないってぐらいさ」
フルネームは青山優子。三知雄らとは一学年上で、女子ながら生徒会長を務める人望と優秀さ、そして清純さを持っていて、学校一評判の女の子だ。実は三知雄も、好きとまではいかないまでも、彼女に対しては好感を持っているし、出来れば会話ぐらいはしたいと思っていたりする。
彼女にしたいと広言している男子も多ければ、そっと影から慕っている人も多い。同性の女子にも人気があるぐらいだ。
それにしても菅野が青山さんを好きだなんて知らなかったな」
そう言われてみると、菅野とは、誰が好きかなんて話をした時には、『僕は別に……』と言ってお茶を濁した感じだった。
まあ、菅野の性格からすれば、片想いということがあっても不思議ではない。
そうか、青山先輩か、と思った所で、三知雄は今朝にミサが言った言葉を思いだした。
「ってことは、俺が青山先輩になるのか?」
三知雄自身が憧れていた青山先輩になるのかと思うと、不思議な感じがするし、そんなことが出来るのか、とも思えてくる。
「ええ、そうよ。放課後にでも校舎裏に誘い出して、そのままやっちゃいなさいよ」
「改めて聞くけれど、俺が本当に青山先輩の姿になれるのか?」
「そうよ。なんなら、今ここで試してみる?」
もしもミサの言うことが本当ならば、三知雄は教室の中で、いきなり青山先輩の姿になってしまうことになる。それは困ったことだ。
「それはさすがにまずいって」
「でも、信じていないみたいね。それじゃあ、1時限目が終わったら、どこか人の見ていない所で変身してみるから」
本当なのかな、という思いのままに、1時限目はあっと言う間に終わった。
「それじゃあ、どこか人の居ない所に案内して」
言われた三知雄は、まだ人気の無い部室棟へ向かう通路の脇へと向かった。
左右を見渡してみても、人の姿は無い。
「ここで良いぜ」
「それじゃあいくわよ」
ミサは三知雄の肩から離れて宙に浮かび、彼の廻りをぐるりと一回りした。
すると、今朝、サキュバスの姿から、自分の姿に戻る時のような、全身がくすぐったくなるような感じが湧き起こった。
胸元がせり出してきて、ランニングの布地を乳首が擦り上げる。
股間の部分が体へと埋まっていき、代わりに尻の方が盛り上がっていく。
髪の毛の感触が、さらさらとしたものへと変わっていく。
むずむずする顔を触ってみると、触れる感触はすべすべとした女子の肌触りで、目鼻立ちの感触も、これまでとはまるっきり違っている。
体の変化が終わった時には、三知雄が来ていた男子の制服の中で、乳房と尻が自己主張をする姿へと変わっていた。
下を見ると、確かに胸元が膨らんでいるのだが、その制服はぶかぶかな男子のワイシャツであり、胸の部分だけがきつくなっている。
「服はこのままなのか?」
「あ、ちょっと待ってね」
ミサは三知雄に向かって、両手を振り下ろした。
途端、着ていたワイシャツが、水色のセーラー服へと一瞬にして変わったのに、三知雄は驚いた。
三知雄は、水飲み場にある鏡へと走った。
そこには、生徒会長の青山先輩の姿があった。
肩のラインで綺麗に揃えられた黒髪。
大きな瞳に、つぶらな口元。
さほど大きくは無いが、形の良さは制服の上からでも分かる胸元。
スカートの下から伸びる、綺麗な生足。
紛れもなく、青山先輩の姿だった。
「本当に、青山先輩だ」
口から漏れる声も、生徒集会の挨拶で聞く、彼女のものだった。
鏡に映る青山先輩の――自分の――顔を、三知雄はぺたぺたと触る。
しばらく両頬に触れていた手を、ゆっくりと下げていく。
(これが、青山先輩のおっぱい)
両手を胸元の膨らみに触れようとした時に、2時限目を知らせるチャイムが鳴った。
「ほらほら、お楽しみは後でよ。元の姿に戻りなさい」
ミサがそう言うと同時に、姿形、そして着ている服まで、元の三知雄のものへと戻っていた。
授業が始まろうとしている中を、三知雄は慌てて教室へと走ったのだった。

昼休み、三知雄はミサに言われた通りのことを、菅野へと言った。
「青山先輩からお前に伝言があってさ」
「え、青山先輩が僕に?」
その表情には、驚きと喜びが入り交じっていた。
「放課後に、校舎裏に来て欲しいってさ。大事な話があるからって言ってた」
「大事な話ってなんだろう」
呟く菅野の意識は、半ばここにあらず、と言ったぐらいに浮ついている感じだった。
三知雄は、ミサに言われた通りにだめ押しをした。
「楽しみに待っていてね、だとさ」
言われた菅野は、え、と言ってから、後はもう何を言われても上の空だった。

放課後になるなり、菅野はまだ教室にいるのを確認しつつ、三知雄は校舎裏へと向かった。
そこに誰もいないのを確認するなり、肩に座っていたミサは午前中と同じように、三知雄の廻りを一回りする。
体が変化して、三知雄は青山先輩の体になっていたのだった。
「この変身能力って凄いよな」
セーラー服に包まれた青山先輩の体を見下ろしつつ、三知雄は呟いた。
「ほらほら、あなたは今、青山先輩なんだから、そういう言葉遣いはしないの」
「そう言われても、女言葉なんて、使ったこと無いし」
「一応、魅了(チャーム)の魔力を彼に掛けているから、そう急な展開があっても気にしないようになっているけれど、あんまり理想と違う言葉遣いとかすると、彼に気付かれるわよ」
「そ、そうなのか」
「そういうことよ。私も途中でアドバイスするけれど、あなたも頑張るのよ」
「わ、分かったよ」
「ほら、彼、来たわよ」
ミサの言う通り、校舎の影から菅野が姿を現した。なるべくゆっくり歩いているようなのだが、そのぎくしゃくした歩き方は、遠目で見ても分かるぐらいにぎこちなかった。
「青山先輩、遅れてすみません」
言うなり菅野は頭を下げた。
「ああ、良いって。俺も今来たところだから」
「え、俺?」
頭を上げつつ、目の前にいる青山優子(三知雄)の言葉使いに不思議そうな顔をする。
「あ、いえ、おれ……お礼がしたいのはあたしの方ってこと。わざわざ来てくれてありがとう」
「そ、そんな。僕、先輩に呼ばれただけで嬉しいです。それで、大事な話って何ですか?」
「それはね。菅野君、あたし、あなたの事が好きになったの」
「え、ぼ、僕のことをですかっ!? せ、先輩が、僕のことを……」
菅野は、両手の人差し指をつんつんと突き合わせるようなポーズをしながら、顔を赤く染めた。
「だからね、あたし、あなたの精気が欲しいの」
優子(三知雄)は、菅野の両手を握りしめて微笑んだ。
「え、え、え。それって、どういうことですか?」
「もう、女の子から、こんなことを言わせないで」
三知雄は科(しな)を作るようにして体をくねらせながら、菅野へと身を寄せた。
「ねえ、しよう」
「え、あ、あの、何をですか?」
ねだるように身を寄せてくる青山優子(三知雄)に気圧されたのか、菅野は思わず一歩後ずさる。
「セックスよ……」
「せ、せ、セックス!? あ、あの、今日の青山先輩、なんだか変です。こういう男女交際はまずは交換日記をしてお互いのことを知るのが最初で、それからデートに行ったり親御さんに挨拶したり、お前のみそ汁で俺のパンツを洗って欲しいとか、お前百までわしゃ九十九までとかあって……」
あまりのことに、菅野は何が何だか分からなくなってきて、意味不明なことをあわあわと喋り続けた。
『何をやっているのよ!』
三知雄の頭の中に、ミサの声が響いた。
『何って、この前読んだエロ漫画に、こういう展開があったから』
声に出さなくても考えただけで通じるようで、三知雄はミサにそう言い返した。
『さっきも言ったでしょ。あんまり相手の理想と違うことをすると、魅了(チャーム)の魔力が効かなくなるって』
『そんなこと言われたって……』
「あの、青山先輩。どうしたんですか?」
ミサとの会話で動作が中断してしまったのをいぶかしんで、菅野が近づいてきた。
「ええと、あのね。菅野君……」
そう言ったところで、三知雄の頭には、別の作戦が浮かんだ。
『よし、これだ。名付けて、「エロ漫画で読んだ展開その2」』
『……あんまり進歩が無いような気もするけれど』
呆れたような声で、ミサが呟く。
「ねえ、菅野君」
近づいてきた菅野の手を、優子(三知雄)は、両手でぎゅっと握りしめた。
握りしめた手を、三知雄は自らの胸元へと近づけていく。
「わたしの胸、こんなにドキドキしているのよ。ね、確かめて」
そう言って、握りしめた菅野の手のひらを、セーラー服の胸元へと押し当てたのだった。
「あ、青山先輩!」
菅野の声は、すっかり裏返っていた。
だが、あまりにもな展開に頭が付いていけないのか、引っ張られるようにして触らされた胸から手を離そうとはしなかった。
「ほら、あたしの胸の鼓動、確かめて……」
優子(三知雄)は、さらに両手に力を入れて胸元へと菅野の手を押しつけつつ、上目遣いに、彼を見つめた。
「あ、あの……青山先輩」
「ほら、あたしの心臓、ドキドキ鳴っているのが分かるでしょ」
「あの……先輩。心臓があるのは、左側です」
「え、あ!?」
なるほど三知雄は、菅野の手のひらを、右側の胸へと押し当てていたのだった。
『駄目じゃん。展開その2』
頭の中で、ミサが呟く。
だが、三知雄はここで素直に認めたら負けかな、と思って引かなかった。
「左にあるはずの心臓がドキドキしているのが、右の胸を触っても分かるぐらいに高鳴っているってことなのよ」
胸元を見つめながら、三知雄は言った。
「わ、分かります。先輩の胸、ドキドキしているのが分かります」
釣られるようにして、菅野が答える。
『よっしゃ、作戦成功!』
『そんなんで良いの! これがゆとり教育って奴のたまもの!?』
内心ガッツポーズを取る三知雄に、呆れるミサ。
優子(三知雄)は、自らの成功をさらに勝ち取るべく、言葉を続けた。
「ねえ。もっと触って。菅野君の手のひら、大きくって、暖かくって、気持ち良いから……」
再び上目遣いに菅野を見つめつつ、優子(三知雄)は胸を反らせて、自らセーラー服に包まれた乳房を、菅野の手へと押し当てた。
「青山先輩……」
じっと彼女の顔を見詰めつつ、菅野はごくりと息を呑んだ。
そして、許可を得ようとするような目つきをしつつ、ゆっくりと手のひらを動かしていったのだった。
「あっ……」
途端、思わず優子(三知雄)の口から声が漏れた。
胸を触られた。ただそれだけのはずなのに、胸元からは痺れるような刺激――男のものとは違った快感――が伝わってきたのだった。
(胸を触られるのって、こんなに気持ち良かったっけ?)
今朝、サキュバスの体になって自らの手で触れた時には感じなかった心地良さが、胸元で湧き起こる。
『まあ、サキュバスの体だからよ。自分で触るよりも、男に触られた方が、相手の精気に応じる分だけ、感じ方も過敏になるのよ』
「き、気持ち良い……」
吐息と共に、声が漏れる。
彼女の言葉に、菅野は一瞬全身をびくりとさせて、まるで悪事が見つかった時のように身をすくめたのだが、目の前にいる彼女が癒そうな顔をしていないのを見て取り、いったん止めた手のひらの動きを、さらに続けるのだった。
セーラー服とブラジャーの布越しに、男の手のひらが乳房の上を這い回るのが感じられる。
「ああ、良い。菅野君の手のひら、気持ち良い……」
こんな感覚は、初めてだった。
気持ち良さの高ぶり方ではペニスを触った方が上かも知れないが、乳房という、女の体にしかない部分で感じる気持ち良さは、男の快感とはまるっきり違うものだった。
それに、オナニーとは違って、誰かにされている感じも違っていた。
自分の手が動くのとは違い、予想もしない動きが伝えられ、それが快感へと変わるのだった。
菅野の手のひらの中でも、ひときわ強く押してくる親指の先が、乳房の先端で疼いている部分へと、偶然当たった。
「ひゃふっ」
びりびり、とした強烈な刺激が、三知雄の全身を伝わっていく。
あまりにも異質な刺激に、腰の力が抜けて、優子(三知雄)は、崩れ落ちそうになった。
「青山先輩!」
地面に座り込みそうになった彼女の体を、菅野は両手で支えた。
彼女の方も、何かに捕まろうとして、彼の腰へと両手を回していた。
乳房をまさぐられ火照った顔が、菅野の腹部へと辺り、さっきまで揉まれていた乳房が、彼の股間へと当たる。
揉まれて敏感になっていた乳房へと、固く膨れたものが当たってくるのが感じられた。
(菅野の奴、勃起している)
そう気付いてから、三知雄は俺は何を意識しているのだろうか、と思った。
相手が勃起していようが、そんなことは関係ないはずだ。
の、はずなのだが、意識を反らそうとしても、どうしても乳房へと当たってくる固い物へと、気が向かってしまう。
(どうして、男のアソコなんかが気になるんだ?)
男としての意識とは裏腹な感情に、三知雄は戸惑いを覚えた。
『サキュバスの習性ね』
『これも、そうなのか?』
『そりゃそうよ。男の精気が溜まっている場所だもの。もっと自然に気を持ちなさい。そうしたら、嫌な気分なんか消えて、むしろもっと気になってくるから』
そんなものなのかな、と思いつつも、ミサの言う通り、精気を集めるためには男の股間に集中しなければならない訳で、三知雄は崩れかけた体を持ち上げつつ、彼の股間へと手の先を延ばした。
「すっごく熱くって固くなっているね。菅野君のここ」
体を寄せ付け、股間に手を当てつつ、優子(三知雄)は囁いた。口から漏れる、しっとりと甘いその声音は、迫られている菅野だけでなく、どんな男子生徒でも興奮してしまうかのような、色っぽさが入り交じっていた。
あの青山先輩がこんな声を出す――自分がこんな声を出せることに、三知雄は自分でも驚きつつも、そうやって先輩に色っぽいことをさせられることに興奮を覚えていた。
そんな彼女に、三知雄はさらにいやらしいことを言わせようとしていた。
「ねえ、見せて」
「え、何をですか?」
「菅野君のオチン○ン、あたしに見せて」
青山先輩の口から卑猥な言葉が漏れるのを聞いて興奮しつつ、彼女にそう言わせているのは自分なのだと思い、三知雄の興奮はさらに高まっていく。
「え、そんな……」
菅野は驚きの声を上げるものの、それを制しようとはしなかった。
優子(三知雄)は、それに乗じるようにして、彼の前へとひざまずき、ズボンのベルトを外した。
手早くズボンを脱がすと、そこにはブリーフに包まれた、勃起したものの形が見て取れた。
「菅野君のここ、すっかり大きくなっているね」
優子(三知雄)は、ブリーフ越しに、菅野のものを右手の指先でなぞり上げた。
「ああ……」
「すごい。パンツの上からでも、大きくなっているのが分かる。
でも、直に見たいな。菅野君の、オチン○ン……」
「青山先輩……」
菅野が期待の入り交じった表情で見下ろしてくる。
勃起したものが邪魔をしないように前の方を引っ張りつつ、ゆっくりとブリーフを下ろしていく。
中から現れたのは、皮に包まれたペニスだった。
大きさは三知雄のものに比べるといくぶん小振りだが、それでも脈打つそれには惹きつけられるものがあった。
ブリーフが下ろされると同時に、中に包まれていた男の匂いが開放される。
むわりとした男臭さを感じさせられたが、不思議と不快感は無かった。
むしろ、アルコールでも嗅いだような、陶酔感のようなものが感じられるのだった。
(俺、男の匂いで興奮している)
『まあ、サキュバスだもの。それも当然よ』
優子(三知雄)は、ブリーフからさらけ出されたものから、目を離せないでいた。
それだけでなく、見ているうちに、それが愛おしくてしかたなくなってくるのだった。
優子(三知雄)は、脈打っているものへと顔を近づけたかと思うと、いきなりぱくりとそれを口で銜(くわ)えたのだった。
「うわ、先輩。汚いですよ。そんなことしたら」
ちらりと上を見ると、菅野が困ったような、それでいて止めて欲しくないような顔をしている。
上目遣いのままに、優子(三知雄)は、口に含んだものを舌先で舐め始めた。
「ああ、青山先輩……そんな、こと……ああ……」
舌先を動かして、包皮からはみ出た亀頭の部分を探り当て、そこを重点的に舐め回す。
ちろちろと動かしていると、先端の割れ目から、しょっぱいものが染み出してくるのが感じられた。
「ああ、そんなことされたら……僕……」
舌先に感じるのは、しょっぱさと苦みだが、不快な感じは無かった。むしろ、もっとそれを味わいたいと思うのだった。
ねっとりと舌を這わせる度に、次から次へと若い汁が溢れてくるのが、優子(三知雄)には、だんだんと楽しくなってきた。
まるで、新しいオモチャを手にした子供のように、菅野のそれを舐め回す。
さらにもっと刺激を与えようと、頭を前後へと動かして、陰茎を含んだ唇で、根本から中程までをしゃぶり回す。
「駄目、駄目です。それ以上されたら、僕、出ちゃいます」
何が出るのかは、男である三知雄には言われずとも分かった。
男の精液を口の中に出される。そう思うと、一瞬嫌な気持ちになるが、動いている口元と舌先は、止まることはなかった。
むしろ、早く早くとせかすようにして、その動きを強く、そして早めていく。
「ああ、出るぅっ!」
菅野がぎゅっ、と歯を食いしばり、目をつぶった。
背中が大きく反り返ると同時に、ペニスを頬張っていた口中へと、若く青臭い精液が、どばどばと流れ出ていく。
優子(三知雄)の口中に、先走りの汁を思いっきり濃くした男の精液が溢れ入ってくる。
その瞬間、三知雄の中では相反する意識がない交ぜになった。
男のものなんか飲めないという男としての意識と、精液を飲みたいというサキュバスとしての欲望が拮抗する。
まるで、喉がからからに渇いている時に、毒の入った水を手渡されたかのようだった。
そうしているうちにも、舌先には精液がどろりとまとわりつき、苦くていがらっぽい感じを伝えてくる。
舌先と口中へ広がるそんな感じすらも、徐々に快感に覚えてきた。
だんだんと、のど元が、胃が、男の精液を欲してきているのが伝わってきた。
それに流されるようにして、優子(三知雄)は、精液を飲み込んだ。
どろりとした精液が、喉に張り付くようにして、胃へと落ちていく。
途端、三知雄は全身が火照ってきたような気がした。
それは、心地の良い熱さだった。
空腹時に最高のごちそうを与えられ、食べ終えて体中に力がみなぎっていくのを早廻しで体験したような、そんな感じだった。
「あ、飲んじゃったんですか。良いんですよ。吐き出しても」
心配そうに言ってくる菅野に向かって、
「菅野君の精液、とってもおいしい」
そう言う優子(三知雄)の心境は嘘では無かった。
本当に、おいしいと感じられたのだ。
これまで、精液なんて味わおうとは思ったことが無いが、それがこんなに美味だったとは。
しかも、味だけではない。
男の精液を飲むこと自体に、快感を覚えてしまうのだった。
優子の口から離されたペニスの先端から、一息には出し切れなかった精液が続けて溢れてくる。
白い精液の染み出ている亀頭へと舌先を延ばし、ぺろりと掬い舐める。
一度射精を終えても、菅野のものは、上へとそそり立ったままだった。
それを見ているうちに、またしても精液が欲しくなった。
欲しい、欲しい。
精液が、欲しい。
もはや優子(三知雄)の頭の中には、精液を味わうことしか思い浮かばなかった。
欲しい、欲しい。
体中に、欲しい。
腹部の辺りが、きゅるきゅると痺れるような気がしてきた。
そこの部分が、体の他のどこよりも、精液を欲している。
男にはないはずの器官が、精液を味わい、浴びせられたがっている。
欲しい。欲しい。
子宮に、欲しい。
まるで空腹時の胃のように、子宮が獲物を欲しているのが感じられる。
優子(三知雄)は、立ちあがった。
「菅野君の精液、美味しかったよ」
正面で向かい合いつつ、彼女は口元にこびりついた精液を、ぺろりと舌先で舐め取った。
「お願い、今度は、こっちにちょうだい」
ねだるようにそう言って、彼女はスカートをまくり上げる。
空気に触れて分かったが、パンツの脇からは、愛液が溢れ出して、太ももを伝って流れ落ちているのが感じられる。
女の体は濡れる、それは分かっている。
興奮すると濡れる、それも分かっている。
ただ、指一本も触れていないのに、こんなにまで濡れるものなのか、と思うと、自らの体の変化に驚きを覚えてしまうが、これがサキュバスの体なんだろうな、とも三知雄は思った。
「ねえ、入れて」
芝生へと寝転がり、尻を持ち上げてパンツを下ろすと、ねっとりとした糸が股間と下着の間に伸びるのが感じられた。
パンツに遮られていて行き場を失っていた愛液が、一気に下へと垂れ落ちていき、尻の割れ目を伝ってスカートを濡らしていくのが感じられる。
「う、うん……」
さらけ出された女の器官を見せつけられて、菅野の目は興奮に血走っていた。
もはや、怯えのようなものは感じられない。
すっかりと、獲物を狙う雄の目つきになっているのだった。
広げた両脚の間へと、菅野が体を割り込ませていく。
太ももへと体が触れてくるので、さらに足を広げてみると、男の体では不可能なぐらいに、両脚が左右へと広がったのが感じられた。
その広げられた中心へと、菅野は猛ったものを突き立ててきた。
ぺたり、と割れ目の中心へと、先端が当たってくる。
もう二人に言葉は要らなかった。
ただ、本能のままに、欲望のままに、一方は腰を突き立て、もう一方はそれを受け入れるだけだった。
ずぶり、と体の中心へと、熱い棒が入ってくるのが感じられた。
「あぐぅっ!」
初めて感じる、挿入される感覚は、体の中心へと穴を開けられるかのようだった。
(男に挿入されるって、なんか変な感じだな。でも……気持ち良い。こんなに気持ち良いの、初めてだ)
開けられた穴は、同時に男のものでふさがっていく。
まるで、体を改造され、作り替えられているかのようだった。
(凄い、男のものが入ってくるのって、こんな感じなんだ。こんなに、気持ち良いんだ……)
「ああん、あはぁっ!」
思わず喘ぎ声が漏れる。
そうしている間にも、男のものは尚も突き進んできた。
どこまで体の奥に侵入されるのだろうという不安と期待が入り交じる。
ふと、菅野の腰の動きが止まった。
さっきまでの興奮した目つきの中に、わずかばかりのためらいが感じられる。
「止めないで。来て、入れて、奥まで、入れて」
そんな求めを聞いて、菅野はさらに腰を進めた。
途端、体の中心で、何かがぷつん、と突き破られたような気がした。
「んはぁっ!」
これまでの快感とは違う、何かを失い、何かを得たような感じ。
何なんだろう、と思っていると、菅野が顔を近づけてきた。
「痛くないですか? 先輩?」
突然の言葉に、優子(三知雄)は、どう答えて良いか分からなかった。
それを逡巡と受け取ったのか、菅野の方が言葉を続ける。
「でも、血が出ていますよ」
自分からは直接見ることは出来ないが、わずかに引き抜かれた菅野のペニスの途中に、赤い血がこびりついているのが見えた。
(そうか。さっきのは、処女膜が破れる感じだったんだ)
男では絶対に感じることのない感覚。
女でも、一度しか体験することの出来ない感覚。
それをついさっき、体験したのだった。
言われているような痛みは無かった。そう言われてみると、痛いような気もしなくはないが、むしろそれすらも快感に感じられる。これも、サキュバスの体ならではなのだろう。
痛くない。むしろ、気持ち良い。
そう言おうとした所で、頭の中にミサの声が聞こえてきた。
『ここは処女で痛がっている振りをして』
『そういうものなのか?』
『そうよ。今のあなたの体は処女喪失の痛みすら快感になるけれど、ここは痛がった方が相手ももっと興奮するってものよ』
そうなのか、と思って、痛みをこらえるかのように、ぎゅっと唇を喰い締めてみた。
「うん、痛い。ちょっとだけどね」
「大丈夫? どうしても痛かったら、止めようか」
止めないでくれ、もっと欲しい、と叫びそうになるものの、相手に合わせるようにして、
「けれど大丈夫。だって菅野君がわたしの初めての人になってくれたんだもん。痛いのも、思い出の一つだよ。だから、止めないで。もっと続けて」
彼女は潤んだ瞳で、目の前にいる、自らの胎内へと男のものを挿入している相手へと、慈母のような声で言った。
「青山先輩っ」
ぎゅっと抱きしめられる。
華奢でか弱い女の体が壊れてしまうのではないかと思えるほどの力強さだったが、今はそれが心地良い。
その強さを、体中でもっと感じたい。
体の中心に、もっと欲しい。
上体を抱きしめられたままに、彼の下半身が動くのが感じられた。
ぎゅぅっ、ぎゅぅっ、と熱い男の杭が、穿ち続けられる。
一突きされる度に、まるで寺の鐘が突かれたかのように、全身が痺れ、そして快感へと変わっていく。
「ああ、良いわ。もっと、ちょうだい。もっと、激しくして」
男と息を合わせるようにして、彼女の腰もだんだんと上下に動いていく。
密着し、嵌め合わされた部分からは、ぐちゅり、ぐちゅり、と淫らな音が響く。
ずしん、ずしんと入れられる度に、体中に快感が散らばっていく。
全身が快感で揺さぶられる中で、子宮の部分が、与えられるべきものを求めて、せり上がっていくような気がする。
体中が火照ってたまらない。
子宮が熱くってたまらない。
精液が欲しくてたまらない。
「欲しい。欲しいの。菅野君の精液、あたしの中にぶっかけて。オマ○コの中に、出してぇ!」
思わず口にした彼女の卑猥な言葉に、菅野の一物は素直に反応した。
「出ます。出ますよ。ああ、出るぅっっ!」
「ああ、来る、来る、入って来るぅぅぅぅぅ!」
びくぅぅぅっ、どぴゅるるるるっ、びゅくるぅぅ!
胎内の奥へと、熱い精気の固まり、男の精液が流れ込んでくるのが感じられる。
求めていたものがようやく与えられた子宮は、嬉々と反応する。
体の中に自分とは別の意志を持った淫らな生物が居て、それが精液を一滴残らず吸い尽くそうとしている、そして、その悦びが快感という刺激に変わって、彼女の全身へと送られていくような、そんな感じだった。
「ああ、凄い。青山先輩の、僕のものを吸い上げていく」
子宮だけでなく、膣壁が自らの意志を持ち、菅野のものを一滴残らず絞りだそうとしているのが感じられる。
男の体と違って、貪欲な作りになっているものだ、と感心する余裕はもう無かった。
今はただ、流しこまれる精液を、雌として受け入れ、そして味わうだけで精一杯だった。
そして頭の中は、ゆっくりと真っ白くなっていくのだった。

「……先輩、青山先輩」
遠くから聞こえてくる声で、三知雄は目を覚ました。
どうやら、あまりの気持ち良さに気を失ってしまったらしい。女の体は気持ち良すぎて失神すると聞いたことがあるが、まさか自分がそうなるとは思っても見なかった。
芝生に横たわった体を持ち上げようとするのだが、全身の体力が快感へと変わってしまったのか、まるっきり力が出ない。それどころか、今でも射精をされているかのような、快感の余韻が残っているのだった。
「先輩、よいしょ、っと」
菅野に手を引っ張られ、どうにか上体を持ち上げることが出来た。
「おれ……あ、あたし、気絶していたの?」
「ええ、少しの間ですけれど。心配しましたよ」
「ゴメンね。驚かされちゃって。でも、これって、半分は菅野君のせいだよ」
「え?」
「菅野君のが、あんまり気持ち良かったからよ」
そう言って、持ち上げられた上体を彼の体に寄り添わせるようにして、そっと口づけをしたのだった。
一瞬の間だけ、唇が触れあったキスだったが、それはファーストキスだった。
惚けたような彼の顔が、不思議と、たまらなく可愛く感じられた。
「立てますか? 歩けますか? 一人で家まで帰れますか? 送っていきましょうか?」
心配そうな顔で、矢継ぎ早に問い掛けてくる彼に向かって、短く答えた。
「今は一人で居たいんだ。余韻に浸っていたい気持ちなの。だから今日はこれでお別れ」
そう言って、ゆっくりと立ちあがって、脱ぎ捨てていたパンツを履いた。
「ほらほら、菅野君もそのままだと風邪を引いちゃうよ」
「は、はい」
せかされるままに、菅野もブリーフとズボンを履いた。
「それじゃあね、バイバイ」
そう言って優子(三知雄)は校舎裏を後にしたのだった。

彼の姿が視界から消えたのを確認した所で、
「それじゃあ、変身を解くわよ」
「もうなのか。もうちょっとはこの姿で居たいんだけれど」
「変身って結構精気を使うものなのよ。それじゃあ、元に戻すわね」
ミサは三知雄の肩から飛び上がり、彼の廻りを一周した。
優子の姿から、三知雄の姿へと一瞬にして変化する。
校門を出て、学校からの帰り道、ふと三知雄は思った。
「そういえば菅野の奴、俺のことを青山先輩本人だと思ってあんなことをしたけれど、これからどうなるんだろうな。まさか、本当の先輩に向かって、またセックスさせてくださいなんて言ったりしないだろうな」
「うーん。それもそうね。まあ、それも良いんじゃないの。いきなりセックスさせてくれた後で、今度はいきなり冷たくなるってのも。ほら、今の言葉で言う、ツンデレって奴?」
「いや、それ順番逆だし、そもそもそれって単なる悲劇だから」
肩に止まるミサに向かって、三知雄はぱたぱたと手を横に振るのだった。

第二章

目覚ましの音に起こされた三知雄は、自分の体を確認した。
昨日起きた時にはいきなりサキュバスになっていて驚いたが、今日はそんなことはなく、男の姿のままだった。
ついでにパンツの中では、男の生理現象としてテントが張られていることを確認して満足する。
横を見ると、小型サキュバスのミサが、ご丁寧に布団を掛けて眠っていた。
端から見たら、お人形さんとベッドを共にするオタク高校生のように見えないことも無いが、幸いとミサの姿は他の人間には見えないらしいので、そんな心配も無い。
「おい、起きろよ」
三知雄はミサの小さな体を揺さぶる。と言ってもその小ささのため、人差し指で、ちょんちょん、と突っつくだけだが。
「むぅー、もう朝なの? あと10年ほど寝かせてよ」
そう言って背を向けてくる彼女に向かって、
「お前サキュバスだろ。だったら夜行性なんじゃないのか?」
「そりゃそうだけれど、何しろ昨日まで400年も像にされていたんだから、時間感覚がおかしくなるのよ。どうせ今日も学校に行くんでしょ。それまでには起きているから」
「分かったよ」
そう言って、三知雄は制服に着替え、朝食を済ませて部屋へと戻ると、ドアを開けると同時にミサが肩へと乗ってきた。
「で、また今日も精気を集めるのか?」
「そうよ。1日1人以上があなたのノルマなんだから。相手は私が選んであげる。ま、多分昨日と同じく、若い童貞の男の子になるんでしょうけれどね。
ぷはー、やっぱり童貞の精気は生き返るわね。五臓六腑に染み渡るわ」
昨日のことを思いだしてか、ミサは仕事帰りにビールを飲んだおっさんのような手つきで、口元をぐいと拭う仕草をした。
「童貞はもちろんだけれど、できればオナニーもしていないって男の子が良いんだけれど」
「高校生にもなってオナニーも知らないなんて生徒、いるのかな?」
「それがたまに居たりするのよね。昨日、学校をうろついていたら、何人かそんな生徒がいたわ」
「そういえば、授業中の合間に出歩いていたものな」
昨日、肝心な時にはもちろんミサは三知雄と一緒にいたが、ちょっと学校ってものを見てくると言って、たまに三知雄から離れて教室を出て行ったのだった。まあ、他人にその姿を見られることは無いと言っていたから、三知雄も頬って置いたのだが。
「現代って良いわよね。私が現役の頃は、結婚年齢が若いでしょ。だから、精通してから結婚までの期間が短いんで、なかなか純な精気を溜めている男の子って少なかったのよ。その点今は、そういう男が増えているから私にとっては万々歳ね」
口元に人差し指の第二関節を当てて、ミサは嬉しそうに、くっ、くっ、と笑う。
「ほらほら、そんなこと言ってないで、さっさと学校にいくぞ」
「わかったわよ」
ミサを肩に載せて、三知雄は学校へと向かったのだった。

学校に着いてからの午前中、ミサは再調査だと言って、三知雄の元を離れて、学校を飛び回っていた。
2時限目の休み時間になったところで、彼女は戻ってきた。
『良い獲物がいたわ』
三知雄の肩に座るなり、満足げな笑みを浮かべて、ミサは呟いてきた。
『誰なんだ?』
『一年生だから、あなたは顔と名前を知らないと思う。だから、ちょっと一緒に来てよ』
ふわりと顔の前に浮かび上がったミサに従って、三知雄は一年生用のフロアへと向かった。
『あの子なんだけれどね』
ミサが指さす相手は、開いた教室のドア近くに座っているおかげで、教室に近づくことなく、その姿を確認することが出来た。
黒縁眼鏡を掛けて、おでこの広さが目立つ、真面目そうな男の子だった。
『名前は吉田祐希君。ぴっちぴちの童貞で、オナニー知らずよ』
『もうちょっとマシな紹介をしてくれよ。エロ雑誌の「わたし処女です」コーナーじゃないんだぞ』
『良いじゃないの。どうせセックスするだけなんだから』
『だから、どんな風にセックスしたら良いかとかだよ。お前の得意分野だろ』
そんな言い合いをするのだが、ミサの姿は他人には見えず、三知雄の頭の中で会話しているので、廊下を歩く一年生からすれば、部活の後輩とでも待ち合わせをしている上級生がぼんやりと立っているようにしか見えない。
『この学校に憧れの先生がいてね。保健医の成増先生よ。オナニーすら知らないから、セックスしようなんても思わない、純愛の片想いって奴ね』
『ああ、あの先生か』
目指す一年生の顔は知らなかったが、保健医の顔と名前には記憶があった。
成増涼子。ただの女保健医というよりも、フランス書院文庫から抜け出てきたような、大人の色気を持つ女性だった。栗色の髪の毛に、大きな瞳を持ち、じっと見つめられると、こちらがもじもじとしてしまいそうなぐらいだ。怪我をした生徒はもちろん、怪我をしていない生徒、果ては自分で怪我をしてまでも、彼女のいる保健室へと向かおうとするぐらいだ。
『いやー、楽しみだわ。童貞の男の子の声って、可愛いのよね。
ふっふっふー、筆下ろしの「ふ」は、ふふふのふー』
よっぽど嬉しいのか、ミサはなんだか良く分からない歌を口ずさんでいた。
『それで、今度はどうするんだ?』
『まずは成増先生にあなたが変身して、昼休みに保健室でセックスするの』
『それじゃあ、本物の成増先生はどうするんだよ。それに、昼休みだったら他の生徒も来たりするだろ』
『大丈夫。昨日吸った精気の力で、本人は眠らせることが出来るから。保健室は臨時休業ってことで良いんじゃないの?』
『お前がそう言うのなら、それで』

そして昼休みになった。
三知雄はまずは保健室へと向かった。
『本当に、眠らせること、出来るんだろうな』
肩に座っているミサへと三知雄は再度確認した。
『大丈夫よ。とにかくこっちに顔を向けさせるようにすれば良いから』
保健室のドアは開けられていて、ひょいと顔を出すと、机に座って報告書のようなものを書いている、白衣に身を包んだ成増先生の姿があった。
「先生、失礼します」
「いらっしゃい。怪我でもしたの?」
やってくる生徒を気遣ってか、そんなことを口にしてくる。
「ええ、ちょっと体のことで相談がありまして」
ドアを閉めて、三知雄は先生の近くへと歩いていく。
「相談? それじゃあ、そこに座って」
差し出された丸椅子に座ってから、先生の顔をじっと眺める。
「それで、どういう用件なの?」
「ええ、実は……」
そこから先の台詞は教えられていない三知雄の肩で、ミサは身を乗り出すようにして、成増先生へと近づいた。
一瞬、三知雄を向いていた先生の視線が、ちらりと左へと逸れる。
途端、先生は目をごしごしと擦った。
「ご免なさいね。なんだか急に眠たくなっちゃって。どうしたのかしら? 昼間だって言うのに?」
必死に眠気をこらえようとしているのだが、ミサの能力には敵わないようで、やがて口数も少なくなり、座ったままで、こくり、こくり、と催眠術でも掛けられたようになってくる。
『これで作戦その1は成功。それじゃあ、彼女は一番端のベッドにでも寝かせておいて』
ミサに言われるままに、三知雄は椅子で寝ている先生の肩へと手をやり、足を引きずるようにして、ベッドへと寝かせた。
『それじゃあ、変身するわよ』
言うなりミサは肩から飛び上がり、三知雄の廻りを一周した。
昨日と同じような全身が内側からくすぐったく、外側からは押されるような感じが伝わってくる。
そんな体の内外からの圧迫に合わせるように、体が変化していく。
前髪が目の前まで伸びてきて、綺麗な栗色へと変化する。
胸元が膨らみ、昨日の青山先輩以上のボリュームとなる。
股間の部分がへこみ、変わって尻の部分がせり出していく。
足下が、きゅっと引き締められるようになり、綺麗な太ももとふくらはぎのラインが作られる。
男子生徒の制服に身を包んだ、成増先生の姿に、三知雄は変身したのだった。
「最後に服を変えて、と」
ミサが両手を振り下ろすと、一瞬にして三知雄の制服が、白衣に包まれたものへと変化する。足がやけに締められると思って見てみたら、黒いストッキングに包まれていた。
辺りを見回してみると、保健室の壁に鏡があった。
遠目に見てみると、見慣れた成増先生の姿そのものだった。
変化した自分の姿を見下ろす三知雄の視界に、ベッドで寝ている成増先生の姿が目に入った。
見比べてみると、顔を比べることは出来ないが、着ている服からバストの形、レッグラインに居たるまで、すべて同じだった。
昨日、青山先輩に変身した時には本人が居なかったので分からなかったのだが、こうやって、実際にいる人とそっくりに変身するのは、なんだか不思議な気がする。自分が自分でなくなり、成増先生になりきらなければならないのだ、という気がしてくる。
「さて、それじゃあ今度は、ターゲットの吉田君の所へ行くわよ」
一年生のフロアに行くと、昼食を終えたのか、廊下の窓から外を見ている吉田の姿があった。
成増先生(三知雄)は、ゆっくりと近づいていって、声を掛ける。
「吉田君、ね」
「え、あ、はい。成増先生じゃないですか。何かあったんですか」
「ええとね。先月、血液検査をしたでしょ。その時の結果が出たんだけれど、吉田君の場合はちょっと……」
末尾を濁すような言い方は、ミサに教わった通りだった。
「え、僕、何かあったんですか?」
「いえ、別に病気とかじゃないのよ。ちょっと説明が必要な程度ってこと。急で悪いんだけれど、今から一緒に保健室に来てくれないかしら?」
「え、僕はいいですけれど」
「大丈夫よ。説明だけだから、昼休みのうちには終わるわ」
「わ、分かりました……」
「それじゃあ、一緒に来て」
言うなり成増先生(三知雄)はくるりと振り返り、保健室へと向かった。
その後ろを、何を言われるのだろうかと不安げに吉田が付いていくのだった。

保健室にたどり着いて吉田を迎え入れるなり、成増先生(三知雄)は部屋の鍵を閉めた。
何を言われるのか気がかりな吉田はそれに気付くことなく、先生用の机の横にある、面談者用の椅子へと座った。
続けて、成増先生(三知雄)も、腰を下ろす。
「あの、説明ってなんでしょうか?」
「その前に質問なんだけれど、吉田君、朝起きると体の一部がいつもと違うってこと、ない?」
「え、それって……」
朝立ちがあるなんてのは、健全な高校生には当然のことで、それに思い当たる節のある吉田は、先生の言葉に反応をしたが、答えられないでいる。
「答えは分かっているわ。股間のアソコが大きくなっているんでしょ?」
言葉では答えずに、吉田はこくりと頭を下げる。
「心配しなくても良いのよ。それは朝立ちって言ってね。高校生の男子だったら、誰でも起こることなんだから」
「そ、そう、だったんですか。前から困っていたんですけれど、恥ずかしくて誰にも聴けないでいて、悩んでいたんです……」
罪を告白するような暗い感じで、吉田はぽつり、ぽつりと語ってきた。
「それだけじゃないわよね」
そんな罪をさらに暴こうとするかのように、成増先生(三知雄)は、ずいと顔を前へとせり出す。
「たまに、パンツの中がどろっとしたもので濡れていたりするんでしょ」
「ど、どうしてそれを?」
いわゆる夢精という奴である。毎日オナニーしている高校生とは違って、やり方の知識もない彼だったら、そういうことがあっても当然だろう。
「ぼ、僕の体、変なんです。おしっこじゃなくて、あんな変な物が体から出るなんて」
顔を真っ赤にしつつ、吉田は俯いた。
「別に変じゃないわよ。それは夢精って言うの。吉田君だって、若い男の子なんだから、毎日ちゃんとオナニーすれば、そういうことは無くなるわ」
「あの、オナニーってなんですか?」
そんな返答を聞いて、三知雄は、若いな、と思った。
ミサから聞いていたが、オナニーすら知らない高校生をこの目で見られるとは思わなかった。
「オナニーって言うのはね。自分のオチン○ンを手で擦るのよ」
「そ、そんなことするんですか!?」
吉田は驚きの声を上げた。
その反応に、三知雄は妙な懐かしさを覚えた。三知雄が初めてオナニーというものを知ったのは、もっと昔のことだが、最初にそういうものがあると聞いた時には、やはり今の吉田のように驚いたものだった。
そして、家に帰ってその通りにしてみて、そのくすぐったさを強烈にしたような、それでいて病みつきになりそうな感じと、それが最高潮に達した時に、自分の先端から精液が出てびっくりしたことを思いだしたのだった。
「そうなんだ。やっぱり吉田君は、オナニーのこと、知らなかったのね」
「す、すみません……」
「別に謝ることは無いのよ。知らないってことはそれだけ真面目ってことなんだから。でもね、男の子は、たまにはオナニーした方が健康にも良いのよ」
「そう、なんですか?」
「ええ、それじゃあ今日は、先生が特別にやり方を教えてあげる。
吉田君。ズボンとパンツを下ろして、下半身を裸になって」
「え、先生の前でそんなこと……」
「わたしのことなら気にしなくても良いわ。これはね、治療の一種なの。女性の人でも、お医者さんの前では裸になるでしょ。それと同じだと思って良いわ」
「そ、そうですよね。これって治療なんですよね」
自分に言い聞かせるように、先生の言葉を繰り返してから、吉田は先生に背中を向けて、ズボンとパンツを脱ぎ始めた。
「脱ぎ終えたわね。それじゃあ、こっちを向いて」
「は、はい……」
ワイシャツに下半身裸という格好で、吉田はこちらを向いてきた。
成増先生(三知雄)の視線は、彼の股間へと向かう。
そこには、勃起はしておらず、皮も被ったままの、子供のオチン○ンとでも言うものがぶら下がっていたのだった。
そんな姿を見て、三知雄は思わず、「可愛い」と思ってしまった。
次の瞬間には、
(俺って、なんでこんなことを思うんだろう?)
『それもサキュバスの影響だから、別にあなたにショタ趣味とかがあるって訳じゃないわ』
『そういうものなのか』
言われて納得してみると、可愛いと思うのも自然に感じてきた。
まだオナニーもセックスも知らなかった自分のことも思い出されるし、そんな彼に向かって、先輩として性の手ほどきをしてやりたいと思っている。
しかも、今の姿は保健医の成増先生、大人の女なのだ。これ以上適役の人材はいないだろう。
相変わらず勃起しないでいる吉田の股間を見つめていると、成増先生(三知雄)は、それにしゃぶり付きたくなった。そのまま勃起させ、射精をさせたい。そんな気分になってくる。男としての発想ならばあり得ないことだが、サキュバスになっているからなのだろう、と三知雄は納得した。
その時、頭の中に、ミサの声が響く。
『そういうのは、後の楽しみにしておいて、まずは彼にオナニーの仕方を教えてあげるのよ』
『でも、気持ち良くしてやった方が良いだろ。その方が精気が吸えるだろうし』
『さっき成増先生を寝かせる時に精気を使っちゃったから、あんまり急な展開だと、彼が不信感を持っちゃうかもしれないのよ』
『わ、分かったよ』
俯いたままの吉田に向かって、成増先生(三知雄)は、声を掛ける。
「それじゃあ、先生が、オナニーの仕方を教えてあげる。でも、その前に、まずは勃起させないとね」
「勃起って、あそこが大きくなることですか?」
「ええ、そうよ」
「でも、僕、緊張しちゃって、そんな気持ちになれません」
「そうねえ。緊張はまずいわね。でも、それ以上にエッチなことを考えれば、大丈夫よ。ちゃんと大きくなるから」
「でも、エッチなことを考えるって言われても」
「そう、それじゃあ、先生がお手伝いをしてあげる」
「え、手伝いって……?」
「吉田君、先生のこと、好きなんでしょ」
甘い囁きの声が、成増先生(三知雄)の口から、吉田の耳元へと伝えられる。
「え、そ、う……あの……。僕は……」
「気にしなくても良いのよ。年頃の男の子が、わたしみたいな女性に憧れるのは自然なことなんだから。
それとも、もっと若い子の方が好みかしら?」
「そんなこと無いです」
「じゃあ、やっぱり先生のことが好きなんだ」
「あうぅ……」
想いを指摘されて、吉田は声を失った。
「わたしのこと、興味あるでしょ? 先生の恥ずかしい所、もっと見せてあげる」
言って彼女は白衣を脱ぎ捨ててから、ブラウスの胸元を開いた。
ブラジャーに包まれた胸の谷間がさらけ出される。
「ほら、見えるでしょう。わたしの胸の谷間」
「は、はい……」
「こうしたら、もっと見えるようになるわよ」
彼女はブラウスのボタンを一つ一つ、焦らすようにして外していった。
ピンク色のブラウスがほどけていく度に、レースで彩られた黒いブラジャーが姿を現していく。
ブラウスから解放されたためか、三知雄の胸元には開放感と、肩から胸元に掛けての、乳房の重みが伝わってくる。
すべてのボタンを外し終え、彼女はブラウスを椅子の背もたれへと掛けた。
上半身を包むのは、黒いブラジャーだけとなった。
大きな乳房はブラジャーに包まれて、胸元から下へと、流れるような谷間を作っている。
幸いなことに、彼女のブラジャーはフロントホックだった。
「このブラって、フロントホックなのよ。ふふ、本当はブラジャーを外すのは男の人の役目だけれど、今は吉田君のエッチな想像力を鍛えるためだから、残念だけど、触らせてはあげられないわね」
「いえ、そんな、とんでもないです」
前屈みになった吉田は、両脚をもじもじとさせていた。
ちらりと見ると、さっきまでは完全に前へと垂れていた股間のものは、少し大きくなっていて、前の方を向いているといった感じだった。
股間の変化を見つめながら、彼女はブラのホックを外した。
締め付けられていたものが解き放たれるふわりとした開放感と乳房の重みが胸元から伝わってくる。
彼女は両手を腕組みするようにして、外されて落ちようとしているブラを、腕で持ち上げた。
上へと圧迫され、強調されるようになった胸の谷間と乳房の丸みへと、吉田の視線が集中する。
それを見て取ったかのようにして、ゆっくりと両手を動かし、ブラジャーを左右へと開いていく。
吉田の視線が、ブラジャーに覆い隠されていた部分へと向かう。
ブラジャーの先端部分が覆っていた乳首が現れた時、彼のペニスはおおきく脈打ち、どくん、どくん、と徐々に上を向いていった。
「ほうら。先生のおっぱい。どう、綺麗?」
「はい、とっても綺麗です」
視線を成増先生の乳房へと集中させながら、半ば裏返ったような声で、吉田は答える。
「吉田君のものも、ちゃんと大きくなったみたいね」
「は、はい」
頬を染め、俯きつつも、吉田はなおも上目遣いで先生の乳房を見つめていたのだった。
「ねえ、吉田君の大きくなったもの、先生によく見せて」
言って彼女は立ち上がり、吉田の股間へと顔を近づけた。
大きさは子供並で、皮も被っているが、それでも若いだけあって、腹に張り付くようにして上を向いている。
ちらりと吉田の顔を見ると、間近で自分の恥ずかしいものを見られているせいか、目を閉じ、横を向いている。
「うふふ、吉田君の、可愛い」
さらに顔を近づけ、息が掛かるようにして、舐めるようにして眺めていく。
「これなら、オナニーが出来るわね。ねえ、吉田君。パイズリって知ってる?」
「え、ぱいずり、ですか? 何ですか、それ?」
「おっぱいでオチン○ンを挟んで、シコシコって擦ってあげることなのよ。ほら、こんな風に」
彼女は、ひざまずくようにして高さを調整してから、両の手で乳房を持ち上げ、その谷間へと、吉田のものを挟むような仕草をした。
「そ、そんなこと、するんですか!?」
「そう、でも今日は残念だけれど、してあげられない。今日は吉田君のエッチな想像力を鍛えてあげることが目的だもんね」
「は、はい……」
期待と残念さが入り交じったような顔を、吉田がしたのを、三知雄は愉快げに感じた。
「それに、オチン○ンを入れる場所は、おっぱいじゃないものね。
ねえ、吉田君、セックスする時に。オチン○ンをどこに入れるか知っている?」
「は、はい……女の人のアソコに……」
乳房をさらけ出した女保健医に顔をを近づけられ、恥ずかしい言葉を言われて、吉田は顔を真っ赤にする。
「アソコ、じゃ保健体育のテストの答えにはならないわよ。吉田君も授業で習ったでしょ。ねえ、女の人のどこに入れるの?」
座っている吉田の前で、彼女は前屈みになって、さらけ出した乳房を吉田の体に触れるか触れないかと言ったぐらいにまで近づけつつ、耳元で囁く。
「お、女の人の……膣、です」
生真面目な吉田の答えに、彼女は、ふふ、と笑った。
「半分正解ね」
「え、でも……」
彼女は耳元へ口を近づけて、
「正解は、オマ○コ、でした」
「先生、そんな……」
恥ずかしそうに俯く吉田を、彼女は嬉しそうに見つめた。
「オナニーをする時には、どこに入れるのか想像できないと駄目だものね。それじゃあ今日は特別に、先生のを見せてあげる」
「え、先生のって……」
「うふふ。何を想像したのかしら」
「え、僕は、別に、何も……」
「あら、そうなの。何を見たいか言ってくれたら、先生、吉田君に見せてあげても良いんだけれどね」
「え、あ……お、お……」
しばらくためらうように同じ言葉を繰り返してから、
「オマ○コ、です」
「良く言えました。それじゃあ、見せてあげるわ」
彼女は吉田と向かい合うようにして椅子に座ってから、スカートをまくり上げた。
パンツとストッキングに包まれたそこは、これまでの言葉責めで興奮したのか、自分でもぐっしょりと濡れているのが分かるほどになっていた。
成増先生(三知雄)は、美脚を包むパンティストッキングの縁へと手をやった。
ゆっくりと太ももからふくらはぎへと下ろしていくと、ストッキングの滑らかな肌触りが、触れる部分をくすぐっていくのが感じられる。
(そういえば、ストッキングを脱ぐなんて初めてだったな)
昨日、青山先輩の姿になった時にはストッキングは無く、女を美しく見えるものを身につけていて、それを脱ぐという行為は初体験だった。
生足がさらけ出されると、股間へと冷たい空気が入り込んでくるような気がした。
下半身はパンツ一枚になった所で、成増先生(三知雄)は立ちあがった。
見たいと思っていた部分がスカートに隠されて、吉田は落胆した顔をしたが、それでも熱心に先生の股間を見つめていた。
熱い視線を感じつつ、彼女はストリッパーのように、ゆっくりとパンツを脱いでいった。
スカートの下から、黒い下着が姿を現す。
膝小僧を抜け、ふくらはぎを通り、綺麗に揃った足の爪先を抜けて、彼女の股間を覆っていたものは、完全に彼女から離れた。
「いよいよ見せてあげる。先生の、オ・マ・○・コ」
彼女は椅子に腰をかけ、両脚を持ち上げて左右に広げた。
少しでも早く見ようと、吉田は前のめりになってくる。
両脚が開き、すでに濡れている場所へと空気が入ってくるのが感じられる。
完全に両脚がM字に開かれ、まくられるようにスカートが腰の所まで降りた所で、彼女の股間は吉田の視線へと晒された。
「ねえ、見て。これが先生のオマ○コよ」
腰を突き上げるようにしているため、椅子の背もたれに上体を寄りかからせながら、先生は女性の深部を見せつけた。
「どうかしら? 先生のは?」
「はい、綺麗です。とっても綺麗です」
「うふふ。ありがとう。それじゃあ、もっと詳しく教えてあげる」
言って彼女は、両手の指先を、自らの股間へと添えた。
「ねえ、見て。もう濡れているでしょ。ほら、こんな風に」
人差し指と中指を揃えた指先が、割れ目をすぅいと撫でると、そこから溢れ出ていた蜜が、指先へと絡みつく。
右手を伸ばして、吉田の目の前で二本の指をVの字に広げると、その間を、つぅ、と細い透明な糸が渡される。
「ほら、女の人は、興奮するとここが濡れてくるの。理由は分かるでしょ。オチン○ンを入れやすくするためよ」
その滑りを想像したのか、吉田はごくりと唾を飲む。
彼女は再び両手の指先を、自らの股間へと当てた。
「ほら、割れ目の上に、小さな突起が見えるでしょ。これがクリトリスよ。女の人が、一番感じる場所」
言って彼女は、人差し指を突起へと当てた。
「ああん……」
途端に、びくびくとした電流が、全身を走っていく。
男のペニスの神経を、小さな一点に集中させた上で、さらに過敏さを数十倍にしたかのような、強烈な甘い刺激。
椅子にもたれかかっているせいか、その様子を彼女は見ることが出来ない。
自分が見えない場所を、吉田に見せていると思うと、ますます興奮するのだった。
「ん……ここはとっても敏感だから、触る時には大事にするのよ。指で触るだけでなく、舌先で舐めてみたり、鼻先を擦りつけたりしてみるの」
言われたことを想像しているのだろう。吉田は視線を集中させつつ、ごくりと唾を飲み、口の中で舌を動かすような仕草をした。
「クリトリスは、男の人のオチン○ンと同じで皮を被っているの。皮を剥いた方が気持ち良いんだけれど、中には痛がる女の子もいるから注意してね。
わたしは、皮を剥かれて直接舐められるのが好きかな」
指先でこりこりとクリトリスを弄りつつ、成増先生(三知雄)は、女の一番敏感な場所を感じていた。
時折指先を割れ目と当てて、ねっとりとした粘液をすくい取り、それをローションにして再びクリトリスを弄る。
「ん……こうやってクリトリスを弄っているとね。女の子の体は、それだけでは満足できなくなるの」
そう言って、彼女は割れ目の左右へと両手をやって、蜜を溢れ出させている花びらを左右へと開いた。
「この中に、オチン○ンが欲しくなるの。オマ○コを、オチン○ンで一杯にして欲しくなるの」
左右へと開いた女性の入り口へと、空気が入り込んでくる、男の体ではありえない感覚が伝わってくる。
「ねえ、想像してみて。この中に、吉田君のオチン○ンが入ってくるの。先生の流した蜜に塗されて、先生のいやらしい襞々で、ぐちゅぐちゅって擦られるの。
ほら、そうやって想像して、自分のものをオナニーしてみて。先生のいやらしいものを見ながら、オチン○ン、シコシコって擦ってみて」
「こ、こうですか?」
言われるままに吉田は、自らの右手を、勃起した股間へとあてがった。
「そうよ。まだ慣れていないから、軽く握る程度にした方がいいわね。そう、そうやって皮を被って膨らんでいる部分に指先を添えて、上下に動かしていくの」
「は、はい」
吉田は、ゆっくりゆっくりと添えた指先を上下に動かした。
まだ剥けるまでには至らないが、包皮が上下に揺れて、亀頭の先端が頭を出す。
「どう、気持ち良い?」
「うう、なんだか変な気持ちです。でも、僕、止められない」
「そうよ。その調子よ。そうやって、シコシコって擦るの。
それと、エッチなことを考えるのも忘れないで。ほら、吉田君が、先生の中に入ってきて暴れてる。吉田君のが、先生のオマ○コに包まれている」
そう言いつつ、彼女は指先を自らの割れ目へと突き入れ、吉田の指先と動きを合わせるようにして、ピストン運動を始めた。
ぐちゅり、ぐちゅり、と濡れた蜜壺へと、指先が出入りする音が、保健室内に響く。
「ああ、良いわ。吉田君のが、わたしの中に入ってくるぅ……」
彼女はすっかり興奮していた。細い指先であるが、それが童貞のチ○ポを銜えているかのように、くねくねと腰を動かしては、体の中へと挿入される快感を味わっていた。
「はぁ、はぁ、先生。僕、変です。なんだか、おしっこが出るみたいです」
「それが射精の合図よ。もっとシコシコしちゃいなさい。そうして、精液を出しなさい」
見ると、吉田の先端では、透明な先走りの汁が溢れていた。
あそこから、初めてオナニーをした男の子の精液が溢れてくる。
そう思うと、サキュバスの体が疼き、もう溜まらなくなる。
自らのオナニーを中断し、彼女は亀頭へとむしゃぶりつこうとした。
だが、
「ああ、出るぅっっ!」
吉田の爆発の方が早かった。
寸の所で間に合わず、近づけていた彼女の顔面へと、青臭い精気に満ち溢れた黄色がかった粘液が飛び散る。
びゅるぅぅぅ、びゅくぅぅぅ、どびゅぷるぅぅぅ
決壊したダムのように、熱い精液が放出され、彼女の顔を汚していく。
向かってきた精液が頬や鼻に当たり、昨日の口中発射とは違って、男臭い匂いを浴びせ伝えてくる。
そのむせかえるような匂いに、彼女は陶酔感を覚えた。
どろりとしたものが頬を伝っていき、彼女の顔を犯していくが、今の彼女にとっては、精液による化粧のように感じられた。
「はあ、はあ、はあ……これが、オナニーの気持ち良さなんですね……」
ぼんやりとした声音で、吉田が呟く。
頬を伝う精液を指先でぬぐい取って鼻先へ持って行くと、強烈な雄の匂いが、頭をくらくらとさせる。
それをそのまま口に含み、舌先で味わい、ごくりと飲み干す。
ようやく初オナニーの陶酔から帰ってきたのか、吉田が目を開けると、そこには自らの精液を顔に浴びせられた先生の姿があった。
「あ、先生。すみません」
「良いのよ。吉田君の初めてのオナニーを見られたんだもの。先生、とっても嬉しいわ」
妖艶な笑みを浮かべながら、成増先生(三知雄)は、またしても頬にこびりついた精液を拭って、口へと含んだ。
「うふふ。吉田君のザーメン、とっても美味しい」
「そ、そんな……」
初めてオナニーをしただけでなく、憧れの先生へ、その精液を掛けてしまった。
そのことに対する罪悪感と高揚感がない交ぜになった顔つきを、吉田はした。
そんな顔を見ていると、成増先生(三知雄)は、全身が疼いて堪らなくなってきた。
顔や口なんかじゃ物足りない。やはり、アソコで彼の精液を受け取りたい……
そう思った彼女は、まだ精液がこびりついた顔を、吉田の顔へと近づけた。
「ちゃんとオナニー出来たわね。それじゃあ、今日は特別に、先生がご褒美を上げる。ううん、ご褒美をもらうのは、むしろ先生の方かな?」
浴びせられた精液に酔っているせいか、これまで以上に色っぽい口調で吉田に囁きかける。
「先生にちょうだい。吉田君の、童貞」
「そ、それって……セックス……」
すっかり興奮し、自らもオナニーをした三知雄は、もう我慢できなくなっていた。
童貞の精液、そう思うと、それが欲しくて欲しくて堪らなくなる。
初めての快感を知った吉田も、その先に進むのは、まんざらでも無いようだ。
さっきはいきなり急なことをするのではないと制してきたミサも、もう文句は無いようだ。
いちいちミサに確認を取る暇すらもどかしく、成増先生(三知雄)は、吉田へともたれかかった。
「今日だけ、特別よ。明日からは、ただの保健医と生徒の関係を続けるの。それが約束できたら、オナニーなんかよりも、もっともっと気持ち良いこと、させてあげる……セックスしてあげる」
「は、はい……」
上擦った声で、吉田は答える。
「そう、それじゃあ、続きはベッドの上でね」
興奮する吉田の手を引き、ベッドへと仰向けに寝かせた。
股間では、さっき大量に精液を出したばかりだと言うのに、吉田のペニスは腹にくっつくようにして、びくん、びくん、と動いている。
「それじゃあ、吉田君の童貞、先生にちょうだいね」
言って彼女は、仰向けになっている吉田の腰の上へと、膝立ちになり、見せつけるようにして両脚を広げた。
広げた拍子に、中に堪っていた愛液が、とろりと流れ落ち、脈打つ吉田のペニスへとかかる。
彼の上に跨りながら、股間へと手をやって、その下で彼の頭の方を向いているペニスを、右手で持ち上げる。
「あ、痛い……」
腹に張り付くほど勃起しているものを上向きにしたされたせいで、吉田は痛みを訴えた。
「ご免なさいね。吉田君のオチン○ン、元気すぎるから、ちょっと角度が変になっちゃうみたい。でも、こうしないと入れられないのよ」
「だ、大丈夫です。我慢できますから」
「そう。最初のうちは痛いかもしれないけれど、そのうちに、そんなこと忘れちゃうぐらいに、気持ち良くなれるわよ」
言って彼女はにやりと笑う。
吉田のものの向きを調整しつつ、自らはゆっくりと腰を下ろしていく。
そうして、亀頭の先と濡れる割れ目が、触れるか触れないかの距離にまで近づいた。
「ほら、見て。あと少しで、吉田君のものが、先生の中に入るわよ」
「ああ、早く……早く入れてください」
股間に視線を集中させつつ、呻くように吉田は懇願する。
彼女がわずかに腰を下ろすと、吉田の先端に、濡れた部分が触れてくるのが感じられた。
「ほら、吉田君のものが、当たっているわ」
「早く、早く、入れたい……」
しかし彼女は、そのままの、触れるか触れないかの距離を保ったままだった。
さらに焦らすかのように、溢れる愛液が、上を向いた吉田のペニスを伝って落ちていく。
「お願いします。早く、早く、入れさせてください……」
上気した顔で、呼吸を荒くしてねだってくる男の子の顔を見ているだけで、興奮はますます高まっていく。
男を見下ろす騎乗位と言う、女上位の体位をしているせいもあるのだろう。
目の前にいる少年の童貞を奪うのだ、そして、女の中で初めて出す精液を受けとめるのだ、そう思うと、もっともっと焦らしてやろうかと、サディスティックな女の感情が湧き起こる。
「僕、もう、我慢できない」
とうとう彼は、いやいやをするように、首を左右に振り始めた。
「うふふ、それじゃあ」
突然のことだった。
彼女は深々と腰を下ろし、猛り立った吉田のものを、その根本まで、一気に喰らったのだった。
途端、彼女の子宮から背骨を通って、脳に向かってと、ずしりとした重たい快感が湧き起こる。
全身を火で炙られた杭で貫かれたかのような、強烈な、そして激しい刺激だった。
「ああ、良い……」
狂ってしまいそうなほどの快感だった。
かろうじて正気を保っていられたのは、彼女の方が女性上位だったからだけだった。
「ああ、先生の……すごい……」
吉田は目をぎゅっと閉じ、喘ぎ喘ぎしながら、呻いている。
「ああ、吉田君の童貞、とっても美味しいわ。
どう、吉田君、女の人のオマ○コの味は、童貞のオチン○ンで感じる、先生のオマ○コはどうかしら?」
女性としての快感だけでなく、目の前にいる少年が初めて知った女性体験をも感じようとするかの如く、彼女は吉田へと尋ねる。
「はい、先生の中、ぬるぬるしてて、うねうねって動いていて、熱くって気持ち良いです」
「ああ、先生も気持ち良いわよ。吉田君の童貞チ○ポ、わたしの中でびくびくしているわ」
入れられているだけで、チ○ポの持つ精気が入り込んでくるような気がしてくる。
女性の体としてでなく、サキュバスの体ならではの快感だ。
二人の腰は、密着したままだった。
騎乗位になって、深々と腰を下ろしている彼女の下では、吉田は自らの身を少しも動かすことが出来ない。
まるで、蜘蛛に捉えられた獲物のようだが、今の吉田にとっては、すべてを支配されることすらも快感に思えてくる。
それと鏡あわせの快感を感じているのが成増先生(三知雄)だった。
女性器で男のものをくわえこみ、その体を動かせないようにしつつ、自らの胎内へと引き入れた男のもの、形、固さ、熱さを味わっている。
「吉田君、もっともっと気持ち良くさせて上げる。先生と一緒に、もっともっと気持ち良くなりましょう」
そう言って、彼女は腰を上下に動かした。
ずしん、ずしん、と上半身の重み全てを込めて、吉田のものをくわえこんでいく、そんな動きだった。
その度に、成増先生(三知雄)の股間には、熱い杭が埋め込まれ、そしてその快感を伴った振動は、全身へと響き渡っていく。
感じているのは股間だけではない。上体を上下に動かす度に、胸元では二つの大きな乳房が不揃いな揺れをして、まるで見えない手に揉みしだかれているかのような刺激が伝わってくる。
ぐちゅり、ぐちゅり。
一突きする度に、密着した二人の合間から、淫らに肉壁をこね回す音が響き渡る。
その度に、吉田のペニスは微妙に角度を変えて、常に新しい刺激を彼女の膣壁へと与えてくる。
そして、そのすぐ上にある彼女の子宮が、だんだんと精液を求めて、下へ下へと降りていく。
もはや彼女は、女としての欲望と、サキュバスとしての本能に支配されていた。
「ああ、欲しいわ。欲しいの。お願い、ちょうだい。吉田君の精液、わたしにちょうだい」
求めるようにして、彼女はぐいっ、と腰を下ろす。
それに合わせるようにして、吉田の亀頭へと子宮口が吸い付き、きゅるきゅると撫で回す。
「ああ、出る、出ちゃう、先生、また、ぼく、出るぅ」
「ああ、出して、出して。吉田君のザーメン、わたしのオマ○コに出して、子宮に届くまで、ぶっかけてぇ!」
「ああっ!」
びゅくるぅ、どぴゅるぅぅ、びくぅぅぅ
「ああ、入ってくる。入ってくるぅ。吉田君の精液、わたしの中に入ってくるぅ」
吹き上げられた熱いマグマは、彼女の子宮口を直撃し、それでも勢いを衰えさせずに、その先にある部分へと入り込んでくる。
女体の奥底まで、男のものを吹き付けられて、その勢いに全身が吹き飛ばされそうになる。
吉田の射精は、まだ止まらなかった。間歇泉のように、二度、三度と繰り返して射精が続く。
その度に彼女は精液という媚薬に身をよじり、精気を吸い取っていくのだった。
精液から精気が溢れ出て、それが快感へと変わり、全身に広がっていく。
若く、活きの良さを感じさせられる精気の感じを味わえるのは、サキュバスの体ならではだった。
やがて、射精の流れが止まった。
快感の余韻が続く中で、成増先生(三知雄)は、股間にペニスを銜えたまま、仰向けになる彼の体へともたれかかった。
「わたし、すごく気持ち良かったわよ」
「先生、ありがとうございます。僕もとっても気持ち良かったです」
「そう思ってくれて嬉しいわ」
彼女は、満足げな笑みを浮かべた。
妖艶さは無いものの、女性としての満足感を得たその笑みに、まだ突き刺さったままの吉田のペニスが、びくりと反応する。
二度放出しても衰えない固さを感じつつ、彼女はそっと囁く。
「セックスさせてあげるのは、今日だけだからね。明日になったら、このことは忘れなさい」
「でも、こんな気持ち良いこと、忘れようと思っても忘れられません」
「それじゃあ、夢だったと思うことね。今日一日だけの、夢」
「夢、ですか。夢だったら、ずっと覚えていても良いんですね」
「そうよ。これは夢よ。今日だけの夢よ。わたしは、吉田君に良い夢を見させてあげただけよ」
そう言って彼女は、そっと吉田の頬へと、口づけをしたのだった。

第三章
教室で授業を受けていた時に、獲物を探しに学校を飛び回っていたミサが戻ってきて、三知雄の肩へと止まった。
『今日の相手を見つけてきたわよ』
『相手はまた童貞か?』
肩に止まるミサの姿が見えるのは三知雄だけだし、会話もテレパシーのように頭の中でやっているので、端から見たら、ちょっとぼんやりとしているようにしか見えない。
ましてや、誰の精気を吸おうかなんて物騒で淫靡な話をしているなどと想像する人は居ない。
『童貞だけれど、若くは無いわ。谷山って言う先生よ』
『げっ、あの谷山か』
谷山というのは、主に進路指導をしている先生だった。二年生である三知雄にとっては、まだ個別に面談したことは無く、教室に来ての話を聞いただけだが、やれ内申書がどうだとか、テストの成績がどうだとか、やけにねちねちと語っていたのを思い出す。
『どうしてそんな奴を相手にするんだよ』
『この人って、37歳にもなって、未だに童貞なのよね。この歳まで童貞となると、若い男の子とは違った精気の味がして、また良いのよね』
『相手をする俺の身にもなってくれよ』
同級生や年下の男の子を相手にする分には、サキュバスとして精気を吸うという本能もあったのか、割合と抵抗無く、むしろ興奮してセックスすることが出来た。
ただ今回の谷山、一言で言ってしまえば、おっさんである。
脂ぎった顔と、薄くなり始めた髪の毛を思うと、なんとなく、金のために気は乗らないけれど援助交際をしようとでもしているような気になってくる。
『まあ、サキュバスの体になれば、それも気にならなくなるわよ。それに、今日はもう一つ趣向があるから』
『趣向?』
聞きただそうとする三知雄を遮るように、ミサは言葉を続けた。
『それは放課後になってからのお楽しみ』

それから先は、何もないままに放課後になった。
『じゃあ、まずは変身するから、人気のない所に行って』
言われた三知雄は、階段下にある、使われなくなったロッカーが置かれた死角へと姿を隠した。
「それじゃあ、変身するわね」
ミサは肩から離れ、三知雄の廻りをぐるりと一周する。
体の内側からはくすぐったさが、外側からは押されるような、いつもの感覚が湧き起こる。
そんな感覚にようやく慣れてきた三知雄は、変身魔法少女とかも、こんな感覚なのかな、と思ったりする。
しばらくして、変身が終わった。
女の子の体になったのは分かるのだが、制服は男のままなので、誰に変身したのかは分からない。
「続けて、服も着替えるわよ」
ミサが両手を振り下ろすと、さっきまで寸法が合わなかった男の制服が、一瞬にしてセーラー服へと替わる。
色合いからして、同学年のようなものだった。
見下ろす三知雄の視界を邪魔するように、鼻先に何か重みを感じる物が載せられる。
(これは……眼鏡)
視力は良い方である三知雄は、眼鏡なんてのは、同級生から借りて試しにかけてみたことしかなかった。
その時には目の前が歪んでいるような気がしたのだが、変身している女の子は目が悪いせいか、掛けた眼鏡がしっくりとくる。
「おい、今日は誰にさせたんだ?」
「あなたと同じ、二年生の中村美香子よ」
「ああ、中村さんか」
一年生の時にクラスが一緒だっただけあって、その顔は良く覚えている。ただ、教室にいる時にはもっぱら一人で本ばかり読んでいたので、話をすることはほとんど無く、特に付き合いのないままに、学年が進み別クラスになってしまった。
今では、校内テストの成績が張り出される時に、トップにその名前を見るぐらいになっている。
「中村、さんか」
鏡で確認することは出来なかったが、手を伸ばしてみると、左右に作られた三つ編みに触れる事が出来た。
三知雄は近くにあった廃ロッカーを開けて、扉裏についている鏡を見つめた。
そこには、眼鏡と三つ編みが特徴的な、中村さんの姿があった。
眼鏡越しに、ちょっとおどおどとしたような、真面目そうな目つきが見て取れる。
「この姿で、谷山の所に行くのか?」
「そうなんだけれど、もう一仕事あってね。今度は、2年C組の教室に行って」
「この格好のままでか? もしかして、本物の中村さんにばったり出くわしたりしないだろうな?」
「大丈夫。彼女はもう塾があるからって帰ったみたいだから。それよりも、早く教室に行って」
「ああ、分かったよ」
中村さんの姿をしたままに、三知雄は下校途中の生徒が廊下を歩く中を進んでいった。
そういえば、他人に変身して大勢の中を歩くなんてのは初めてのことだった。
まるで変装をしているみたいで、ばれやしないかとドキドキしていたが、あまり他人と交友が無いのか、誰からも話しかけられることなく、C組の教室にたどり着いた。
『ええと、彼女は……』
『誰を捜しているんだ?』
『あ、いたわ』
ミサが指さすのは、C組の菱井怜奈だった。
彼女は授業が終わった教室で、ぽつりと一人椅子に座って、頬杖をついて、窓の外を眺めている。どことなく、私に関わらないで欲しい、というオーラが感じられる。
肩まで伸ばした髪の毛はぼさぼさで、男の気を惹くことなんかに興味は無いという感じだが、目鼻立ちは割と整っていて、これで笑ったりしたら結構可愛い子になるだろうな、と言った感じだった。
『菱井さん、か?』
三知雄はちょっと困った。彼女とは直接の面識は無いが、影では不良なことをやっていると評判の生徒なのだ。一応学校には毎日来て授業は受けているが、成績は下の方だし、先生からの受けも悪い。
『彼女を、どうするんだ』
『この中村さんと一緒に、谷山の所に行くのよ。それで、三人でエッチ』
『え、それって3P……』
エロ漫画でしか聞いたことのないフレーズを、三知雄は口にする。
『そうよ。どうやら、谷山の性癖って、複数の生徒と同時に傅(かしづ)かせたいってものなのよ。ま、そんなだから、いつまで経っても独身だったりするんだけれどね』
『そうは言っても、この中村さんの体だったらいざ知らず、菱井さんの方はどうするんだよ?』
『まかせて、昨日までで溜めた精気を使って、ちょっとした催眠術みたいなものを掛けるから。まずは彼女に近づいて』
「分かったよ」
中村美香子(三知雄)は、教室へと入っていって、怜奈の前へと立った。
「あんだよ」
不機嫌そうに顔を上げ、こちらを見つめてくる。
何て言おうか、と思う前に、肩に止まっていたミサが口を開いた。
「進路指導の谷山先生の所に行くから、あなたも一緒に来て」
ミサがそう言った瞬間、怜奈の視点は定まらないようになり、口もわずかにぼんやりと開いた。
「わ、分かった」
そうして二人は、進路指導室へと向かったのだった。

「失礼します」
美香子(三知雄)はそう言って、指導室のドアを開けた。
部屋の中には、何か閉じた資料の束を持った、谷山が立っていた。
「おや、菱井君も一緒じゃないか? どうかしたのかい?」
学年一の成績を取る女子と、不良と睨まれる
「今日は菱井さんの……親友の怜奈のことで、相談があって来たんです」
怜奈を連れてやってくる合間に、三知雄はミサから、どういう演技をすれば良いかを教わっていた。
美香子と怜奈は実は親友で、美香子は怜奈の進路が気がかりだ。それで、二人でその熱意を見せて、谷山の好感を買い、これからはしっかりと指導をしてもらおう、ということだった。
もちろん、二人が親友なんてのは、ミサのでっち上げだろう。ただ、怜奈の方にもそう思わせる催眠術のようなものを掛けているそうで、三知雄が話を進めていけば、同じように演技をしてくれるそうだ。
「そうなのか。君たちが親友だとは知らなかったよ」
やはり谷山もそう思ったのか、疑問ありげな口調で聞いてみた。
「はい、私たち親友です。だから、こんなことも出来るんです」
さっきミサから言われた指示に従って、美香子(三知雄)は、怜奈の体を抱きしめつつ、顔を近づけた。
怜奈は同性に抱きしめられて嫌がる様子は無い。
むしろ、これから起こることを、待ち望んでいるかのようだった。
顔の前に、怜奈の顔が近づいている。食生活が乱れているせいか、肌荒れがしているのが見えてくるが、それを補うようにして、目鼻立ちは整っている。
美香子(三知雄)の唇へと、熱く、ぽってりとしたものが触れてくる。
同性との、初めてのキス。
女性同士の、キス。
「ん……」
奪うようにして、唇を重ねていくだけでなく、美香子(三知雄)は怜奈の口中へと舌先を延ばしていく。
スイッチが切れ、力が抜けたように、怜奈の体がわずかに沈む。
それを支えようとぎゅっと握りしめると、怜奈の乳房が美香子(三知雄)の乳房へ当たってきて、柔らかいもの同士が触れあう弾力が感じられる。
「んふ……ん……」
上から覗き込むような位置関係の中で、美香子(三知雄)は、怜奈の口中をまさぐっていた。
レズ、という言葉が思い浮かぶ。
女とのキスは、男とは違っていた。
一番違うのは、唇の柔らかさだ。荒れた男のものとは違う、ぷるぷるとしたその感じは、良く作られたデザートを思わせる。
違っているのは相手だけではない。自分の唇も、女のものなのだ。
同性同士としての背徳感、そして、男である三知雄としての欲望が入り交じり、二重の興奮を作り出す。
ちらりと、谷山の方を見ると、いきなりのことにどうして良いか分からないと言った顔をしていた。
ただ、ミサから聞いていた通り、女生徒に興味があるのか、目の前で繰り広げられている背徳に染まった行為を止めようとはしなかった。
ちゅぱっ、という音と共に、美香子(三知雄)は、怜奈から唇を離した。
口元からは、怜奈と絡め合った唾液が、つぅ、と垂れ落ちる。
「どうです。先生、私たちの関係、分かってくれましたか?」
「わ、分かったも何も、不純異性交遊……いや、この場合は同性と言うべきか。そういうのはだね……いくらなんでも女の子同士というのは……」
谷山は興奮と驚きから自分を取り繕おうと、咳払いをするような仕草で、二人の顔を見詰めてくる。
「あら先生。私たち、ただのレズじゃありませんよ」
谷山が言おうとして言えなかった単語を、美香子はずばりと口にする。
「もちろん、男の人にも興味があります。例えば……谷山先生みたいな人とか……」
言うなり美香子(三知雄)は、セーラー服へと手を掛けて、するりと脱ぎ始めた。
「き、君。何を……?」
谷山が驚いている間にも、美香子(三知雄)はセーラー服を脱ぎ捨てて、スカートも外した。
横を見ると、怜奈も同じようにして、制服を脱ぎ始めている。
下着だけの姿になった美香子(三知雄)は、何の惜しげもなく、ブラジャーとパンツを脱ぎ捨てた。
蛍光灯の下に、色白の肌がさらけ出される。
そのすぐ横には、こちらはやや日焼けをした、怜奈の裸身が浮かび上がる。
「ねえ、先生……私たちの誠意を見せてあげます」
美香子(三知雄)は、裸のままに、谷山の腕へとすがりつき、さらけ出された乳房を二の腕に擦りつけた。
近づいてみると、オヤジ臭がわずかに感じられたが、それを嫌とは思わずに、むしろ大人の男を誘惑しているのだ、という行為をさらに興奮させる結果となった。
美香子に習うようにして、怜奈も谷山の反対側の腕へとすがりつき、美香子のものよりも大きい乳房を擦り合わせる。
「君たち……何を……?」
「先生、こんな状況になれば、何をするか分かるでしょ。先生と、私たちでエッチをするんですよ」
「そ、そんな。三人でなんて……いや、先生と生徒がそんなことを、しかもここは、進路指導室なんだろ」
「三人だから、先生と生徒だから、学校の中だから、余計興奮するんじゃないですか……」
しなだれるように美香子は寄り添い、谷山の耳元で囁く。
「それに、先生のここだって、期待しているみたいじゃないですか」
ズボン越しに谷山の股間を触ると、そこはすでに大きく固くなっていた。
「ねえ、先生。私たちの誠意、見てて下さい」
谷山の股間から胸元へと手をやって、美香子はワイシャツのボタンを一つ一つ外していく。
谷山は戸惑うばかりで、抵抗はしなかった。
『どうやら、墜ちたみたいね』
ミサの声が聞こえる。いざとなったら、女生徒二人が裸で居るところで叫び声を上げると脅迫しようとも思っていたのだが、わざわざそういうことをする必要も無いようだ。
美香子(三知雄)がワイシャツのボタンを外している間に、怜奈は腰を下ろし、谷山の前へとひざまずき、ズボンのベルトへと手を掛けていた。
「ひ、菱井君……」
怜奈はズボンを下ろし、続けざまにトランクスも下ろす。
美香子がちらりと見ると、昨日までに相手をした二人とは違い、黒ずんで、すっかり皮の剥けたものが姿を現したのだった。
「先生、机に座ってください」
もはや、谷山は美香子の言いなりだった。
机の上に腰を掛けて、足下まで下ろしていたズボンを爪先から脱ぎ取る。
「すごい。先生のここ、こんなに大きくなっている」
美香子が顔を近づけると、それに釣られるようにして、怜奈も顔を近づけてくる。
視界には、いきり立った男のものと、それをうっとりと眺める怜奈の顔があった。
「それじゃあ、二人で……」
美香子の言葉にこくりと頷くと、怜奈は舌先を延ばしてきて、谷山のものへと触れた。
同時に、美香子も火照った舌を差し出す。
「うくっ……」
童貞と言っていたから、女性の、それも若い女性と二人の舌が触れるなんてことは、初めてなのかもしれない。
不慣れな刺激と、生徒からこんなことをされているという背徳感をこらえようとするかのように、谷山は呻き声を上げる。
間近で見る他人の男のものは、美香子(三知雄)にとってはグロテスクなように思えた。
昨日までは、可愛いとすら形容できる若い雄竿ばかり見てきたが、こちらは、すっかりとエラが張り、毎日のオナニーの成果か、赤黒くなっているのだった。
そんなものをすぐ近くで見ることに、三知雄は嫌悪感を覚えたが、同時に別の感情が湧き起こる。
(男のものって、こんなに凶暴なものに見えるんだ……)
槍を思わせるそれを見ているうちに、サキュバスの体として、段々と興奮してくる。
これを舐め回したら、どんな声を上げるんだろう。これが射精したら、どんな味の精液が出てくるんだろう。
そう思っているうちに、美香子(三知雄)は、股間の辺りがぐしゅりと濡れ始めているのが感じられた。
濡れているのは股間だけではない。口の中は、ごちそうを前にした時のように、涎が溜まり始めているのだった。
「それじゃあ、一緒にね」
チ○ポを通して向かいにいる怜奈が、こくりと頷く。
まずは、雁首へと舌を伸ばした。びくん、びくんと、脈打っているものの動きを止めるかのように、二人の舌で、雁首を左右から挟み上げる。
そのまま舌を口に収め、ぽってりとした唇で、雁首の膨らみへとキスをする。
「うぁぁ……」
ちゅっ、ちゅっ、と音を強めに立てさせながら、雁首をついばんでいく。
そして、一度閉じた口から舌先を出して、くびれの部分を舐め回していく。
「ああ、中村君、菱井君。気持ち良いよ」
興奮をこらえるようにして、二人の頭の上へと、谷山の手のひらが添えられる。
ぺろり、ぺろり、と雁首から亀頭にかけてを舌先で舐めると、怜奈も加賀見合わせのように同じ動きをする。
時折、鈴口まで近づいた二人の舌が触れあう。
男のものへと舌を触れながらの、同性同士のキス。
三人の関係を縮図したような感覚に興奮を覚える。
美香子と怜奈の二人は、亀頭を半分ずつ口へ頬張るようにしながら、亀頭全体を舐め回しつつ、同時に二人でキスをする。
女と男を同時に興奮させ、そんな自分に三知雄も興奮する。
「ああ、君たち……良いよ。もっと、頼む……」
呻く谷山の声を聞きつつ、美香子(三知雄)は、名残惜しそうに亀頭から唇を離した。
舌先は触れたままに、今度は陰茎の脇に沿って、ゆっくりゆっくりと唾液の跡を付けていくようにして、舌先を根本へと這わせていく。
目の前では、まったく同じように、怜奈も舌を根本へと這わせていた。
根本まで来て、陰毛の感触が頬に触れた所で、再び上へと折り返す。
今度は舌先だけでなく、ぺったりと舌の表面を陰茎へと触れあわせて、舌全体で舐めるような動きだった。
二枚の舌に左右から密着され、谷山はもはや声は出せず、呻き声だけを上げている。
そんな様子を上目遣いに見ていると、美香子(三知雄)は、優越感へと浸る。
舌先を動かして、男を虜にする。
ペニスのことしか浮かべさせなくする。
射精をしたいとばかり思わせる。
セックスのことしか考えさせられなくする。
根本から亀頭へ、亀頭から根本へ、絶え間なく舌先を動かしつつ、亀頭にたどり着いた時には、怜奈と舌先を絡め合い、唇を重ね合わせる。
サキュバスとしてのフェラチオ。
三知雄としての怜奈とのキス。
美香子としてのレズのキス。
三様の興奮が一体となり、美香子(三知雄)の舌の動きは、ますます速く、強く、そして淫らになっていく。
「ああ、もう、出そうだ……」
その声を聞いた途端、美香子は怜奈に目配せをした。
怜奈は、それまで美香子と同じように動かしていた口元を下へとやり、谷山の玉袋へとしゃぶりつく。
「ああ、そ、そんな所……」
それと同時に、美香子(三知雄)は谷山の亀頭をすっぽりと口で覆った。
それだけでなく、ストローを吸うようにして、谷山のものをきゅうと吸い上げる。
いわゆる、バキュームフェラという奴だった。
ペニスの根本からの圧力に加えて、精液のたまり場である陰嚢へ怜奈刺激を受け、その出口である鈴口では、美香子が吸い付いてくる。
もう、我慢の限界だった。
「で、出るぅぅうう!」
びゅくるるぅぅぅっ、どぴゅぅぅぅ
美香子(三知雄)の口中へと、熱いものが解き放たれる。
しばらくオナニーをしていなかったのか、それはずいぶんと粘り気があり、濃さがあり、何よりも精気が感じられた。
(ああ、美味しい……)
もはや、精液に対する嫌悪感は三知雄には無かった。
味わうまもなくごくり、ごくりと飲み込んでいくと、精液が持っている精気が全身にみなぎっていき、それが快感へと変換していくような気がする。
「はあ、はあ、ああ、私は……?」
射精後の脱力感に捕らわれたのは、谷山は一瞬我へと返ったようだった。
だが、そんなことは一瞬だった。教室中にわきかえる、美香子(三知雄)が出すフェロモンの香り、そして淫靡な自らの精液の臭い、これらがない交ぜになり、谷山の理性を再び崩す。
さらに追い打ちを掛けるように、
「先生、今度は、私たちの中に、下さい」
全裸になったまま、股間をさらけ出すように、美香子と怜奈の二人は、両脚を広げるのだった。
「あ、うう……」
もはや返事というよりも呻き声を出すことしか谷山は出来なかった。
「それじゃあ、怜奈は机の上に仰向けになって」
机の上に体を乗せると、形の崩れない乳房が、上を向いた。尻から下は机からこぼれ落ちていて、だらしなく広がった股間の間に、もう男のものを受け入れる準備に濡れそぼっている女芯が見える。
その上に覆い被さるようにして、美香子(三知雄)は体を乗せた。
二人の乳房が触れあい、怜奈と同様にぐっしょりと濡れた女の部分が、近づき、互いの湿り気具合を伝え合う。
荒い息をする谷山の前へと、上下に重ねられた、若い女のヒップと、その中心で品定めをさせようと密着して並ぶ、蜜液に濡れた、ペニスの受け入れ口があった。
興奮のままに、谷山は腰を突きつけた。
どちらの穴に狙いを定めたわけではない。ただ、ゴールに駆け寄るマラソン選手のように、がむしゃらに穴へと入っていたのだった。
「ああん」
谷山のものを最初に受け入れたのは、美香子の方だった。
見ることのできない背後から、ずしん、ずしん、と言った強烈な腰使いと共に、男のものが出入りしては、溢れる蜜をローションにして、滑らかにピストン運動を繰り返す。
「ああ、先生の……良い……」
三知雄にしては、バックからの挿入は初めてだった。動物がするだけあって、自然とフィットする感じがするし、犯されているという興奮も、正常位以上だった。
「んああ、先生のが、私の中に出たり入ったりするぅ……」
美香子(三知雄)は、膣と子宮で、男のものを感じていた。
やはり、成人の男のものは違う。
まだ成長中の包茎チ○ポなんかよりも太く大きく、なによりも雁首が膣の中を擦り上げる感じが堪らない。
(大人の男のものって、こういう感じだった。やっぱり若いだけのとは違っているな)
そう思っていると、美香子(三知雄)の眼下では、ペニスを入れてもらえなかった怜奈が、物欲しげな顔をしている。
「ああ、美香子ってば羨ましい。欲しい、欲しいよ。わたしもオチン○ン、欲しいよ」
切なげな顔で、男のものを求めてくるのを見ると、男として三知雄は興奮してくる。
『まあ、男1に女2だから、どうしてもこうなっちゃうわよね。とは言っても、私もこのまま挿入されていたいし。それじゃあ、ちょっと変身することにしましょう』
ミサがそう言ったかと思うと、三知雄の尾てい骨部分が、何やらくすぐったく思ってきた。まるで、ペニスが勃起するように、何かが宙へと伸びていくのが感じられる。
(まさか……?)
そう思って振り返ってみると、美香子(三知雄)の尻の部分から、サキュバスの姿になった時に見たのと同じ尻尾が伸びているのが見て取れたのだった。
『おい、こんなものを生やしたら、驚かれるだろうが』
『もう大丈夫よ。二人とも、すっかり私の虜になっているから、少しのことじゃ、気にならないわ』
『そうなのか。それよりも、尻尾なんか生やして、どうするって言うんだ?』
『分からないの。オチン○ンが欲しくてしょうがない、怜奈ちゃんに入れてあげるに決まっているじゃない』
『え、入れ、られるのか?』
『ええ、そうよ。サキュバスの尻尾は、それで女のヴァギナもアナルも犯せるようになっているのよ。その感覚は、ペニスと同じで、快感の感度はそれ以上』
自分の置かれている状況に、三知雄はごくりと唾を飲む。
美香子として、谷山に犯されながら、サキュバスとして尻尾を生やし、男として怜奈に挿入をしようとしているのだ。
(ところで、尻尾なんて、どうやって動かせば良いんだ?)
そう思うと同時に、尻尾は三知雄が思った方向――彼の下でペニスを欲している怜奈の部分へとめがけて、その先端が向かっていったのだった。
自分の体に隠れているため、怜奈の入り口を直接見ることは出来ない。
手探り――尻尾探りで探していくと、柔らかい太ももの感触があり、同時に怜奈が、あふ、と声を上げる。
そのまま太ももの根本を伝っていくと、尻尾の先端は滑り気を感じ、そして目指す入り口を見つけた。
そういえば、と三知雄は思う。
女の子に挿入するのは、これが初めてなのだ、と。
いつかは自分にも童貞を捨てる機会が訪れるだろうとは思っていたが、それがまさか、サキュバスの尻尾でだとは思わなかった。
(ま、こういうのって、ノーカウントって言うのかな?)
そんなことを思いつつ、三知雄は尻尾を動かした。
先端へと、割れ目の肉感と、ぬめぬめとした蜜の感触が伝わってくる。
「ああ、お願い。焦らさないで。早く、入れて」
目の前で目を細めて訴えてくる怜奈を見ていると、一刻も早く、怜奈の中を感じたい、怜奈で気持ち良くなりたい、怜奈を犯したい、と思うようになっていた。
三知雄は尻尾を進めた。
「あう」
「くぅ」
美香子と怜奈の呻き声が、同時に漏れる。
求めていたものが満たされる、怜奈の悦び。
初めて知る女体に驚く、美香子の声。
入れる側と入れられる側の、二人の女の子の声が混じり合う。
(ああ、これが女の人の中、すごい、ぬめぬめしていて、ぐちゅぐちゅって締め付けてきて、暖かい……)
尻尾という疑似ペニスでではあるが、三知雄は初めて、女の中の具合を知った。
やはり、気持ち良い、の一言だった。
自分の手でするオナニーとなんか、比べ物にならなかった。
濡れて、うごめき、吸い付いてくる。
男を喜ばせるためだけにある器官の感触を感じつつ、これまでに体をかわしてきて、自らの胎内へと引き入れた男達があれだけ興奮するのも無理は無いな、と思った。
ミサが言った通り、サキュバスの尻尾の方が敏感だということもあるのだろう。男であれば、それだけで射精したくなるほどの快感が、尻尾から伝わってくる。
「ああ、入ってくる。あたしの中に、長くて太いのが入ってくる」
「怜奈、怜奈の中、とっても気持ち良いよ」
「これって、美香子のものなの。ああ、凄い、とっても気持ち良い」
女である美香子がどうして挿入できるのか、そんな疑問を持つ余裕は怜奈には無かった。
今の彼女に取っては、自らの中へと入ってくるペニス状のものだけが、全てだったからだ。
「ああ、良い……」
「わたしも、気持ち良い……」
女としての怜奈の喘ぎ声、男としての美香子の呻き声が入り交じると、それに興奮されたのか、谷山の腰の動きが、ますます速くなる。
「ああ、美香子君の中、すごく気持ち良いよ。これがセックスの快感なのか。なんて……気持ち良いんだ。ああ、もう、出そうだ」
それまでの激しいピストン運動が、一突き一突き、ぐいっ、ぐいっ、と美香子の腰を持ち上げるような動きへと変わっていく。
「お願い、出して。先生の精液、欲しい……」
絞り出すような美香子の懇願に、谷山の欲望は一気に弾けようとした。
「出すぞ、出すぞ、ああ、出るぅ」
そんな呻くような中山の声に反応したのは、美香子の下にいて、尻尾ペニスを挿入されている怜奈だった。
「あ、あたしも、欲しい……」
(そうは言われても……)
三知雄の尻から伸びている尻尾、確かにペニスと同じ、いや、それ以上の感度と役割を果たしているが、果たして射精できるものなのだろうか。
『大丈夫よ。女としての絶頂に達したら、射精も出来るようになっているから』
『そ、そうなのか』
それで美香子(三知雄)は安心し、たがが外れた。
「出して、出して、美香子の中に、先生のザーメン、一杯出して」
自ら腰を突き上げ、男の射精を乞い願う。
「いくぞっ!」
どぐぅぅぅぅ、どくっ、どくっ、ぐぅぅう
大きな射精があって、それに続けて小刻みに、二波、三波と精液が美香子(三知雄)の中へと入ってくる。
「うぁぁぁ……入ってくる。ああ、出るっ」
中へと出された精液に圧迫されるように、尻尾の根本が熱くなり、そこから長い尻尾を伝って、熱い塊が、怜奈の中へと入っている尻尾の先端へとたどり着いた。
どぴゅぅぅぅ、ごぴゅるるるぅぅぅ
女として射精され続けている中で、久し振りに感じる、射精の開放感。
男と女の快感を同時に味わいながら、美香子(三知雄)は、体の中に精気が満ち溢れていき、それが快感へと変わるのが感じられる。
下を見ると、射精をされて、とろけるような満足感に満ちた笑みを浮かべている怜奈の顔が見える。
今まで見たことは無かったが、自分も射精された時にはこんな艶っぽい顔をしているのか、と思うとドキリとするのだった。
谷山の射精は、これだけでは終わらなかった。美香子と怜奈をサンドイッチ状にしたままで、二人にさらに一度ずつ、射精をしたのだった。
事が終わって、これまでに感じたことのない快感にぼんやりとする二人を置いて、ミサによって変身を解かれた三知雄は進路指導室を出た。
「そういえば、あんなことしちゃったけれど、菱井さんと先生、どういうことになるんだ?」
「ああ、意識の方も変化させてあるから、二人とも合意の上でセックスしたことになっているわ。まあ、良いんじゃないの。少なくとも、これで内申書って奴ぐらいは、良くなるんじゃないの」
「そういうものか」
サキュバスの魔力が、どこまで影響を与えられるのか腑に落ちないままに、三知雄とミサは学校を後にしたのだった。

第四章
校門へとたどり着いた三知雄は、肩に乗っているミサに声を掛けられた。
「ねえ、あれって何?」
ミサが指さす先には、校舎に掛かる垂れ幕があった。
「祝、剣道部県大会出場決定」
と書かれている。
「あれか。うちの剣道部、部員が少ない割には強いからな。それで校長も喜んで、ああやって垂れ幕を作ったんだ」
「ああ、剣道って言うと、日本刀を持って斬り合いをするやつね」
「いつの時代の話だ……」
まあ、ミサは400年の間、封じ込められていたのだから無理は無いが。それにしては新しい言葉を知っていたりするのだから、良く分からない所がある。
「ふうん。これは使えそうね」
言ってミサは、にやりと笑った。

ホームルームが始まるなり、ミサは学校を飛び回ってくると言って、姿を消した。
戻ってきたのは放課後になってからだった。
「それじゃあ、剣道部に行くわよ」
「ちょっと待てよ。俺が剣道部に行ってどうするつもりだ」
「もちろん、その格好のままじゃないわよ。マネージャーとして行くのよ」
「おい、うちの剣道部に女子のマネージャーなんて居ないぞ」
「それなら大丈夫。試合に出場した5人全員に暗示を掛けておいて、女子マネージャーが居るって思わせてあるから。それと、県大会に出場したら、全員とセックスさせてあげるって約束したとも思いこませてあるから」
「5人、全員と……」
ミサの言葉に、三知雄は茫然とする。
「いやあ、乱交なんて久し振りね。私が現役の頃には、最大30人を相手したなんてこともあったから、肩慣らしにはちょうど良いわね」
「そ、それは……」
「大丈夫よ。女の子に変身しちゃえば、乱交なんて嫌じゃなくなるから。サキュバスに取ってみれば、獲物ばかりの酒池肉林の状況よ」
「そういうものなのか……」
この3日間、確かにミサの言う通り、女の体になって、男とは比べ物にならない快感を覚えていた。
ただ、さすが汗くさい男5人を相手にするのはどうかとも思うのだ。
乱交というものがあるとは話には聞いているが、そういうシチュエーションはエロ漫画でも読んだことが無い。
女として経験しようとしている未知の体験に、ちょっと戸惑う三知雄であった。
「さ、それじゃあ、陰に隠れて変身しましょう」
促されるままに、三知雄は階段下に置かれた廃ロッカーの陰に隠れた。
ミサが肩から飛び降りて、三知雄の廻りを一周する。
体の内側からはくすぐられるような、外側からは圧迫されるような、いつもの感覚が湧き起こる。
変身が終わった所で、ミサが両手を振り下ろすと、着ている服も替わった。
見下ろすと、見慣れた女子のセーラー服なのだが、少し違う。
「スカートの丈、ずいぶんと長くないか?」
普通なら、ちょうど膝が見えるぐらいなのに、それに比べるとずいぶんと長く、野暮ったさを感じさせる。
「良いの、良いの。体育会系のマネージャーって言えば、そういうのが萌えるのよ。熱血に燃える体育会系には、萌えで対抗するのよ」
何だか良く分からないことをミサは言う。
「顔立ちは……」
そう言って三知雄は鏡を見る。
そこには、ニキビの後が残る、あまりあか抜けた感じはなく、ひたむきな真面目さを持つような女の子の姿があった。
ただ、そんな顔立ちとは別に、胸の部分はやけに張り出していた。
「ところでこの子、誰なんだ?」
これまで、変身するにはそのモデルとなる子がいた。今回もそうなのだろうと思うのだが、彼女の顔に見覚えはない。
「ああ、今回は、特定の誰かに変身したって訳じゃないの。5人の理想を合わせて、そんな姿になったのよ。ま、精気もだいぶんと溜まってきたから、そういうことも出来るのよ」
「そんなものなのか」

変身したままの姿で、マネージャーの姿となった三知雄は、剣道場へと向かった。
入り口のドアをノックしようとして、ふと自分の名前を知らないことに気付いた。
「そういえば、この体の名前、なんて言うんだ?」
「ああ、名前は無くて良いわ。ただ、マネージャーって名乗っていればそれで良いから」
「そういうものなのか?」
「ええ、特定の女子ってことよりも、マネージャーって役割に全員興奮するみたいね。まったく、最近の若い男の子ってのは」
やれやれ、と言った感じで、ミサは肩をすくめる。
「そういうことなら……」
言って三知雄はドアをノックする。
「失礼します。マネージャーです」
「うむ、入ってくれ」
中から声が聞こえる。
ドアを開けると、稽古着に身を包んだ、5人の男が立っていた。
靴を脱いで近づいていくと、そのうちの真ん中に立っていた男が、おずおずと口を開いた。
「あの……約束した通りなのだが……俺たちが県大会に出場したら、マネージャーがセックスさせてくれるというのは本当、ということで、良いんだろうか?」
なるほど、そんな暗示を掛けたのか、と三知雄は納得した。
「ええ、良いですよ。先輩たち、頑張ったんですもの。だから、私、マネージャーとして出来る、精一杯のお祝いをしてあげます」
直立のままに言ってくるマネージャーの言葉を聞いて、5人はざわめく。
「そうか。君が嫌だと言うのなら、約束はなかったことにしても良かったのだが……」
あんまりそうはしたくなかったという口調で主将らしき男が言う。
「君がそう言ってくれるのなら、俺たちはマネージャーの好意を素直に受け取ろうじゃないか」
主将の言葉に釣られるように、残りの4人は、こくりと頷く。
「それでは……どうしようか」
主将は童貞なのか、それとも男5人でマネージャーを相手にするなんてことは想像していなかったのか、これからどう進めていいか悩んでいるようだった。
それは、三知雄にしても同じだった。5人相手にどうセックスすれば良いんだろうか。
悩みはするものの、男達の体はすでに反応していた。厚い稽古着の上からでも分かるぐらいに、股間のものは大きく前にせり出している。
「それじゃあ、まずは口でしてあげます」
その言葉に、男達はざわ、ざわ、と反応をする。
三知雄は、主将と思われる男の前に跪いた。
「先輩、それに皆さん、稽古着を脱いでください」
言われた男達は、一瞬にして全裸になる。
5人が5人、全員、股間のものは上を向いていた。
その形や大きさは様々で、勃起した男のものが並んでいるのを見るのは、なんとなくグロテスクな感じもするが、同時にサキュバスの体になっているせいか、美味しそうな獲物が並んでいるようにも見えてくるのだった。
「それじゃあ、まずは」
言ってマネージャーは、いきなり主将のものをくわえこんだ。
シャワーを事前に浴びていたようで、剣道部から想像されるような汗くささは感じられなかったが、どことなく物足りなくも思った。
唇で陰茎を加えたままに、喉の奥まで一物を頬張る。
「ああ、マネージャー……」
喉の奥に、先端の亀頭が触れてくるのが感じられる。
それから、ピストン運動のように頭を前後へと動かし、唇と舌先で、男のものを刺激していく。
直接見ることは出来ないが、口中へと男の形が伝わってくる。
サキュバスとしてのごちそうを口に入れられているためか、涎が自然と溢れてきて、口中の一物へと塗され、じゅぷり、じゅぷり、と音を立てる。
しばらくはフェラチオへ専念していたのだが、ちらりと見ると、左右では残された4人が、もどかしそうにして、自らの股間を手で擦っている。
ちゅぱっ、と言う音と共に、マネージャーはいったん口から男のものを開放した。
「まだ両手が余っているから、2人までなら、お相手出来ますよ」
言われた4人は一瞬ためらってから、上下関係を意識してか、2人が前へとせり出し、勃起したものを差し出した。
突きつけられたものへと、マネージャーはそれぞれの手を伸ばす。
大きさは違っていて、片方の方が一回り大きかったが、触ってみると、小振りな方が固かった。
(本当に、大きさと固さって奴は、逆になるんだな)
何かのエロ雑誌で読んだ、日本人はサイズは小さいがその分固い、という一文を思いだした。
それぞれの手で握りしめるようにしつつ、しこしこと擦っていく。
それと同時に、主将へのフェラチオも再開した。
口で1人を、両手で1人ずつを相手にする。それも、本来は性器では無い場所で。
そんなことをしていると、3人の男に奉仕させられていると思うと同時に、3人の男を手玉に取っているのだ、とも思えるようになってきていた。
口の中のものは、のど元を突いてくるかのように、固く大きくなっていた。
そのうちに、先端の鈴口から、とろりとした苦い液体が溢れ始めた。
精液とは違う、これから起こることの前触れである粘り気を、舌先でぬぐい取ると、もう、精液を飲むことには慣れていて、その苦さが癖になってきているのだった。
それに合わせるようにして、右手で擦っていた男のものからも、先走りの汁が溢れ出てきた。
それを人差し指でぬぐい取って、手にしているペニスへと塗していく。
「ああ、マネージャー……」
塗られた男は、そのいやらしい手つきと、自らの先走りが弄ばれていることに興奮をしたのか、呻き声を上げる。
右手で男のものをいじり、左手で擦り、口でしゃぶり付く。
「ああ、もう……出るっ」
主将が歯を食いしばるようにしながら、呻き声を上げた。
一度出してしまえば、いったんは終わってしまう。そうさせないために、必死に射精を我慢しているようだった。
それを見て、男の体は、一度果ててしまえば、すぐには回復できないのだから、不便に出来ているな、と思った。
それに比べて、この女の体は、何度でもイクことが出来るのだ。
5人の男を見つつ、彼らに順番に射精させて、その度にイクことも出来るのだ。
そう思うと、女の体としての、サキュバスの体としての、優越感が感じられるのだった。
必死に射精をこらえる男の顔を見ていると、もっといじめたい気持ちになってきた。
前後に動かす頭の勢いを増しつつ、唇と舌先で同時に男のものを責める。
「ああ、マネージャー、もう出る」
それに答えるようにして、じゅるるっ、と主将のものを吸い上げた。
どびゅるるぅうう、どくぅぅ、じゅうぅぅ
のど元へと、男臭い精液が、大量に放出される。
精気を伴った精液のいがらっぽさすら快感に感じつつ、マネージャーは、ごくり、ごくりと胃の中へと収めていく。
「ああ、マネージャーの口に、射精している……」
全てを射精しきったかのように、主将はぐったりと腰を下ろす。
そんな中で、次は俺だと言わんばかりに、さっきまで手コキをされていた男2人が、マネージャーの口へと、勃起したものを近づけてきた。
「次は俺が……」
上下関係があるのか、右側に立っていた男の方が先に口元へと近づけてきたが、それを焦らすかのように、口を反らした。
「このまま手でしてあげるから、二人同時に口の中に出して」
上目遣いにねだるように言ってくる姿に興奮したのか、男はフェラチオをさせるのを諦めて、そのまま手コキを続けさせた。
上を向いた二本のものを同時に擦っているうちに、その先端からは先走りの汁がどくどくと溢れてきて、マネージャーの鼻先へと、くらくらするような男臭さを伝えてくる。
「ああ、俺、出そうだ」
「俺も、出る……」
2人の亀頭が、ぶわりと膨れあがりそうになったのをめざとく見つけて、その2本の先端を、自らの口中へと向けた。
どぴゅぅぅ、びゅくるるぅぅぅ
どぷぅぅぅ、どくん、どくぅん
二本の先端から、白濁の男汁が、マネージャーの口中へと飛び込んでいく。
開いた口元へ、延ばした舌先へと、二人分の精液が、溢れ混む。
左右からの射精を感じつつ、マネージャーは、口を思いっきり広げて、一滴でもこぼすまいと、男のものを受け入れる。
その開いた口元は、親鳥から必死に餌をもらおうとする小鳥のようにも見えたが、うっとりとしたその目つきは、妖艶な女のものだった。
「あは……二人のもので、一杯……」
普通の倍の量となる精液を受けて、マネージャーは満足そうに呟く。
量が多い分だけ、口の中は精液でどろどろになっていた。
それを飲み込もうとした所で、ふと、残る二人の男の姿が目に付き、もっといやらしいことを思いついた。
こぼれ落ちないように、二人分の精液を口に含んだまま、残る二人の男のペニスへと手を伸ばす。
3人の相手をしている間に勝手にオナニーをしていたようで、すでに先走りの汁が溢れている。
元々が男ということと、今の体であるサキュバスの本能からか、どうすればすぐに射精させられるか、直観的に分かっていた。
手のひらを激しく前後に動かして、ペニス全体を包み込む一方で、時には人差し指で鈴口を刺激して精液をねだるようにしたり、また時には陰嚢を転がして精液の在処を可愛がるようにしたりして、男の欲望を刺激し、少しでも射精を早めようとしていく。
「マネージャー、そんなことされたら、俺……」
「俺も、もう我慢できない」
相変わらず二人分の精液を含んだままの口をわずかに広げて、「お願い……」と言ってみた。
その効果は抜群だった。
二人のものは、激しく脈打ち、その先端から、陰嚢からこみ上げてきた欲望の粘り気を撃ち放つのだった。
「ああ……」
口をやや上の方に向けつつ、大きく唇を開いて、二人の精液を受けとめる。
上あごへと、左右から二人の精液の濁流がぶつかってくるのが感じられる。
そのまま、どろりと舌の表面へと垂れて、口元やのど元へと溜まっていく。
二人が精液を出し終えたのを見て、マネージャーは口を閉じた。
口中には、四人分の精液が溜まっていて、それだけで口が一杯になってしまいそうだった。
その四人の精液を、マネージャーは舌先でかき混ぜる。
動きを邪魔するような粘り気を感じつつ、舌先で精液の集まりを攪拌していくと、口中を四人同時に犯されているような気持ちになっていく。
そして同時に、四人の男を手玉に取っているような気にもなっていく。
やがて、彼女はゆっくりと精液を飲み込み始めた。
かき混ぜられ、誰のものだか分からない精液を、一飲み、一飲みと味わっていく。
その分量は相当なものだった。
飲んでも飲んでも、精液はまだ口の中にある。
まるで、永遠に口内射精をされているかのようだった。
だが、それもやがては尽きる。
口中のものを飲み干し、歯の根元にこびりついているものを舌先でほじり、それも飲み込んでいくと、精液の満腹感というよりも、もっともっと欲しい、という欲望の方が高まっていくのだった。
サキュバスの体ならではだな、と三知雄は思う。
男だったら、他人の精液を飲むなんてとんでもないことだが、今の体では、意識までがサキュバスに犯されているのか、嫌な感じよりも、むしろ欲望の方が上回っているのだった。
(この中で、一番サキュバスの虜になっているのは、俺かもしれないな)
そんなことを、ちらりと思った。
そうやって、合わせて五人分の精液を飲むマネージャーの姿に、五人の男は興奮していた。
一度射精してから回復したのか、さっきから衰えないのか、五人とも勃起をしたままだった。
その形も大きさも様々だった。
それらを見ているうちに、腹部の辺りが疼いてくる。
今度は、子宮の中へと、それらが欲しくて堪らなくなる。
誰にしようか、と目移りしている中で、ミサの声が聞こえた。
『だったら五人全員を相手にしちゃいなさいよ』
『え、でもどうやって?』
『うふふ。この体だったら、前の穴だけでなく、後ろの穴も開発済みよ。それと口と両手があれば、五人同時だって無理じゃないでしょ』
『あ、アナルセックスって奴か』
三知雄は、ちょっとためらった。膣で男の物を受け入れるのには慣れたし、もともと膣はそういうものなのだが、アナルとなるとちょっと抵抗がある。
本来はそういう役割のものではないし、男にもある器官なので、男が男に犯されるのって、こういうことかと想像してしまいそうだった。
だが、ミサの声は、誘惑を伴っていた。
『気持ち良いわよ。二穴を同時に犯されるなんて、女の体でなければ経験できないことだもの。あなたの体が、オチン○ンで一杯になるの。前から後ろから、太くって固い物が入れられて、最後には精気に溢れた精液を流しこまれるの』
囁くように言ってくるミサの声に、三知雄はごくりと唾を飲んだ。
そして決めた。
「ねえ、ちょうだい。みんなもの、同時にちょうだい」
「え、同時って言っても……」
「うふふ、女の子の穴は、一つだけじゃないのよ。前だけじゃなく、後ろにも……
それに、口でだって、手でだって、気持ち良かったでしょ」
ついさっきの逡巡が嘘のように、口からは男をまとめて誘う声が漏れる。
言葉で求めるだけではなかった。
マネージャーは立ちあがって、制服を脱ぎ捨て、四つんばいになって彼らに尻を向けるようにした。
そして両手で、尻たぶを左右へと開く。
「ほら、みて。こっちの穴も、ひくひく言っているでしょ」
自分で見ることは出来ないが、尻穴はヒクヒクと蠢いているのが感じられる。
それだけではない。サキュバスの体がなせる技なのか、そこからは、とろりとした腸液のようなものが溢れ出ているのが感じられるのだった。
「ねえ、来て。先輩達のもので、私の穴、全部塞いで」
同時に、男五人が駆け寄ってくる。
剣道部だけあって、誰がどこの穴に入れるかは上下関係が出来ているようだが、一人の女性に対して五人で相手をするなんて経験はもちろんなく、どういう格好をして良いのか分からないようだった。
「じゃあ、私が先輩に教えてあげる。ふふ、ちゃんとマネージャーの言うことを聞くんですよ」
そう言って、彼女は立ちあがり、見せつけるようにして、両足を軽く開き、股間へと両手をやった。
「ほら、私のオマ○コに入れる人は、下に寝てください」
さっき最初にフェラチオをされた主将が、剣道場の床へ仰向けになる。
さらけ出された男のものは、ついさっき射精したばかりだと言うのに、マネージャーの裸身を見てか、さらに興奮して大きくなっているかのようだった。
仰向けになった主将の股間へと、彼女は騎乗位のポーズで跨ってから、腰を埋めていく。
さらに腰を下ろすと、すでに濡れている女の部分は、勃起した男のものを、ぐいぐいと飲み込んでいった。
「ああ、先輩のが、わたしのオマ○コに入ってくる……」
ぎゅっと腰を押しつけたままに、彼女は上体を主将へと覆い被せるようにして、その反動で尻を持ち上げた。
「それじゃあ、次は、私のアナルに入れてください」
おう、というかけ声と共に、二人目の男が背後へと回った。
ずぶり、と尻穴の入り口へと、男のものが当てられる。
「そう、そこです。先輩、そのまま腰を突き立てて」
言われた男は、腰をぐいと突き入れてきた。
「あふぅっ!」
初めて感じる、アナルを犯される感覚に、彼女は思わず声を上げる。
その感覚は……膣に入れられるのとはまるっきり違う快感だった。
男のものが入っている。
本来は排泄するはずの場所に入れられている。
快感を感じるはずの無い場所がふさがれている。
そんなはずなのに、いや、そんなはずだからこそ、彼女は快感を感じているのかも知れない。
「ああ、凄い。ケツの穴って、こんな感じなんだ。根本が締め付けられて、中がふんわりしていて……」
アナルを犯している男は、セックスの経験はあったが、さすがにアナルセックスの経験は無いようだった。
男の言う通り、アナルから伝わってくる感じは、彼女にとっても異質なものだった。
全体で男のものを撫で回すように動く膣とは違った動きが、伝わってくるのだ。
膣が男のものを受け入れようとして快感を感じるのなら、アナルの方は男のものを排泄しようとして快感を感じる。
アナルに入れられた男のものが、ゆっくりと引き抜かれる。
それに伴って、排泄感を伴った快感が湧き起こる。
この感覚、どこかで感じたことがあるな、と三知雄は思った。
そして、自分が初めてオナニーで射精をした時にも、やはり同じような排泄感を伴った快感だったのを思いだした。
そんな、本来は出口であるはずの場所へと男のものを挿入され、掻き回されているうちに、彼女は新たな性感が開発されていくのを感じるのだった。
開発されているのは後ろだけではない。同時に下にいる主将からは、絶えず膣めがけて腰が突き立てられ、股間が揺さぶられるのだった。
前と後ろからの挿入。その固くて大きな男の侵入を隔てるのは、わずかな壁しかない。その壁が、前と後ろから擦られることで、それに引っ張られるようにして、膣が、子宮が蠢いていく。
「ああ、良い……オマ○コもお尻も、すごく気持ち良い……」
女の体でしか味わえない初めての快感に流されないようにしているうちに、他の男から声がかかった。
「マネージャー、俺たちにも……」
取り残されていた三人の男たちから声が上がる。
「うん。分かった」
そう言って彼女は上体を持ち上げ、左右の手を伸ばした。
肩が持ち上げられ、口中へと男のものが侵入してくる。
両手へと、固い男の物が握らされる。
三つの穴に二つの手全てに男の性器を触れつつ、彼女はそれら全てを弄(もてあそ)び、そこから快感をひねり出そうと、全身を動かした。
自分自身の姿を見ることは出来ないが、想像すると興奮してくる。
剣道で鍛えられた筋肉質の男五人に囲まれ、オマ○コとアナル、そして口と両手にペニスを握りしめている、まだニキビの後が残る、生真面目そうな女の子。
そういう想像すらも、快感へと繋がっていく。
そんな姿を想像しただけでも興奮する上に、その彼女が感じていること全てを、三知雄は感じているのだ。
やはり、一番感じるは下半身だった。膣への挿入だけでも相当なものなのに、それにアナルへの挿入が加わってくる。
そこへ入れている二人は、思い思いに自らの快感を得ようと動いているため、歩調は取れて居らず、勝手な動きをする。
だが、一人の男がするピストン運動とは違った、二つのまったく異なる動きは、予想の出来ない刺激を、そして快感を生みだしていく。
そんな快感に流されるように、彼女の腰も勝手に動き、新たな動きへと変わっていき、そして新たな快感へと変わっていくのだった。
そんな強烈な責めを下半身で受ける一方で、上半身の方では彼女の方がイニシアチブを取っていた。
口中と二本の手で刺激される男は、ただ与えられる快感を感じつつ、この快感を必死に長引かせようと、射精をこらえているのだった。
受けと責め、同時に感じながら、彼女は絶頂へと向かっていった。
下半身から、熱いものがこみ上げてくる。
子宮が疼き、男の精気を求めようとする。
全身が熱くなり、ペニスのことしか考えられなくなる。
体の部分部分でわき上がっていた快感が、竜巻のような大きな一つのうねりになり、体中に吹き荒れる。
「んんっー、ん、ん……」
口の中に男のものを入れられているため、絶頂の声を出すことが出来ない。
全てを犯されているのだ。
そう思った彼女は、一気に高みへと駆け上っていった。
「んんんんんん……」
体中で、何かが爆発した。
「ん……んん?」
その爆発は止むことは無かった。
興奮のあまり、彼女の絶頂に気付かない男達は、ひたすらにペニスを動かして、侵し続けているのだった。
(なんだ、イッたのに、まだ気持ち良いなんて……)
一発だと思った爆発が、続けて、二発、三発と湧き起こる。
その度に、全身が、びくり、びくり、と震えて、意識が遠くなっていきそうになる。
(これって、イキっぱなしって奴か? 女の体だから、サキュバスの体だからか?)
そんな思いをかき消すかのように、絶頂はなおも続いていた。
もはや爆発どころではない。体中が快感の火にくべられ、炙り付けられているかのようだった。
膣への挿入が気持ち良い。
アナルへの挿入が気持ち良い。
口への挿入が気持ち良い。
そして手コキすら、気持ち良い。
そんな彼女のフェロモンが伝わってきたのか、釣られるようにして男達は射精へと向かった。
「ああ、出るぅ」
誰が言ったのか、それとも全員が言ったのか、せっぱ詰まった声が聞こえてくる。
無意識のうちに、彼女は腰をくねらせ、口を前後に揺らし、手を握りしめていた。
最初に感じたのは、膣の中での射精だった。
びくん、びくん、と男のものが流しこまれて、それに含まれる精気が、快感のエネルギーへと変わっていく。
それに影響されたのか、アナルにも射精をされる。
本来は出すべきところへと、精液が逆流してくる。
それを受け入れるべき器官は無いはずなのに、ペニスを包み込んでいるアナルは、ごくり、ごくり、と精液を吸い込む様な動きをした。
上半身で責められていた三人も、一斉に射精する。
彼女は口からペニスを離し、同時に両手で握りしめていたものの先端を顔へと向ける。
びゅくぅるるるるっ!
三本のペニスから、彼女の顔へと精液がまき散らされる。
頬へ、鼻筋へ、口元へと、どろりとした精液の顔面パックがなされる。
「あは、気持ち良い……」
ぺろりと舌を伸ばすと、活きの良い精液の味が感じられた。
そのまま上体を持ち上げると、顔に止まりきれなくなった精液が、胸元へとどろりと垂れ落ちていく。
彼女は両の手のひらで顔にこびりついた精液を拭い、乳房へと塗りつけるようにした。
精液でパックをされた、大きく形の良い乳房が、蛍光灯に照らされて、丸みを強調した反射をする。
そんな彼女の仕草を見ているうちに、精液を出した三人のものは、またしても回復してきた。
射精だけでは我慢できない、前の三人は、そんな顔つきをしていた。
「うふふ。やっぱり、手や口なんかじゃなく、私のオマ○コの中で、出したいですよね」
誘うような彼女の言葉に、三人はこくりと頷く。
「それじゃあ」
そう言って彼女は体を浮かし、後ろから挿入していた二人から抜け出るようした。
そして、五人から見える位置の床に腰を下ろして両足をM字に広げ、
「順番に、私の中で出してください。射精するか、一分経ったら次の人に交代ですよ」
五人の男の視線が、彼女の股間へと集中する。
そうして彼女は、次から次へと男のものを受け入れていったのだった。
制限時間の一分を越える余裕もなく全員が射精をし、それが数え切れないほどに続いていった。
1時間ほど経った時には、体中の精を吐き出した男達は、ぐったりとしていた。
その一方で、全員の精を繰り返し繰り返し受け入れた彼女は、むしろ活き活きとしていた。
倒れている五人の男達を見て、
「ああ、乱交って楽しい。またしたいな」
彼女は嬉しそうに、そう呟くのだった。

第五章

金曜日の朝のこと、家族と共に朝食を取っている三知雄の肩には、サキュバスのミサが座っていた。
焼き魚や納豆、みそ汁が並ぶ、ごく普通の和食だった。
『おいしそうね』
『精気が栄養のお前には、食事の味なんて分からないだろうが』
『そうじゃないわよ。おいしそうな獲物がいるってことよ』
ちらりと肩に止まるミサを見ると、隣に座っている、今年の春に大学に入った兄の敏史が座っている。
『お前、まさか兄さんを?』
『ええ、そうよ。家の中で兄とセックスするなんて、興奮しない?』
『男の時の俺にそんなこと言うなよ。お尻がむずむずする』
男の姿のままで、兄に体を求められるのを想像したら、口にしていた納豆の粘り気がやけに変な味に感じられた。
『大丈夫よ。女の子に変身すれば、そんなこと気にならなくなるから』
『兄さんの彼女にでも変身するのか? でも、兄さんって彼女いるのか?』
『それは変身してのお楽しみよ。あ、変身は学校から帰ってきてから家でするからね』
言ってミサは、いたずらっぽく笑うのだった。
「どうした、三知雄。虫でも飛んでいるのか」
ちらちらと自分の顔を見られているのに気付いたのか、兄の敏史が尋ねてきた。
「あ、何でもない。独り言だから」
「そうか」
そう言って三知雄はごまかしたのだった。

学校から帰ってくると、今日は授業のコマ数が少なかったのか、玄関には敏史の靴が置かれていた。
二階にある兄の部屋の前を通ると気配がするから、やはり返ってきているようだ。
自分の部屋へと戻って、三知雄は肩に止まるミサへと尋ねた。
「すぐに変身するのか?」
「ええ、いくわよ」
言ってミサは、三知雄の廻りを一周した。
いつもの変身する感覚が、三知雄を襲う。
男から女に変身するということで、視線の高さがだんだんと低くなっていくのだが、今回はそれがやけに続く。
終わった時には、周りにあるタンスやクローゼットがやけに高く感じられるぐらいになった。
「それじゃあ、服も変えるわね」
ミサが手を振り下ろすと、着ていた制服が、一瞬にして切り替わる。
「一体、どんな姿になったんだ?」
呟く彼の声は、やけに甲高い女の子のものだった。
鏡の前へと立つと、そこには小さな女の子が、体操服にブルマという格好で立っていた。
「なんだよ。こりゃ?」
女の子――というよりも少女の、素っ頓狂な声が漏れる。
自分自身の身長が変化しているので、自分と見比べることは出来ないが、使い慣れた鏡の高さから計算すると、今の身長は140センチぐらいだった。
まだ幼さすら残る顔つきで、赤ん坊っぽい、と言っても良いぐらいだ。
「これって、下手すりゃ犯罪じゃないか?」
小学校の真ん中ぐらいの顔立ちを見て、三知雄は呟いた。
「大丈夫。児童ポルノ法の改正案に文章は含まれないから」
「そういう問題じゃないだろ」
なんでそういうことをお前は知っているんだと思いつつ、三知雄は突っ込みを入れる。
「ええと、彼女の名前は三知香。小学六年生だけれど、クラスの中でも子供っぽい方、ってことになっているわ。将来なりたい職業は「Yes!プリキュア5GoGo!」のキュアレモネードうららちゃん
「なんだその設定は……」
呟いてから、まあ、魔法少女ものアニメとか良く見ていた兄だから、これも仕方がないかな、と思ったりする。
大学に受かった時には、「俺もサークルに入って彼女をつくるぜ」と言っていたが、その結果がこれか……鏡に映る自分の姿を見つめて、三知雄は兄に同情すら覚えた。
三知雄は、はあ、と溜息をもらす。
「で、この体でどこまでエッチすれば良いんだ?」
「ええと、毎日お医者さんごっこをして、最後にはエッチなお注射をしないと、まだ幼さの中にも女の性欲を満たした体は火照って眠ることは出来ない、ってなっているわね」
「完全な変態だな……」
我が兄ながら、そんなことを妄想していたのか、と思うと弟として情けなくなってくる。
「ってことは、記憶の方は書き替えてあるのか?」
「ええ、妹が一人いるってことになっているわ。だから、その格好で部屋に行っても、普通に接してくるわよ」
「普通、ねえ」
常識ってなんだろう、と三知雄は思った。
「さ、早くしないと親が帰ってくるわよ。なんだったら、両親の記憶も書き替えて、家族全員で可愛い妹を可愛がっている、ってことにしても良いけれど」
「さすがにそれはちょっと……」
呟いて、三知雄は兄の部屋へと向かった。
部屋の前に立ち、ドアをノックする。
「兄さん……お兄ちゃん、三知香だけど、入って良い?」
返事がある前に、ドアががちゃりと開いた。
ドアに立つ兄の姿は、身長が140センチになっている三知雄にとっては、見上げるほどに大きく見えた。
兄の顔は、いつもは見せないような、にやけた笑みを浮かべていた。
「さ、入った入った。今日もお兄ちゃんと遊ぼうな」
視線が低いせいか、兄の下半身がよく見えた。
ズボンの前が大きく膨らんでいる。
この変態兄貴、と思うと同時に、サキュバスの体になっているせいか、それが美味しそうにも見えるのだった。
「さ、座って」
兄の敏史はベッドに腰を掛けて、その横へと、三知香(三知雄)を座らせる。
「今日も、お医者さんごっこをしような。まずは三知香が先生だ。
お兄ちゃん、ここが熱くって変なんだ。触って確かめてくれないかな」
言って敏史は、三知香の小さな手を引いて、自らの股間へと引き入れた。
そこは熱く、固くなっていた。
二度、三度、とズボンの上から、妹を見て興奮しているものをさすり上げる。
「お兄ちゃんのここ、固くなってる……」
舌っ足らずな声で、三知香は呟く。
「じゃあ、直接触ってくれないかな?」
言うなり敏史は、ズボンとトランクスを脱ぎ下ろした。
そこでは、すっかりと勃起した物が、上を向いていた。
大学生だけあって皮は剥けていて、赤黒い雁首が張り出している。
「先生、触ってください」
言われるままに、三知香(三知雄)はおずおずと手を伸ばした。
手へと固いものが触れる。
この一週間、他人の男の物へ触れるのは何度も経験していたが、幼女の手で触るのは、これが初めてだった。
指先は伸びて居らず、まだ赤ん坊のような感じの小さな手で触ると、何かいけないようなことをしている感じもするし、男の物の大きさも、より一層はっきりと感じるのだった。
とても片手では握りしめられないチ○ポを、三知香は撫でるようにして、さすっていった。
「ああ、三知香の手のひら、とっても柔らかくて気持ち良いよ。いつもみたいに、両手でさすってくれないか?」
「うん、良いよ。お兄ちゃん」
三知香は、両手を伸ばして兄のものを掴んだ。
両手を幹の脇へと添えて、兄の反応を見つつ、しこしこと擦り上げる。
「ああ、気持ち良いよ」
しゅこっ、しゅこっ、と擦りつつ、だんだんと左右の手をずらしていく。
片方を亀頭の先端に当てて、もう一方の指先を裏筋へとあてがう。
撫でるようにして亀頭を刺激しつつ、指先で裏筋を上下になぞっていく。
「ああ、三知香の手のひら、すべすべしていて気持ち良い。そう、裏筋もそうやってなぞって……ああ、三知香。すっかり上手になってきたな。お兄ちゃん、嬉しいぞ」
刺激をこらえるように息を漏らしながら言ってくる兄の先端からは、先走りの汁が溢れ出てきた。
小さな三知香の手のひらを、ぬるぬると濡らしていき、潤滑油の役目を果たし、亀頭へとさらなる快感を与えていく。
「三知香……良いよ。今度は……しゃぶってくれないか?」
フェラチオには慣れている三知雄は、兄の言葉にすぐに従った。
体をかがめ、ぱくり、と兄のものを加えようと銜えようとしたのだが、唇が当たって、なかなか口に入れられない。
そうか、口が小さいから入れづらいんだな、と思って、思いっきり口を開いてから、口元を丸みを帯びた亀頭へと当てて、ゆっくりゆっくりと飲み込んでいく。
舌先へと雁首が当たり、陰茎が唇へと当たる。
どうにかくわえることができたな、と思ったら、亀頭の先端が喉に当たった。
いきなりのことに、三知香(三知雄)は軽くむせてしまった。
「大丈夫か?」
少女の口は、まだ小さいということを忘れていた。
見ると、唇はまだ陰茎の根本までは届いて居らず、すっかり飲み込んだつもりで、まだ半ばを残しているのだった。
三知香(三知雄)はこくりと頷いてから、改めて唇に含んだ兄のものを見つめた。
さっき手のひらで触った時もそうだったが、やはり少女の体になっていると、男のものが改めて大きく見えるのだな、と思う。
そして同時に、自分が小さな少女になっているのだ、と実感させられる。
亀頭だけで、口の中がいっぱいになってしまっているかのようだった。
舌先には、さっき出ていた先走りの苦みが感じられる。
三知香は、その精気に釣られて、ペニス全体を飲み込もうとしてみたが、小さな口にはとても収まりそうもなかった。
三知香は口から兄のものをいったん離して、顔を見上げた。
「お兄ちゃん、ゴメンね。三知香、お口が小さいから、まだお兄ちゃんのもの、全部飲み込めないの」
さっきむせてしまったためもあってか涙目になっている妹を見て、敏史は笑みを浮かべて、
「いいんだよ。三知香が一生懸命になってくれているのが、お兄ちゃん、嬉しいんだ」
そう言ったのだった。
「うん、それじゃあ、三知香。もっと頑張る」
そう言って、三知香は再び兄のものを銜えた。
小さな口で頬張る兄のものは、ひときわ大きく感じられた。
そんな中でも、兄を興奮させようと、溢れ出る唾と先走りの汁を絡め合わせ、亀頭へと塗していく。
同時に、ちゅぱっ、ちゅぱっ、と子供がキャンディをしゃぶるような音を立て、兄の聴覚を刺激する。
時折口を離しては、小さな口から寸足らずの舌を思いっきり伸ばし、ソフトクリームを舐めるようにして、鈴口の部分をしゃぶる。
その度に、ちらり、ちらりと兄の顔を見上げるのを忘れない。
兄は、うっとりとした表情で、妹の口による奉仕を見つめるのだった。
「ああ、三知香、気持ち良いよ。お兄ちゃん、そろそろ出ちゃいそうだよ」
言われて三知香(三知雄)は、兄の物を、ぱくりとくわえた。
張り出した雁首を唇にひっかけるようにして、顔を上下に動かし、亀頭全体を刺激する。
「ああ、出るぅっ!」
どぱぁぁぁっ、どぐぅぅぅ、ぎゅるぅぅぅ
少女の口へと、大量の精液が流しこまれてくる。
幼い口にとっては、その量は半端ではなかった。
口の中が、精液でいっぱいになってしまうのではないかと思えるほどだった。
「ん……んぐ……」
三知香は必死になって、口の中へと精気に溢れた男のものを溜め込んでいく。
射精が止んだ所で、三知香は口に精液を含んだままに、兄の顔をじっと見詰めた。
「別に、無理して飲まなくても良いんだぜ。いやだったら、吐き出しても良いんだぜ」
そう言ってくる兄に見せつけるようにして、ごくり、ごくり、と精液を胃へとたらし込んでいくのだった。
精液に含まれる精気が、サキュバスの体を通して快感のエネルギーへと変換されていく。
小さな少女の体へと、男の欲望を反映した精気が溢れてくるのが感じられる。
「無理して飲まなくても良いって言ったのに」
そういう兄の顔には、申し訳なさはあまり無く、むしろ期待通りに飲んでくれて嬉しいと言った表情だった。
「だって、お兄ちゃんのせーえきだもの。三知香、とっても美味しかったよ」
「三知香、ありがとう。お兄ちゃん、とっても気持ち良かったよ。
それじゃあ今度は、お兄ちゃんが三知香を気持ち良くさせてあげるよ」
言うなり敏史は、三知香の体を持ち上げた。
軽々と持ち上げている兄の様を見ていると、改めて自分の体の軽さに驚かされる。
そのままベッドへと横にされ、両足の間へと兄が入ってくる。
「それじゃあ、脱ぎ脱ぎしような」
敏史は、ブルマへと手を掛けようとした所で、いきなり顔を、ブルマの股間部分へと埋めてきた。
「ああ、三知香のここ、甘酸っぱい臭いがする」
擦ってくる鼻先が、ブルマ越しに三知香のクリトリスへと当たってきて、直接触られるのとは違った、ごわごわとした下着の肌触りを伝えてくる。
臭いを嗅ぎながら、敏史はブルマとパンツを同時に下ろしていった。
夏近いというのに、ひんやりとした部屋の空気が、すでに濡れている股間へと触れてくるのが感じられる。
「三知香のここ、もう濡れているんじゃないか」
ブルマと下着を脱がせて、再び股間へと近づいてきた敏史が、いたずらっぽく呟く。
「き、今日、体育があったから、汗で濡れているんだもん」
「そうか。汗なのか。それじゃあ、お兄ちゃんが綺麗にしてやるぞ」
言って、敏史の舌先が、股間へと伸びてきた。
「ひゃぁっ!」
割れ目へと触れてくる舌先の感触は、快感というよりかは、くすぐったいという感じだった。
まだ幼い体のため、性感が開発されていないからだろうか。
サキュバスの体なのだから、気持ち良くなっても良いと思うのだが、ミサのこだわりなのだろうと三知雄は納得した。
小さな割れ目へと、敏史の舌先がべったりと張り付いてくる。
舐められて、心地よいくすぐったさを感じているうちに、ふと三知雄は、自分のアソコはどうなっているのだろうか、と思った。
ロリコンには興味がないつもりだが、自分の体が少女のものになっているとなると、アソコの部分はどんな風なのか気になる。
仰向けに寝ているため、自分の部分を見ることは出来ない。
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
舐めている顔を上げて、敏史はこちらの方を向いてきた。
「三知香のアソコって、どんな感じ? 変じゃないかな」
「うーん、そうだな。小さくって、可愛いよ。
まだ毛は生えていないし」
つるつるの恥丘が、指先で撫でられる。
「クリトリスは皮を被っているし」
「ひゃふぅん!」
指先でその先端を触られると、過敏な感覚が伝わってくる。
「割れ目の部分は、まだ縦筋の切れ目が入っているだけみたいだし」
つぅ、と割れ目が男の人差し指で撫でられる。
そう言われて、三知雄は想像した。
自分の体が少女のものになっていて、股間はまるで粘土細工のように、簡単で幼い作りになっていることに。
そんな部分を、大学生である兄に舐められているのだ。
いけない秘め事を共にしているようで、三知雄は罪悪感の伴った高揚を感じてしまう。
「三知香のここ、とっても可愛いよ」
そう言って、敏史は再び割れ目を舐め始めた。
その舐め方は、まだ出来たばかりの壊れやすいものを愛でるかのような、軽い、優しいタッチだった。
そうされているうちに、最初はくすぐったさばかりが伝わってきていた中に、だんだんと別の感覚が湧き起こってきた。
「あは……」
股間を中心にして全身が熱くなり、炙られた蝋燭が垂れ落ちるように、割れ目から熱くなった蜜が溢れていくのが感じられる。
成熟した女体で感じるのとは違う、何かが開花していくかのような、じわりじわりとした性感だった。
「三知香のここ、舐めても舐めても濡れているな。ひょっとして、おもらししちゃったのかな?」
「違うもん。おもらしなんか、三知香、しないもん」
「じゃあ、どうして濡れているのかな?」
兄のなすがままにされ、三知香(三知雄)は、己の体の弱さと、小ささ、そしてはかなさを改めて知った。
「でも、穴から溢れてくるよ。この穴、おしっこの穴じゃないのかな?」
意地悪っぽく言ってくる兄の言葉に、三知香(三知雄)は、かっとした恥ずかしさを覚える。
「違うもん、そこは、おしっこの穴じゃないよ」
「それじゃあ、何なのかな?」
「それ……おま……」
恥ずかしそうに三知香は呟く。
「聞こえなかったな。もう一度言ってくれないかな」
「おま……ん……こ」
まだ舌っ足らずな声が、恥ずかしげに女の部分の名称を口にする。
そんな言葉に三知雄は興奮したが、それ以上に敏史の方が興奮したのだった。
「そうか。ここはオマ○コって言うんだ。何をする場所か知っているかな」
「それは……おちん……ちんを、入れるところ」
「オチン○ンか。三知香は、誰のオチン○ンでも入れちゃうのかな。そういうのは、ヤリマンって言うんだぞ」
兄の言葉責めに、三知香は頬を染める。
「そこに入れて良いのは、お兄ちゃんのおち……んちん、だけ」
「そうだよな。三知香のオマ○コはお兄ちゃんのものだもんな」
言うなり敏史は膝立ちになった。
すっかりと勃起したものが、天上を向いている。
「それじゃあ、これを三知香の中に入れてあげよう」
言って敏史は、三知香に覆い被さってきた。
「その前に、この体操服も脱がさないとな」
敏史が体操服の裾に手を掛けてきたので、三知香は脱がしやすいようにと、両手をあげて万歳のポーズを取る。
体操服が脱がされると、まだブラジャーをする必要もないような、つるぺたの胸と、その上に添えられた乳首が現れた。
男の胸のようにも見えるが、その横幅の小ささと、肉の柔らかみを感じさせられる、わずかに盛り上がった部分を見ていると、三知雄は自分は少女の体になっているのだ、と思い知らされる。
ぺたり、と三知香の胸へと、敏史の手が添えられる。
揉むほどの肉の無いその部分は、男の手のひらにすっぽりと収まってしまう。
これまでに見てきた女性の乳房に比べると、本当にこれから大きくなっていくのか心配になってしまいそうだった。
「お兄ちゃん、三知香のおっぱい、これから大きくなるかな?」
「大丈夫だよ。それに、三知香のおっぱいは、これだけでも十分に可愛いよ」
「そう、ありがとう」
撫でるようにして、敏史の手が動く。
まだ乳房を揉まれる感覚は無いが、男とは違った、柔らかくきめの細かい肌が触られている、という感触が胸元から伝わってくる。
「ああん……」
敏史の指先が、平らな胸の中心にある乳首に触れた時、同時に起こった甘い疼きに三知香は幼い溜息を漏らす。
「小さくても、ここは感じるんだろ」
こり、こり、とピンク色の乳首が転がされる。
乳首だけが自己主張をしている胸元から、過敏とも言える快感が伝わってくる。
「ああ、お兄ちゃん、気持ち良いよ。ねえ、もっと触って……」
人差し指と親指で乳首が摘まれると、わずかに乳首の部分が、大きくなったような気がした。
変化しているのは、乳首だけでない。
さっきまで弄られていた股間では、幼いクリトリスが充血していくのが感じられ、細い割れ目からは、尻の穴へと愛液が溢れていくのが感じられる。
「ああ、お兄ちゃん……良い」
幼い全身を震わせて、三知香は喘ぐ。
そんな小さな全身を、敏史は一望に見下ろして、満足げな笑みを浮かべていた。
「ほうら、三知香のここ。こんなに濡れてる」
蜜の溢れる割れ目から、人差し指で粘液をすくい取り、三知香の目の前へと見せつける。
「そんな……恥ずかしい」
自らの股間から流れ出たものを見せつけられて、三知香は思わず顔を背ける。
「三知香の……」
そう言って敏史は、濡れた指先をぺろりと舐めた。
「味、とっても美味しいよ」
「いやっ、恥ずかしい」
恥ずかしそうに、三知香は左右へと首をふり、いやいやと言う仕草をする。
「お兄ちゃん、もう舐めているだけじゃ我慢できなくなっちゃった。それじゃあ、今日もお兄ちゃんのお注射をしてあげるよ」
敏史が両足の間へと潜り込み、三知香の両足を広げる。
足に引きずられて、そのまま軽い全身が持ち上がってしまうかのようだった。
「それじゃあ、いくよ」
股間の部分へと、敏史のものが当てられる。
直接見ることは出来ないが、まるで、割れ目の上から下まで全部に、熱いものが押しつけられたかのようだった。
(こんなに大きなもの、こんな小さな体に入るんだろうか?)
三知雄が思う間に、敏史のものはずぶずぶと入ってきた。
(うわ、体が、押し広げられる……!)
狭い少女の肉襞は、兄のものを飲み込んでいった。
それと同時に、三知雄は、幼い体が上下左右に男の物で広げられていくのが感じられた。
体が引っ張られるような痛みがわずかに感じられるものの、それ以上に少女の体は柔軟に開き、兄のものを受け入れていく。
(ああ、入ってくる……兄さんのもの……入ってくる)
「ああ、三知香の中、気持ち良いよ」
幼い少女の中の感覚へと集中しようとするかのように、敏史は目を閉じながらそう言ってきた。
目の前にある兄の顔を見ていると、近親相姦、という言葉が頭に浮かぶ。
本来は許されない、背徳の行為。
兄と妹との、誰にも言えない秘め事。
そんな禁忌を犯していると思うと、いけないと思うと同時に、別の感情が湧き起こる。
本来は、してはいけないことをしている。
禁じられていることを、この二人は敢えてしている。
そして、股間から伝わってくる、心の中の罪悪感を上回るような、体が生み出す快感。
全てがない交ぜになり、より一層の高みへと盛り上がっていく。
「ああ、お兄ちゃん、お兄ちゃん、三知香、気持ち良い」
「三知香、お兄ちゃんも気持ち良いよ」
股間を見ると、兄のペニスが、ずぶりと埋め込まれている。
まだ幼いせいか、腰を突き立てていても、根本までは埋まりそうもなく、陰茎の根本が幼い割れ目から突きだしている。
「あぐう……お兄ちゃんの大きくて……三知香の中、お兄ちゃんので一杯になっちゃうよぉ」
初めは妹のために遠慮していたピストン運動が、だんだんと自らの欲望へと支配されていき、自制を失い大胆なものへとなっていった。
ペニスの埋め込み具合が、さっきよりも深くなっているのが感じられる。
膣の奥にある、ようやくその機能の役目を果たし始めたであろう部分――子宮が、兄のものに圧迫され、潰されつつも、柔軟に形を変えていくのが感じられる。
そんな圧迫感すら、小さな彼女にとっては快感へと変わっていった。
もはや、当初に感じられたくすぐったさは無かった。
女の体として、その性感が開発されたような、そんな感じだった。
開いたばかりの花は、幼さの残る快感を生みだしていく。
「ああ、三知香、気持ち良いよ。三知香、変になっちゃう」
「なっちゃえ……変になるぐらい、気持ち良くなっちゃえ」
「ああ、お兄ちゃん……お兄ちゃん」
言って三知香は、両手を伸ばして、兄をぎゅっと抱きしめる。
延ばした手が触れる背中は、ずいぶんと広く、たくましく感じられた。
「欲しい、欲しいよ。お兄ちゃんの気持ち良いせーえき、三知香にちょうだい」
「ああ、俺も……三知香……いくぞ」
ぐいっ、と敏史のものが、三知香の中へと深々と入ってきた。
「あふぅ!」
そのまま、のど元まで出てくるのではないかという圧迫感と、同時に強烈な快感を伴った挿入感が、三知香の全身を揺さぶる。
「出るぅ、出るぞっ!」
「来て、来て、お兄ちゃん、来てぇ」
三知香は、たくましい兄の背中を、ぎゅっと抱きしめる。
「ううぅ」
絞り出されるようにして、兄の口からは呻き声が、そしてペニスの先端からは、若い精液が溢れ出る。
どくぅぅぅ、どぴゅぅぅぅ、どくん、どくん
「あはぁぁぁ!!」
幼い少女が、叫びに近い喘ぎ声を漏らす。
子宮口を突き抜けて、精液の高ぶりが、子宮の中へと流れ込んでくる。
子宮がひくひくと動き、その表面全てを使って、精液を味わっているのが感じられる。
少女の体であっても、精液への反応は同じなのだな、と思うと、女体の仕組みがいかに複雑なものか、感じさせられる。
「ああ、お兄ちゃんのせーえき、三知香の中に入ってくる……」
「三知香の中、俺のものをぐいぐいと締め付けてくるぜ」
まだ幼い受け入れ口には、兄の精液は多すぎたのか、密着したままの股間の合間から、精液と愛液が入り交じった体液が、どろりと墜ちていくのが感じられる。
「ああ、お兄ちゃんのがいっぱいで、こぼれてきちゃう……」
「そうか。こぼれちゃったのか。それじゃあ、もう一回出してあげないとな」
「うん、お兄ちゃんのせーえき、三知香、もっともっとたくさん欲しい」
笑顔で兄に抱きつくと、まだ三知香の中に入ったままの敏史のものが、びくんと跳ねるのが感じられたのだった。

第六章

土曜日で学校が休みのため、サキュバスのミサを肩に乗せた三知雄は、午後の町中を歩いていた。
「どうだ。よさそうな獲物はいたか?」
ファーストフード店窓際の席に座りながら、二人は道行く人の流れを見つめていた。
「うーん、なんかこう、どーんとなって、がーっといって、ちょどーんとなるような相手がいればいいんだけれどねえ……」
「どういう意味だよ」
「あ、今のはサキュバスの業界用語だから」
「あんまりそれっぽく聞こえなかったけれど……」
「そういえば、ミサって400年前に封じられたんだよな……」
ふと、ミサと出会った時のことを思いだして、そう呟いた。
それに始まって、ミサは400年前に封印されたことや、それ以前の話などを、ぽつりぽつりと話していくうちに、時刻は夕方に近づいていた。
「ん、あれは」
そんな話を中断して、ミサが窓の外を眺めた。
見ると、休日出勤の帰りらしき、スーツに身を包んだサラリーマンが一人歩いていた。
「今日の獲物は、彼にするわよ」
言うなりミサは、窓をすり抜けて、男の耳元へと近づいて、何かを囁くような仕草をした。
1分ほどして、ミサは戻ってきた。
「ほらほら、さっそく変身するから、どこかに隠れて」
「いきなりそう言われても……」
きょろきょろと店内を見渡すと、男女共用のトイレが目に付いた。
「ああ、あそこなら」
三知雄はトイレへと駆け込む。
ミサは肩から降りて、三知雄の周りを一周した。
いつものように、体が内側からくすぐられて、外側から圧迫される感じが湧き起こる。
変身し終えて鏡を見ると、25歳ぐらいの若い女性が映し出されていた。
黒い髪の毛は軽いカールが掛かっていて、目はぱっちりとしている。
口はおちょぼ口で、全体としては控えめな感じのする女性だった。
「それじゃあ、服も着替えるわよ」
ミサは両手を振り下ろした。
一瞬にして、服装が替わったのだが、体の前の方にわずかに薄い物が掛かるだけで、腰から背中にかけては、やけにすーすーとした。
彼女が身につけているのは、裸の上にエプロンだけという、いわゆる裸エプロンという格好だった。
「なんじゃこりゃ!」
甘ったるい女の声で、三知雄は叫ぶ。
「あの男、まだ独身なんだけれど、新婚生活に憧れているみたいなのよね。新婚生活と言えば、なんと言っても裸エプロンで決まり!」
「決めるなよ! だいたい、この格好でどうやって外に出るつもりだ」
「ああ、そうだったわね」
言われてミサは、もう一度両手を振り下ろす。
今度は、ピンク色のワンピース姿になった。
「これなら、大丈夫か」
ワンピースなんて着るのは、三知雄にとってはもちろんこれが初めてのことで、どうも腰から下が落ち着かない感じがするが、さっきの裸エプロンに比べたらマシだろうということで、これ以上注文は付けなかった。
変身した姿でトイレの外へと出る。
男が入って女が出てきた訳だが、幸いとそれに気付かれることはなかった。
「さっきも言った通り、今日は新妻って設定だから、そういうつもりでいてね。それと、彼の部屋はワンルームのアパートだから、エッチは近くのラブホテルですること。あ、今のあなたの名前は遙。相手の名前は真雄って言うの」
「ああ、分かったよ」
三知雄は駅へ向かう彼の姿を見つけ、駆け寄るなり腕を取った。
「お帰りなさい、真雄さん」
「ああ、遙さんか」
抱きつかれた真雄は、彼女の顔を見るなり、崩れるような笑みを浮かべた。
「でも、急に駅まで迎えに来るなんて言って、どうしちゃったの」
「決まっているじゃないの。あなたの顔が、少しでも早く見たかったからよ」
そう言って、遙(三知雄)は、真雄の鼻先を、つんと突く。
そんな仕草を見て、真雄はさらにでれでれとするのだった。
「ねえ……今日はまっすぐ家に帰りたくないな。ちょっと寄り道しましょうよ」
遙(三知雄)は甘えるように肩を近づけ、そっと囁く。
「寄り道ってどこへ?」
それには答えずに、彼女は繁華街から離れるような道を、真雄にくっついたまま歩いていった。
数分してたどり着いたのは、繁華街外れの、ラブホテルが並ぶ場所だった。
「ここで、良いの?」
確認するように聞いてくる真雄の顔は、確認というよりかは、だめ押しのような興奮したものだった。
遙(三知雄)は、こくりと頷いて、近くにあったホテルへと彼の腕を引っ張った。
なるべく恥ずかしそうな姿をしようと俯いているものの、三知雄にとって初めてとなるラブホテルには興味があった。
(へえ、こんな風になっているのか)
中へ入ると、各部屋の内装を記した写真が壁に飾られている。電気が消えているのは、使用中ということだろう。
「どこが良い?」
「うん、真雄さんの好きな所なら、どこでも良い」
それじゃあ、と真雄は大きなベッドが映し出された部屋のスイッチを押した。
受付で支払いを済ませ、二人はエレベーターで、三階へと向かう。
部屋に入ってみると、なるほど大きなベッドがあった。
「じゃあ、シャワーを浴びてくるから」
ネクタイを外しつつ、真雄が言ってくる。
「うん。分かった……」
ベッドに腰をかけて頷いた彼女の顔を見て、真雄は寂しそうな顔をした。
(あ……)
彼が何を求めているのか、男としての三知雄はすぐに理解した。
「あの……わたしも、一緒に入っていいかな……」
一緒に風呂に入るなんてのは、新婚生活の醍醐味だろう。ましてや、現実の真雄はワンルームに住んでいるのだから、風呂も狭いユニットバスかもしれない。
脱衣場に入って、二人はなんとなく背中合わせになって服を脱いだ。
脱ぎ終えた所で、真雄の手が肩へと掛けられ、くるりと体を返された。
全裸になった二人が向かい合う。
「遙さん。綺麗だよ」
「綺麗って……どこが?」
その視線が顔ではなく、胸元へと向かっているのに気付いて、遙(三知雄)はいたずらっぽく尋ねた。
確かに、真雄が見とれる通り、遙の胸は立派で綺麗なものだった。
ブラジャーを外しても垂れない、形の良いお椀形をしており、ずっしりとした重量感が肩から胸元へと掛かってくるのが感じられる。
ずいと前にせり出していて、足下への視界を邪魔するぐらいだった。
「それじゃあ、入ろうか」
二人は湯気の立ちこめる浴室へと入り、向かい合うようにして湯船へと入った。
二人が悠々と入れる広々とした感じの風呂は、内風呂でも、銭湯でも味わえない開放感を与えてくれた。
胸元まで湯に浸かると、脂肪で軽いせいか、乳房がぷかりと湯船に浮いて、下から持ち上げられるような格好をする。
湯の中で感じる乳房の感触は、普段とは違ったものだった。
いつもだったら重みとして感じるはずの乳房が、むしろ軽い浮きのようなものとして感じられる。
男よりもはるかに表面積の広い乳房全体へと、心地よい湯の温もりが伝わってくる。
背中の方から流れてくる水流が、胸元で小さな渦を作り、すでに興奮して尖っているピンク色の乳首をくすぐってくる。
「遙さんのおっぱい、お湯の中でたぷんたぷん揺れているね」
真雄もそれに気付いたのか、にやけた笑みでそう言ってくる。
「触っても、良いよ」
その言葉を待っていたかのように、真雄は乳房へと手を伸ばしてきた。
まさぐってくるその手つきは、まだ女の体を扱い慣れて居らず、自らの欲望の赴くままに、揉みしだいているだけのようだった。
そんな、乱暴とも言える手つきではあったが、湯船に入って敏感な体になっている遙(三知雄)にとっては、そんなぎこちなさも、心地が良かった。
延ばされてくる彼の両手の下を見ると、揺れる湯の上からでも、彼のものが勃起しているのがはっきりと見て取れた。
「真雄さんのも、触っちゃう」
いたずらっぽく笑って、遙(三知雄)は、真雄のものへと手を伸ばした。
流れる湯の中でも、それは直立の姿勢を保っていた。
直接触るのとは違って、湯が邪魔をして、しこしこと擦ることは出来ず、撫でる程度にしか触れられないが、それでも彼のものは、びくん、びくん、と反応する。
そんな真雄の反応を見ているうちに、浴室の脇に、銀色のエアマットが置かれているのが目に付いた。
その横には、ローションが入っているらしきボトルが立てられている。
(ローションプレイも、良いかな?)
AVでしか見たことのないプレイを思い出しつつ、遙(三知雄)は左手で、エアマットを指さす。
「ねえ、あれで遊びたいな」
振り返ってエアマットを見た真雄は、こくりと頷き、遙を湯船から引っ張り上げた。
エアマットを洗い場へと横たわらせ、その上へと彼女を仰向けに寝かせる。
そして、ローションの入ったボトルを手にして、彼女の体へと垂れ落としていったのだった。
遙(三知雄)の体へと、透明なローションが垂らされ、湯に火照った柔らかい肌に沿って流れ落ちていく。
まるで透明な細い無数の指先によって撫でられているような、くすぐったさの混じった気持ち良さが伝わってくる。
「くふっ」
思わず漏れた溜息を聞いて、流されるローションの量は、ますます多くなった。
男からローションを垂らされていくのを見ていると、まるで自分が料理になって、調味料を掛けられているかのようだった。
そうやって味付けをされた女体は、すぐに男によって食べられることになる。
そんなことを想像すると、受け身の、新妻の女としての興奮を感じるのだった。
全身へとローションが垂らされた所で、真雄は自らの両手にもローションを塗してから、彼女の体へと両手を触れた。
上を向いても垂れていない乳房へと、男の両手がそれぞれの膨らみへと当てられる。
「ああん、真雄さんのすべすべした手が、当たってくる」
ヌメヌメとした手つきは、さっき湯船の中で感じた、乱暴なわしづかみとは違ったものだった。
童貞の男が、いきなりテクニシャンへと変わったような、そんな感じだった。
丸みを帯びた陶器を磨くようにして、ローションが形に添って塗りつけられていく。
その度に、乳房は男の指先を受け入れるようにして形を変えつつも、全体の丸みは保ったものだった。
胸元で、男の手によって乳房が弄ばれているのを見ると、三知雄も興奮してくる。
(すごい。おっぱいが、ぐにゅぐにゅってしてる)
初めはふもとの方を触っていた手のひらが、段々と上へと向かってくる。
その頂にある乳首に触れた時に、
「ああん……」
甘酸っぱい電流が、ローションにまみれた指先に触れた乳首から伝わってくる。
それに気をよくした真雄は、まるで粘土細工をするかのように、胸へと垂らされたローションを乳首の部分へと寄せ集めて、染み込ませるようにして、乳首を責めてくる。
「ああ、ああん……おっぱい、乳首、気持ち良い……」
思わず首を振ると、垂れてきたローションにまみれた首元が、ぬるぬると滑る。
「お願い……もっと……」
乞われた真雄は、両手を離したかと思うと、ローションまみれの両手で自らの胸板を撫でてから、遙へと覆い被さってきた。
「ん……」
まだ真っ正面向いて男とキスをすることに慣れていない三知雄は、目を閉じて待った。
男の顔が近づいてくる気配がして、唇が閉じられる。
「んふ……」
唇がこじ開けられ、中へと舌が入り込んできて、興奮にまみれた唾液と共に舌を絡みつかせてくる。
その一方で、ローションにまみれて、興奮のためかわずかに膨らんだような乳房へと、男の固い胸板が押しつけられる。
乳首が柔らかい乳房の中に埋め込まれつつ、弾力のある若い乳房は、男の胸板を押し返す。
そんな乳房全体を愛撫するように、男の胸板が円を描く。
その度に、男の胸板と女の乳房に挟まれた乳首は、ころころと転がる一方で、だんだんと充血し、その大きさと存在感を増していくのだった。
「ああ、気持ち良い……おっぱい、ぬるぬるしていて、気持ち良い……」
体が膨れあがったような、女性ならではの感じ方に、遙(三知雄)は、悶え、体をくねらせる。
その度に、太ももへと、熱くて固いものが当たってくるのが感じられる。
男のものだな、と思うと、興奮すると同時に、それが欲しくて欲しくて堪らなくなる。
遙(三知雄)は、手を伸ばして、真雄の雄竿へと右手を添えた。
ローションまみれの遙の体と密着していたせいか、そこもぬるぬるとしていた。
滑りを伴った手つきで、遙は真雄の一物の形に添って指先を動かしていく。
体を覆い被されているせいで直接見ることは出来ないが、雁首はすっかりと張り出し、竿から浮き上がる血管までが感じられるかのようだった。
「ああ、これ、欲しい……」
うっとりとした声で、遙は乞い願う。
「お願い、ちょうだい。ローションなんかじゃなくて、もっと濡れているわたしの所に、これ、ちょうだい」
遙の言う通り、男にローションを塗され、のしかかられ、乳房を愛撫され、女の部分はすっかり興奮して、ローションとは違う、女体が生み出す粘液を溢れ出させていた。
「ああ、いくよ」
真雄はローションで何度か手を滑らせながらも、遙の両足を捉え、M字に開かせて、自らの先端を、蜜で溢れた遙の部分へと押し当てた。
「ん……」
丸く、熱い感触が、自らの入り口へと当てられ、遙(三知雄)は小さな溜息をもらす。
2種類のローションで濡れた性器同士は、すぐに中へと入っていった。
ずぶり、と一突きだった。
「ああん、真雄さんのが、入ってくる」
いきなり、女体の奥深く、子宮口にまで、男のものが突きつけられる。
濡れたマットの上で体を動かすのは大変だと思ったのか、真雄は相手の体を固定させるように、遙へと覆い被さり、上体を抱きしめつつ、下半身を前後へと動かす。
上体は男の太い腕と胸板に固定されつつ、下半身では男の熱い杭に穿たれる。
「ああん、良い……」
ぬるり、ぬるり、と上体が擦れ合わされる一方で、下半身からは、ぐちゅっ、ぐちゅっ、という激しい性器の擦れ合う音が聞こえてくる。
一突きされる度に、男のものは、入り口の淫唇から、奥にある子宮口までを、一気に擦り上げ、そして、子宮を吸飲するかのような勢いで引き抜かれる。
まるで、膣と子宮がこね回されているかのようだった。
その度に、全身が熱くなり、体中が火照ってくる。
ねっとりとしたローションにまみれる全身が心地良い。
挿入されている性器の上では、尖ったクリトリスへと、男の腰が当たり、くすぐっていっては、膣とは違う鋭い快感を与えてくる。
全身を快感がうねっていく。強弱伴った様々な快感が、段々と一つにまとまっていき、子宮を中心にして大きなうねりを作っていく。
「ああ、わたし、イッちゃいそう」
叫びに近い声で、遙は喘ぐ。
「お願い、出して、出して、わたしの中に出して」
「そうだよな。そろそろ赤ちゃんも、欲しいものな」
言ってきた男の言葉に、遙(三知雄)はぞくりとした。
そうなのだ。今のこの体は、赤ん坊が作れる体なのだ、と。
男の精液を浴びて、卵子へと受精して、子宮で赤ん坊が育っていく。
そんな、複雑な役割を持たされた体なのだと思うと、妊娠という言葉を伴って、三知雄を興奮させる。
「そうよ。お願い、妊娠させて、あなたの精液で、わたしを妊娠させてぇ」
喘ぎながら叫ぶと、遙(三知雄)の興奮はますます高まった。
それに合わせるように、体の中で女性の器官が蠢(うごめ)く。
より深い挿入をさせようと、膣が粘液を吐き出す。
精液を吸い込もうと、膣がうねうねと脈動する。
精子へと近づこうと、子宮が亀頭へと近づいていく。
すべて、男の精子を求める、受精を求める動きだった。
これまで、精気を求めるサキュバスとしての体だとばかり思っていたが、改めて女体自体が持つ、精子への執着心と、そして貪欲さを感じさせられる。
「欲しい、欲しいの、精液欲しいの。赤ちゃん、欲しいの」
遙(三知雄)は、両足を伸ばしたかと思うと、真雄の腰へとぎゅっと絡めた。
両手と両足で、男の体に絡みつくその様は、獲物を巻き取った蜘蛛のようだった。
その中心では、獲物に食らいつくかのように、男のものを自らの受け口で、深々と飲み込んでいる。
「いくぞ。イクぞっ!」
「ああ、イクぅ」
頭の中が真っ白になり、快感が全身を支配するのと、体の中心へと男の子種が詰まった精液が入り込んでくるのは同時だった。
「ああっ、入ってくるっ、精液、入ってくる。イク、イクっ、妊娠しちゃうっっっ!」
体中が絞られるような快感のうねりを感じるのと同時に、子宮口へと熱い精液が、どくどくと浴びせられるのが感じられる。
サキュバスとしての体は、流しこまれた精液を精気として快感に変える一方で、精液に含まれる無数の精子が、子宮口を抜けて、子宮にある卵子めがけて駆け寄ってくるのが感じられる。
顕微鏡で見なければ分からないはずの小ささのはずなのに、そんな精子一匹一匹の動きが感じられるぐらいに、快感の余韻に浸る遙の体は敏感になっていた。
「ああ、あなた精液、入ってくる。あなたの精子、わたしに向かってくる」
獲物を離すまいと、両手と両足を巻き付けたまま、遙(三知雄)は、快感の余韻に浸る。
「ああ、気持ち良かったよ。遙さん」
耳元で、真雄が囁いてくる。
「ああ、わたし、欲しい……」
「俺の精液が? それとも赤ちゃんが?」
「ん……両方」
言って遙は、真雄にキスをする。
「だから、もっとわたしの中に出して。ねえ、お願い」
挑発するような艶っぽい声で囁くと、まだ中に入ったままの真雄のものが、びくりと動く。
「ああん、真雄さんのここ、まだ大きなまま。
ねえ、続きは、ベッドの上で」
ああ、と言ってから、二人はシャワーでローションを洗い落として、ベッドへと向かった。
まだ快感の余韻が残り、全身に力の入りきらない遙(三知雄)は、ベッドに倒れ込むように俯せになった。
「疲れたのか?」
気遣うように真雄が言ってくる。
「ううん、あんまり気持ち良くて、力が抜けちゃったみたい」
「ちょっと休もうか?」
「それは嫌。お願い、わたしにもっと、精液ちょうだい。あなたの精液で妊娠させて。わたしに赤ちゃんを産ませて」
俯せになった尻を持ち上げ、尻へと両手を当てて、ぷっくりと火照った割れ目を見せつけるようにする。
「ああ、それじゃあ」
真雄は後背位の格好になり、馬なりに覆い被さってきた。
両肘をベッドについたまま顔を見上げると、遙(三知雄)の正面には、壁に付けられた大きな鏡があるのが目に付いた。
そこにはもちろん、全裸の男女が映し出されていた。
火照った肌色に染まった体をくねらせて、うっとりとした表情で鏡を見つめつつ、その背後から男のものを受け入れようとする自分の姿。
そしてそんな自分へと、いまにも背後から襲いかかってくる男の姿。
男のなすがままにされているのが今の自分なのだ、男のものを動物の体位で乞い求めているのが今の自分なのだと思うと、その興奮はますます高まっていく。
ローションは洗い流されたものの、その間にも自らの股間から新たな愛液を拭きだしていたようで、二度目の挿入もスムーズに行われた。
「ああん……」
バックから犯されるのは、正常位とは挿入感が違っていた。
膣と男根の向きが揃い、ぴたりと嵌ったようになる。
挿入もスムーズで、一突きされる度に、子宮を中心にして、全身がゆさゆさと揺さぶられる。
「良い、良いわ。気持ち、良い……」
鏡張りになっているせいか、自分の喘ぎ声と、それを生みだしている、パンパンという挿入の音が、やけに響いて感じられる。
「欲しいの。真雄さんの、欲しいの……」
くいっ、くいっ、と腰をくねらせると、挿入感がより深まっていく。
そんな腰の部分を見ようと振り返ると、正面だけでなく横にも鏡があるのが見て取れた。

そこには、後ろから男に犯されている、女性の姿があった。
髪を振り乱し、乳房をベッドへと擦りつけ、腰を突き上げ、動物のように犯される姿。
さらに動物に、雌としての本能に従おうと、遙はベッドに付けていた肘を持ち上げて、四つんばいになる。
上体が浮かび、体の自由が増したところで、背後からの突きに揺さぶられる全身の動きは、ますます激しいものになってきた。
「あああん、あはっ、良い、良いの、もっと激しく。お願い、もっと、ちょうだい……」
動物の格好のままに、人間の雌しか出せない官能の入り交じった喘ぎ声をもらしていく。
そんな声に、背後から犯している真雄の本能はますます刺激されて、挿入も段々と激しくなり、真雄が腰を押さえていなければ、そのまま前のめりに倒れそうになってしまうぐらいになっていく。
「ああん、んああ……」
ばしん、ばしん、と腰が突き立てられる度に、膣内が掻き回され、子宮が押しつぶされ、股間からは淫らな液が溢れ出て、男の物へと絡みついていく。
「ああ、わたし、もう……駄目ぇ……」
全身に湧き起こる快感に、両腕の力が抜ける。
腰を持ち上げているのもやっととなり、もっぱら貫いてくる男竿と腰を押さえる真雄の両手だけが頼りとなってきた。
「ねえ、出して……真雄さんの精液、わたしにぶちまけて……わたしをおもいっきり妊娠させてぇ……」
全身から力が抜けている中で、淫唇が、膣が、子宮口が、子宮が、精液を求めて力強く動いているのが感じている。
それに合わせて意識もそこへと集中する。
目を閉じると、体の中に入ってきている男のものの、太さ、熱さ、固さが脳裏に浮かび、そのまま押しつぶされてしまいそうだった。
「遙さん、出すよ。また、俺、出るぅ……」
ぐいっ、と腰が突き立てられる。
膣の中で、雁首がぶわりと広がり、その先端から熱いマグマが流れ込んでくるのが感じられる。
子宮口を突き抜け、子宮へと男の精子に満ち溢れた精液が襲ってくる。
「ああ、入ってくる……入ってくるぅ……」
バックで感じる射精感は、正常位とは大きく違っていた。
服従感に流され、そして男のものを流しこまれる。
体中が精気に満ち溢れる快感を感じながらも、なおも真雄の精液は流れ込んでくる。
体の中には、どれだけの数の精子が入っていることだろう。
遙(三知雄)の胎内にある、たった一つの卵子を巡って、無数の精子が向かってくる。
すると、それまでは妊娠させられる、と受け身だった感じが、不思議と優越感に感じられるのだった。
わたしの、たった一つの卵子にたどり着けるのは、どの精子かしら。
そんな、ゴールで待ち構える卵子の立場に居るような、奇妙な高揚感に満ちてくる。
ゴールはわたし。
獲物は、たった一つだけの、わたしの卵子。
さあ、もっともっと、争いなさい。
もっともっと、入ってきなさい。
流しこまれた精液が、胎内に満ち溢れているのを感じつつ、そんなことを思った。
そんな争いをもっとさせてみたい……
そう思うと、遙(三知雄)はもっともっと精液が欲しくなってきて堪らなくなってきた。
「ねえ、そのまま、三発目を出して」
快感の余韻が残る中で、必死にくねらせる体は、妙に艶めかしく、喘ぎ声が混じったその声も、男の興奮をさらに高める。
「ああ、いくぞ……」
女が出してきた愛液と、男が出した精液を潤滑油にして、三度目のピストン運動が開始される。
「ああ、良い、さっきのが続いている……わたし、またイッちゃいそう」
男と違って、女の快感は、急に消えることなどない。
さっきの快感を保ったままに、さらなるピストン運動によって、新たな快感が与えられる。
「はあ、はあ、どうだ。遙。気持ち良いか?」
背後から真雄が覆い被さるようにしてきて、遙の乳房を揉みしだく。
男の興奮に満ち溢れた、激しい圧迫感を、快感に浸った乳房は、さらに激しい快感へと変えていく。
「そう、そうよ。わたしの体、滅茶苦茶にしてぇ……」
両の乳房を揉みしだいていたうちの右手が、遙の股間へと向かった。
「あ、そこは……イッたばかりだから」
クリトリスへと、無骨な男の指先が当たってくる。
背後から挿入されたままに、女のもっとも敏感な場所を弄られ、遙の性感はますます高まっていく。
力無く、真雄のされるがままになっていると、真雄が腰を引きつけようとしているのが感じられた。
快感に力の抜けた、遙の軽い体は、真雄の手によって持ち上げられ、背後から男幹を挿入されたままに、背面座位の格好へとなった。
体を持ち上げられ、下から突き上げられつつ、背後から伸びた手によって、クリトリスと乳房を刺激される。
うっとりとしたままの遙(三知雄)の耳元へと、真雄の声が掛かる。
「ほら、前の鏡、見てみろよ。お前のオマ○コに、俺のが入っている……」
見ると、正面の鏡には、あぐらを掻いた男の上に腰を突き立てて、挿入された性器を丸出しにしつつ、快感に顔をゆがめる遙の姿があった。
(ああ、俺、こんないやらしい女の格好をしているんだ)
男としての三知雄の心が一気に高ぶる。
女としての遙の体が高ぶりを覚える。
「ああ、恥ずかしい、こんなの……でも、止めないで、もっと、もっと。
また、欲しいの、あなたの精液欲しいの。あなたの赤ちゃん、欲しいの……」
「いくぞ」
「あはぁん!」
乳房が五本の指で強くわしづかみにされ、クリトリスに人差し指がぎゅっと押し当てられ、膨れあがったペニスが割れ目へと深々と指される。
「ああぁぁーーーっ!」
激しい男の責めに合い、遙(三知雄)は雌の絶頂へと達した。
全身から力が抜ける中で、膣襞がひくひくと動き、精液を浴びせられた子宮が疼く。
まるで人形のように真雄に体を抱えられながら、遙(三知雄)は、鏡に映る自らの姿を見つめ、腹部へと視線を集中した。
その中には、真雄が流した何億という精子が、たった一つの卵子を巡って駆け回っているのだ。
これで妊娠するかどうかは分からないが、今度は、絶対危険日の時に、思いっきり中出しされたら、どんなに興奮することだろう、と三知雄は思ったのだった。

第七章

目が覚めて寝坊をした、と思った次の瞬間に、今日は日曜日なのだと三知雄は思った。
「ようやく起きたわね」
上体を起こし、眠い目を擦ると、肩の所にミサが座っていた。
「ああ、ミサか……」
ぼんやりとした頭で、この一週間のことを考える。ミサと出会い、女の子になって、様々なセックスをしたことを。
それも今日で終わりのはずだった。
「今日って、最後の日なんだよな」
「そうよ。精気を集めるのは今日で終わり。そうしたら、私は元の体に戻れるの」
「そうか……で、今日はどうする。また昨日みたいに、街で物色するか」
「そうねえ。精気の方もだいぶ溜まってきたから、今日は夜にするわ。サキュバスは夜行性だから、夜の方が行動しやすいのよ」
「じゃあ、昼間のうちは暇だってことだよな」
しばらく考えるようにしてから、三知雄は言った。
「それじゃあ、夜になるまで、遊園地にでも行かないか?」
「遊園地って言うと、あの遊ぶところ?」
「そう。どうせ今日でお別れなんだし、たまにはサキュバスとデートなんてのも面白いだろ」
「それじゃあ、あなたの方が面白がるみたいじゃないの。男の子なんだから、もっと女の子を楽しませるようなことを言わないと駄目じゃないの」
ミサは、三知雄の頬を、ちょんちょん、と突く。
「駄目、かな?」
ミサは首を二三回まわしてから、
「まあ、良いわよ。サキュバスだって、精気を吸うだけが楽しみって訳じゃないんだから。一応は人間並に遊ぶことも出来るんだからね」
そう言って、ミサを肩に乗せて、三知雄は遊園地へと向かったのだった。
ミサと一緒とは言え、端から見たら、男一人が遊園地にやってきているようにしか見えない。そんな視線をたまに感じるものの、それでもミサという一緒に楽しむ相手がいるということで、三知雄は満足出来た。
こんな時間がいつまでも続けば良いな、と思ったのだが、日の入りの遅い七月だと言うのに、もう夕方近くになっていた。
家に帰った頃には、空には満月が浮かんでいた。
家に戻って夕食を済ませてから、部屋に戻った三知雄に向かって、ミサが声を掛けてきた。
「それじゃあ、変身するわよ」
「え、でも、相手はどうするのさ」
「もう目星は付けてあるから。近くに住む20歳ぐらいの男で、サキュバスとエッチしたいっていつも妄想している人がいるのよ」
「へえ、サキュバスと」
「そう。だから、今日は私の本来の格好になれるって言うこと。それじゃあ、いくわよ」
言うなりミサは、三知雄の肩から飛び上がり、ぐるりと彼の周りを一周した。
いつものように、体が変化していくのが感じられる。
胸が大きくなり、股間にあるものが無くなるのだが、変化はそれだけではなかった。
背中と尻尾から、何かが生え、伸びていくのが感じられるのだった。
「羽根と、尻尾か」
背中へと首を向けながら、まだ服で包まれた部分に何かが入れられたように、もぞもぞと動くのが感じられた。
「やっぱり、服を着たままだと邪魔だな」
「そうね。それじゃあ、着替えの方もいくわよ」
ミサが手を振り下ろすと、一瞬にして服装が変わった。
シャープで、それで居て出る所は出ているボディラインを強調するような、紺色のタイツが、眼下に見える。
首元がくすぐったいので頭を振ると、ピンク色の長く軽く柔らかい髪の毛が、ふわりと宙を舞う。
服の下から解放された羽根が、大きく羽ばたき、尻尾がにょろにょろと動く。
そういえば、服を着たミサの体は、ちゃんと見たことが無かったな、と思って鏡へと向かおうとしたのだが、体が動かない。
それに、肩に止まっているはずのミサの姿も見えない。
『ミサ』
声に出そうとしたのだが、頭の中で響くだけだった。
「私だったらここよ」
口が勝手に動き、ミサの声が漏れた。
「だいぶ精気も溜まってきたからね。それに私の体って言うことで、主導権は私にあるのよ」
『それじゃあ、俺は見ているだけなのか?』
「今日はそうね。あなたは黙って、私がすることを感じていれば良いから。
見せてあげるわ。サキュバスがする、本当のセックスって奴をね」
言うなりミサは、部屋の窓を開けて、羽根を羽ばたかせて、窓枠を蹴った。
『うわっ』
ここは二階の部屋、そのまま庭に落ちると思ったものの、体はふわりと宙に浮いた。時折、背中の羽根が、ばさり、ばさり、と羽ばたく音がする。
ミサは急速に上昇し、遠くに見える高層マンションと同じぐらいの高さへと舞い上がった。
まだ宵のうち、満月に照らされる中で、それぞれの家の窓から明かりが漏れているのが見て取れる。
『うわあ、綺麗だ』
「うふふ。そういう台詞は、景色に向かってじゃなく、女の子に向かって言うべきよ。
ま、それにしてもそうね。400年前の世界じゃ、考えられないぐらいのイルミネーションね。確か、クリスマス、とかって時には、街中がこんなに輝くんでしょ」
『まあね』
駅前に置かれたツリーへと、電飾の飾り付けが、毎年12月になると行われるが、その時にはもうミサはいなくなっているはず。
そんなことを考えていると、
「それじゃあ、いくわよ」
再びミサは羽根を羽ばたかせて、地上へと向かったのだった。
着いた先は、アパートの一室が見える二階の窓の外だった。
部屋の中には、パソコンの前に座って、インターネットでサイトを見ているらしき男の姿が見える。
年齢は大学生ぐらいで、中肉中背の、ごく普通の男性だった。
ミサはベランダに立ち、網戸をがらりと開けた。
「わ、だ、誰……ですか?」
部屋にいた男は、パソコンのマウスを握りしめたままに、茫然とこちらを見つめている。
それはそうだろう。いきなり二階の窓から、人が現れ、しかもその格好は、ピンク色の髪の毛と紺色のタイツというように、扇情的なものなのだから。
しかも背中には、さっきまで羽ばたいていた羽根が見える。
「私はサキュバスよ」
ミサは短く言い切った。
「え、サキュバスって、あのサキュバス……?」
その言葉に興味があるのか、男は身を乗り出してきた。
「そうよ。今日は、あなたの精気を吸いに来たの」
部屋の中へと入り、座り込みながらこちらを見上げてくる男へと、ミサは言った。
「本当に、サキュバスなの……」
「ええ、そうよ」
「ってことは、俺って、セックスして、死ぬまで精気を吸い取られるとか……?」
ミサの言っていた通りサキュバスに興味があるらしく、そんなことを言ってきた。
「それは大丈夫。死ぬまでには、精気は吸わないから」
ミサは、腰を下ろし、男の顔へと近づいた。
「でも、死ぬほど、気持ち良いわよ。サキュバスとのセックスは」
その言葉に、男はごくりと唾を飲む。
「それじゃあ、さっそく……」
しなだれかかってくるミサに、男は、はい、と裏返った声を上げた。
「うふふ、それじゃあ、さっそく……」
言うなりミサは、男の肩へと手を回し、唇を重ね合わせた。
いきなり舌を入れるようなことはしない。ちゅぱっ、ちゅぱっ、と、ついばむようなキスをして、その唇の柔らかさを感じさせてから、ぴたりと唇を触れあわせる。
興奮してきた男は、それだけでは我慢できないように、口を割って、舌を伸ばしてきた。
男の太い舌を、ミサは巻き付くように自らの舌で受けとめる。
なすがままに男の舌を受け入れつつ、軽く舌先で突き、口中を味わわせようとする。
男の舌が、口の中で動く。
舌に絡みつき、ミサの綺麗な歯並びを感じ、歯茎を舐め回し、のど元へと届こうとする。
蹂躙するような男の舌の動きに、三知雄も興奮を覚えてきた。
『ああ、キスだけでも、こんなに感じるんだ』
口中を男のなすがままにされている間にも、ミサの手は動く。
男の首筋に巻き付けた左手に力を込めて、ぎゅっと抱きしめるのと同時に、右手を上着の下へと潜り込ませる。
肌に触れた右手は上へと伸びて、やがて男の乳首へと達した。
女の物と違って小さな突起を、ミサは軽く突く。
「ん……」
キスをしたままの男の口から、溜息が漏れる。
その様子を見て、ミサはしなだれるように、両胸を中心として男に全身を寄せ合わせつつ、さらに指先で乳首を刺激していく。
「ん……んん……」
女から乳首を弄られるなんて経験は無かったのだろう。男の頬が、真っ赤に染まっていく。
ミサは、触れあわせていた唇を離した。
二人の間に、絡め合っていた唾液が、つぅ、と糸を引く。
「ねえ、裸になって、ベッドに横になって」
命じられてか自らの意志でか、男はすぐさま裸になり、ベッドへと仰向けになった。
勃起して、腹までに密着するようになっている部分をちらりと見てから、ミサは男の乳首へと唇を近づけた。
ちゅっ、ちゅっ、とキスをしてから、舌先を延ばして、小さな男の乳首をころがす。
男の左の乳首を口で吸いながら、右の方は指先で転がしていく。
本来は男が女にするべき行為を、ミサからされて、男は顔を真っ赤にし、息を荒くして、ミサの方を見つめていた。
そんな男の顔を見ていると、ぞわりとした興奮が、三知雄の心に湧き起こってくる。
『ああ、これって、サキュバスが味わう、男を襲うって興奮なんだな』
これまで何度も女の子になって、時には女性の方から攻める場面もあったが、ここまで男を手玉に取る行為は初めてだった。
さすがに慣れているだけのことはある。
余っていたミサの右手が、男の腹部をなぞってから、ゆっくりと下へと降りていく。
茂った陰毛の中を抜けると、腹に張り付くほどに勃起しているものの先端が、細い指先へと触れた。
丸みを帯びた亀頭の先端からは、すでに先走りの汁が溢れ出ていた。
「うふふ。もうこんなに濡れている。まるで、女の子のアソコみたい」
すぅい、と指先を動かして、ミサは先端から流れているものをすくい取った。
そのまま、手をペニスから離して、口元へと持って行き、男の乳首から口を離して、そのしなやかな指先を、口に含んだ。
見せつけるようにして、ぺちゃり、ぺちゃりと音を立て、男が出したものを舐めていく。
「うふふ。美味しい……」
上目遣いに、そう言うと、男の視線は、ミサの口元に釘付けになった。
「あなたの美味しいもの、もっと味わわせて」
ミサは体を動かして、男の股間へと顔を近づけた。
「凄いわ。もうこんなに大きくなってる」
うっとりと、大きくなった男のものを見つめてから、ミサは長いピンク色の髪の毛を掻き上げ、顔が男から良く見えるようにしつつ、右手で男のものの先端を、天上へと向けた。
垂直に起立したものは、さっき以上に大きく見えた。
そんな様子を見せつけるように、ミサは男のものの先端へと、舌を伸ばした。
ぺろり、と一舐めすると、さっき感じた男の味が、直接感じられた。
三知雄が女の体になって精液を飲んだ時には、苦みが感じられたのだが、今はミサの体になっているせいか、美味としか感じられなかった。
世の中に、こんなに美味しいものがあったのだろうか、と思えるほどだった。
ただ美味いだけでなく、精気に溢れた感じは、栄養もありそうに思えた。
見せつけるようにして、一回ずつ男の鈴口を舐めているうちに、だんだんと溢れてくる先走りの量は増えていった。
ミサは体を男の両足の間へと入れて、真下から向かい合うような形になって、男の亀頭先端へとキスをした。
丸みと熱を帯びた、亀頭の感触が唇へと伝わってくる。
口中へ先走りの臭いが広がり、頭がくらくらとする。
そんな感じをもっと味わいたい、もっとペニスを飲み込みたい、と三知雄は思うのだが、ミサはそうしなかった。
唇をすぼめるようにして、男の先端を口にしている様子を、目の前にいる相手に見せつけるように、そのままの形でいるのだった。
だが、刺激を与えることを止めることはなかった。
口の中では、絶えず舌先を動かし、鈴口を刺激する。
それと同時に、唇をわずかに左右へと動かし、くわえている雁首の部分を刺激する。
上目遣いに男を見つめると、目が合った。
恥ずかしそうに、それでいて、その先を求めるような、男の訴えてくる目つきだった。
それを合図に、ミサは口を進め、男のものをずぶずぶと飲み込んでいった。
「ああ、暖かくって……ぬるぬるしていて……気持ち良い……」
男は呻く。
そんな快感を感じているのは、男だけではなかった。
ミサの体になっている、三知雄の方も、快感を味わっているのだった。
男の物が入ってくる度に、唇が、口中が、のど元が刺激される。
口の中に性感帯があるかのように、体中が火照ってきて、アソコがじわりと濡れてくるのが感じられる。
そして同時に、男の物をしゃぶり、自由にしているのだ、という優越感が湧き起こる。
相手に快感を与えるという、本来は男の役割を今の自分はしている。
ミサはゆっくりと男のもの全体を飲み込むなり、激しいピストン運動を開始した。
「ああ、そんな急にしたら……」
口の中に男のものが入ってくる度に、ミサの喉奥を刺激していく。
同時に、唇と舌を絡め合わせ、絶えず男のものを、女の粘膜で刺激していく。
そんな激しい動きの中で、三知雄は興奮を覚えていた。
『ああ、フェラチオってこんなに気持ち良いものだったんだ……』
フェラチオで感じるのは、男の方ばかりだと思っていたのだが、口中へと快感が生まれ、まるで美味しいものを頬張り、舌先で、喉奥で味わっているような気持ちがしてくる。
これがサキュバスとしてのミサの体ならではなのか、それとも女の体はこうなっているのかは分からないが、三知雄は初めて感じる口中性感にうっとりと流されていた。
そうしているうちにも、男の鈴口から溢れる先走りの汁は、だんだんと量を増していった。
「んく……ん……」
「ああ、俺のが、吸われてる……飲まれている……」
舌先と喉の動きで分かるのか、男は嬉しそうに呻く。
そんな男汁を味わうかのように、うっとりとミサが目を閉じる。
男のものに虜になったかのように、股間のペニスを吸うサキュバスの顔。
それを見たせいか、口の中で男のものが、さらに大きく固くなった。
口でしゃぶるのと同時に、ミサは男の陰嚢を右手で転がした。
「ああ、そんなこと、されたら……」
急所の部分を、女の柔らかい手で刺激され、ベッドに仰向けになったままに、男は背を反らす。
「ああ、駄目だ。出るぅ……」
男のものが、びくん、びくん、と震えたかと思うと、その先端から熱いものが溢れ出てきた。
「んん……」
ペニスをくわえこんでいたミサの喉奥へと、粘り気のある精液がぶつかってきた。
噴水のように溢れるそれを、ミサは喉で受けとめ、口中へと溜めていく。
男の射精は止まらなかった。全身が痙攣する度に、鈴口からはどろりとした精液が溢れてくる。
それをミサは、舌先で舐め取り、口へと溜めていく。
それでもまだ足りないとばかりに、ミサはストローを吸うようにして、男のものを吸い上げ、その幹と根元に残っているものを吸飲していった。
全て吸い取った所で、ミサはペニスから口を離した。
口中には、男の精液が溢れている。
その感触に、三知雄はうっとりとしていた。
精液の苦み、ねばりけ、熱さ、濃さ、そして精気。
これらの一つ一つを性感として味わう器官が、口中に存在しているかのように思えるほどの愉悦だった。
ミサは、頭を上げてから、口を開いた。
「ほら、あなたのもの、私の口の中に、こんなに出ちゃった」
見せつけるようにして、舌先に乗るどろりとしたものを、舌先を動かしてかき混ぜる。
再び口を閉じてから、頭を上げ、そののど元を男から良く見えるようにしつつ、ごくり、ごくり、と精液を飲み込んでいく。
のど元を通る精液の味は、格別だった。
さらに胃へと落ち、中に含まれている精気が、サキュバスにとっての快感へと変わっていく。
「美味しい……あなたの精液……」
うっとりとした表情で、ミサは呟く。
そんなミサの妖気に当てられてか、男のものは大量の射精をしても萎えることなく、勃起しながら脈打っていた。
「嬉しい。まだこんなに大きなままで」
ミサは、右手でペニスを掴み、その固さを確認した。
「それじゃあ、今度は、私のおっぱいで挟んであげるわ」
ミサは、タイツを脱ぎ捨てて、手のひらにあまるほどの巨乳を、下から持ち上げて、男へと見せつける。
男ののどが、ごくりと鳴る。
そういえば、パイズリはしたことがなかったな、と三知雄は思った。
サキュバスになってから、色々なプレイをしたつもりでいたが、胸で挟むという意識は無かったためか、そういうことをしようとは思いつかないでいた。
もちろん、三知雄はパイズリされたこともない。
ペニスを女性の胸で挟まれるのは、どんな気持ちなんだろう。
それを体験するのではなく、体験させる側にいるのが、今はもどかしい。
ミサは体を動かして、男の股間へとおっぱいを乗せるような格好をした。
「ねえ、両足を広げて」
「こ、こう?」
男も初めての体験なのか、戸惑うようにしてミサの指示に従う。
M字に男の足が広げられ、その中心にペニスが隆起しているのが見える。
「そうよ。それじゃあ……」
ミサは、男のものへと、自らの乳房を下から持ち上げて、近づいていった。
下から圧迫された乳房は、男の大きなものを包み込んでしまうかのような巨大な圧迫感が感じられた。
乳房の谷間へと、男の物が挟み込まれる。
「ああ、おっぱいの間、ふわふわしていて、気持ち良い……」
男が感動の入り交じったような声で、小さく呻く。
白くて丸い、雪の固まりのような乳房の中心へと、男の赤黒いものが挟み込まれる。
その対比は、男のものをより共謀に、女の乳房をより優しく見せていた。
乳房の中心で、ペニスが脈打っているのが感じられる。
もがいているようにも見えるその様子は、乳房に挟まれ、止めどもない柔らかさに埋もれる男の気持ちを表しているかのようだった。
すっかり男のものを包み込んだ所で、ミサは体を上下に動かして、ゆっくりと乳房で擦り始めた。
「ああ、俺のが、包み込まれてる……」
口中や膣による粘液が無い分だけ、すべりは悪いものの、それでもきめの細かいミサの肌のせいか、しゅっ、しゅっ、と音を立ててペニスは擦り上げられる。
内側からは、男の固いものが自己主張をし、外側からは、ほっそりとしたミサの手が、おっぱいを挟み込んでくる。
男の無骨さと女の繊細さをおっぱいで感じているうちに、三知雄はだんだんと興奮してきた。
さっき、フェラチオで口中が気持ち良くなってきたのと同じ感じだった。
男のものを擦っていくうちに、だんだんと乳房の中が熱くなり、それが快感へと変わっていくのが感じられる。
ペニスを擦り上下に動く乳房の先端では、ピンク色の乳首がだんだんと尖り、乳輪もわずかに広がっていく。
ぴりぴりとした、勃起時のペニスから来るのと同じような快感が、乳首から伝わってくる。
(ああ、おっぱい……気持ち良い……)
本来は男に奉仕するはずのパイズリに、三知雄も感じているうちに、それに気付いたのか、ミサの手つきが変わった。
「ほら、今度は乳首パイズリよ」
男と三知雄の両方に語るような言葉を口にし、両手で乳首を絞り出すようにしてから、二つの乳首で、男の亀頭を突っついていく。
その度に、尖った乳首は引きずられるようにして、向かう側とは反対の方へと倒れつつ、男の亀頭を這い回る。
(ああ、乳首、気持ち良い)
乳首が動く度に、ぴりぴりとした電流のようなものが乳首から湧き起こり、そして乳房全体を膨らませるような気持ちになってくる。
「ほうら。私の乳首、あなたのぬるぬるで一杯になっている」
濡れる鈴口へと乳首を擦りつけてから、男の汁に濡れる乳首を、ミサは乳房を持ち上げて、自らの口へと含んだ。
ちらりと男の方を見ると、巨乳の体ならではの出来る、自らの乳首を吸うという光景に、興奮しているようだった。
興奮しているのは、三知雄も同じだった。
(ああ、自分で自分のおっぱいを吸っている……)
口元からは、乳首を吸う唇と舌先の感触が、そして乳首からは、ねっとりとした唇と舌先の感触が、鏡合わせのように伝わってくる。
自らの乳首を吸い、誘うように見つめてくるミサの姿を想像すると、三知雄の興奮はさらに高まっていく。
三知雄と同じように、男も興奮したのか、せがむような目つきでミサの方を見つめてくる。
「ああ、もっと、もっと、気持ち良くしてくれ」
乞われるままに、ミサは乳房全体によるパイズリを再開した。
しゅっ、しゅっ、とリズミカルな音が響くと同時に、だんだんと雁首の張りも大きくなっていく。
「ああ、また、出るぅ」
男が思いっきり背を反らす。
途端、鈴口の先端から、白濁の液が、大量に噴出した。
ミサはその一部を口で受けとめ、残りを顔全体で受けとめた。
頬へ、鼻先へと、男の精液パックが浴びせられる。
ミサは、顔へ掛かったものを指先でぬぐい取り、男に見せつけるようにして、濡れた指先へと舌を伸ばし、ぺろりと舐める。
「ふふ。二度目だって言うのに、こんなに濃くて美味しい。それに、まだ大きいまま……」
ミサの言う通り、男のものは固さと大きさを保ったままだった。
「こんなに美味しいものを、私のオマ○コに入れられたら、私、どうにかなっちゃいそう」
恥ずかしい言葉を、ミサはわざと口にする。
そう言いつつ、男の腕をひっぱり上体を引き揚げてから、
「今度は、こっにちょうだい。あなたの精液、私のオマ○コに、ちょうだい……」
両足をM字に開き、男が目指す先を指し示すように、自らの人差し指を添えたのだった。
男は目を血走らせ、ミサの肩へと手をやり、ベッドへと押し倒した。
そして、体をミサの両足の間へと入れて、ペニスを割れ目へと押し当てた。
愛撫をする余裕など無かった。
男は、ただ、雄としての本能に、男としての欲望に支配されていた。
ミサの方は、すでに受け入れる準備が出来ていた。
割れ目からは、粘液が止めどなく溢れ、股間全体がふっくらと熱くなっている。
背中をベッドへと押しつけられつつ、男の物が入ってくる。
「ああっ……」
男のものが、押し入るように入ってくるのを、ミサの体は柔軟に受け入れた。
受け入れる側の愛液と、入れる側の勢いによって、男のものは一気に根本まで突き刺さる。
「あふっ!」
押し出されるようにして、口から声が漏れる。
膣が上下左右一杯に広げられ、子宮口が押し広げられるようになり、子宮が圧迫される。
ミサの体は敏感に出来ているのであろう、中に入ってきている男のものの形を、目で見るよりも、手で触るよりもはっきりと感じ取ることが出来た。
子宮の近くでは、丸みを帯びた亀頭の先端が、さらに前へと入ろうと、子宮口へと当たってくる。
その先では、広がった雁首が、膣の中を押し広げようとする。
竿の部分は、びくびくと脈打ち、膣を上下へと揺らす。
入り口では、根本の部分の膨らみが、すでにいっぱいとなった入り口へと、さらに密着しようとしている。
そんな感覚の全てが快感だった。
男の物を受け入れる快感、ペニスが膣へと、子宮へと与えてくる快感。
「ああ、すごい。これが女の人の中……サキュバスの中……暖かくって、ぬるぬるしてきて、俺のものを締め付けてくる」
深々とペニスを埋めたままに、男は感慨深げに言ってくる。
そんな男のものに合わせるように、ミサの胎内が妖しげに蠢いているのも感じられる。
子宮がきゅんきゅんと蠢き、子宮口が男のものを吸い、膣壁がうねうねと男のものを撫で上げる。
そんな自らの動きも、また快感となって三知雄の性感を刺激する。
「ねえ、お願い……動いて……」
甘いおねだりの声に、男は乱暴に反応した。
ぎりぎりまで腰を引き抜いたかと思うと、ミサの軽い全身を押しあげるかのように、ペニスを突き立ててくる。
まだ腰使いに慣れていないようで、時には引き抜いた勢いで、ペニスが膣から出てしまうこともあったが、そんなもどかしさすら、焦らされる快感のように思えてきた。
「ねえ、オマ○コばっかりじゃなくて、おっぱいも揉んで」
ミサは両手を添えて、胸元にある二つの膨らみを見せつける。
左手で体を押さえて近づいて来つつ、男は右手で乳房を鷲づかみにした。
「ああん。そうよ。もっと激しく、強く揉んで……」
真っ白い、丸みを帯びた肌に彩られた乳房が、男の手で乱暴に形を変えていく。
そんな乳房の柔らかさが感じられると同時に、その中心では、男の指先を押し返すような、弾力の良さが感じられる。
まだテクニックは無いが、雄の欲望が感じられる、乱暴な動きだった。
「ああ、良い……おっぱいも、オマ○コも気持ち良い……」
男のものに組み敷かれつつ、ミサは全身をくねらせる。
そうやって、男に乳房を揉まれているうちに、だんだんと乳房が膨らんでくるような感じがしてきた。
ちらりと胸元を見ると、元々大きかったミサの乳房は、一回りは大きくなっているようn見えるのだった。
変化は、見た目だけではない。
乳房の中心が熱くなり、そこに何かが溜まっていくような感じがするのだった。
「ああ、良いわ。もっと揉んで、私……出ちゃいそう」
(出るって何が出るんだ?)
三知雄は、ミサの言葉が分からなかった。
ただ、乳房の中はますます熱くなり、何かが噴き出しそうなぐらいになってきていた。
(出るってもしかして……?)
そんな三知雄の想像通りのことが起こった。
「ああ、出るぅ……」
ぷしゃぁぁぁっっ!
乳首の先端から、白く細い液体が、四方に散らばっていったのだった。
同時に、左右の胸元からは、男の射精のような開放感と放出感が湧き起こる。
(出るって、母乳のことか……本当に、出るんだ。サキュバスの体って、凄い……)
射精のような射乳の快感を感じつつ、三知雄は尚も溢れ続ける母乳の流れを見つめた。
「ねえ、飲んで。わたしの母乳、吸って……」
男の方は、あまりの興奮に酔っているのか、驚いている様子は無かった。ただ、求められるままに、ミサの乳房へと口を付ける。
ちゅうちゅうと赤ん坊のように男が乳首を吸う度に、射精とは違う、体の内部が吸われているような感じが湧き起こってくる。
(これが……母乳を吸われている感じなのか……)
そこには、妙な満足感と安心感があった。
母性本能、という言葉が三知雄の脳裏に浮かぶ。
母乳を吸われつつも、股間では激しいピストン運動が続いていた。
赤ん坊と雄を、同時に相手にしているかのようだった。
「ねえ、私のおっぱい、美味しいでしょ。だからあなたも、美味しいミルクを、私にちょうだい……」
ミサが男の頭を撫でると同時に、男の下半身がびくんと震えた。
同時に、膣内へと、子宮へと、男の精液が流れ込んでくるのが感じられる。
「ああ、来てる、来てる、あなたのミルク、私の中に入ってくるぅ」
びゅるるるっ、どくん、どぷぅぅ
どくん、どくん、と男の物が入ってくる。
熱さ、粘り気、量、それら全てが、さっき口中で感じた時以上にはっきりと、そして快感として感じられる。
全身を竜巻のような強烈な快感が渦巻いていく。
「ああ、イクぅぅぅぅぅっっっーーー!」
全身を引きつらせて、ミサは悶えた。
子宮で感じる男の精液、男の精気は相当なものだった。
これまでに、何度もサキュバスの体として、その精液を味わい、快感を感じてきたが、ミサとしての体で感じるそれは、これまで以上に強烈なものだった。
サキュバスとしての体ならでは、なしえられることなのかもしれない。
もしもこれが、男の体であれば、快感の激しさのあまり、失神どころかショック死してしまうかもしれないぐらいだった。
なおも流しこまれる精液を味わおうと、膣内が、子宮がひくひくと動いているのが感じられる。
女の体ならではの、貪欲な動きだった。
「ああ、あなたの精液、とっても美味しいわ」
ミサは、そっと男の頭を撫でた。
「だから、もっともっと味わいたいの。私を気持ち良くさせて。あなたも、もっともっと気持ち良くなりたいでしょ。精液、私の中に出したいでしょ」
男は無言のままに、こくりと頷いた。
ミサは、腰を持ち上げて、男のものを引き抜いた。
まだ固さを保ったままのそれは、ちゅぽん、と音を立てて飛び出してから、真上を向いた。
そんな男へと向かって、ミサは背中を向けてから、四つんばいになって尻を突き出した。
「ねえ、今度は、後ろから入れて……」
おねだりするように腰を振ると、その先では尻尾が揺れて、勃起したままの男のものをなぞるのが感じられた。
ミサの腰が力強い男の手で掴まれ、熱い肉棒が一気に入り込んでくる。
「ああ、気持ち良い。深くまで入ってくるぅ。あなたのオチン○ン、私のオマ○コをぐちゅぐちゅしてるぅ……」
ミサは尻を振るようにして、胎内へと入ってきている男のものを味わった。
男がさっき放出した精液と、ミサの愛液が混じり合い、ぐちゅり、ぐちゅり、と淫らな音を立てつつ、同時に、腰同士がすぱんすぱんとぶつかる音が響く。
まださっきの快感が続いたままのミサの体の中で、三知雄はイキっ放しの上体になっていた。一突きされる度に、絶頂の波が押し寄せ、失神しそうなほどの快感が襲ってくる。
(ああ、こんな凄いの……サキュバスの体だからなのか……ミサの体だからなのか……)
『ふふ。だいぶ気持ち良くなっているみたいね。でも、これだけじゃないわよ。サキュバスならではのセックスを、味わわせてあげる』
頭の中でミサがそう呟いたかと思うと、尻の方で何かが動くのが感じられた。
ミサの尻尾が動いているのだった。
尻尾は、真ん中で折り返すような形を取ってから、その先端を、根本へと近づけた。
(え、もしかして……)
思う間もなく、ミサの尻尾は、自らのアナルへと侵入してきた。
(うわ、入ってくる……それに、入っていく……)
サキュバスの尻尾は、人間のペニスと同じ感覚を持っているのだ。
それが、自らのアナルへと突き進んでいるのだ。
(ああ、入っていく……まだ入っていく)
膣と違って、アナルには子宮という突き当たりは無い。
ペニスがいつもの数倍の長さになって、腸壁へと包み込まれるような感じが、三知雄を襲う。
(入れているのに、入れられているなんて……)
その間にも、膣には男のものがバックから挿入され、激しいピストン運動をしている。
(うわあ、前も後ろもふさがれている上に、自分でも挿入しているなんて……)
初めて感じるアナルの感触は、この前に3Pをした時に感じた女の膣とは違ったものだった。
ふわりと全体へ巻き付くような感じ、そんな中で、入り口だけが強烈に締め付けてくる感じ。
それと同時に、自らのアナルへと、ペニスとは比べ物のにならないものが入り込んでいるのも感じられる。
本来は排泄する場所へと、自らのものが入り込んでいる。
自らで挿入し、そして挿入される。
自分が誰で、どこにいるのか分からなくなりそうな快感。
「ああ、締まる……締め付けられる」
アナルへの刺激に興奮したのか、膣の動きはさらに激しくなったようだった。
前と後ろを同時に責められる、女の体でしか味わうことの出来ない、背徳的な快感を味わいつつ、男として挿入し、そして女としてアナルでそれを受けとめる。
様々な快感が同時に弾け、三知雄の頭の中は混乱してきた。
(ああ、駄目になっちゃう……もう、気が狂いそうだ……)
「ああ、駄目になっちゃう。もう、気が狂いそう」
三知雄が考えていることを、ミサはなぞらえて口にする。
「ねえ、来て、来て、私の中に、あなたの精液、入れてぇ」
「もう、駄目だぁ……また、出るぅ……」
どぴゅぅぅぅ、どくぅ、どくっ、どくぅぅぅ
「んああぁぁーーー!」
叫び声と共に、女の絶頂が体の中を駆け巡る。
そして同時に、自らのアナルへと入れていた尻尾が、女の快感に連られて、欲望を形にして吐き出す。
「ああ、前からも、後ろからも、入ってくるぅ、ビクビクぅ、って出されてる……」
前と後ろの両方から射精されて、三知雄は精液まみれになったようだった。
どろどろとした快感の波の中で、三知雄は気を失いそうになるが、サキュバスとしてのミサの体は、止むことはなかった。
「お願い……お願い……もっとちょうだい。あなたの精液、尽きるまでちょうだい……」
底なしの性欲を持つミサの体に恐れすら感じつつ、同時にどこまでも続く快感に、三知雄は流されていこうと思ったのだった。

終章

数え切れないほどのセックスを続け、男が失神してこれ以上動かなくなったのを見て、ミサは三知雄の家へと戻っていった。
部屋に帰ると、変身が解け、三知雄は元の体に戻る。
元に戻っても、さっきまでの快感の余韻が、まだ続いているかのようだった。
「これで、ようやく私の体を取り戻せる分の精気が溜まったわね」
三知雄の肩に座っていたミサは、満足そうに言った。
「それじゃあ、あなたの体に溜まった精気を吸い出すから……ちょっと目を閉じて」
言われるままに、三知雄は目を閉じた。
肩からミサが飛び立ったかと思うと、唇へと、小さく柔らかいものが触れてきたのが感じられた。
同時に、体の奥底にある何かが、唇を通して流れ出ていくのが感じられる。
目を閉じたままで、何かが目の前に感じられる気配が大きくなっていくのが感じられる。
そして、そんな気配の変化が終わった時、
「もう良いわよ」
正面から聞こえるその声に目を開けると、ピンク色の髪の毛を伸ばし、紺のタイツに身を包み、背中からは羽根を延ばしているミサの姿があった。
鏡を通してや、見下ろしたりしてその姿を見たことはあったが、こうして直接対面するのは初めてのことだった。
「ミサ……」
まるで、想いの人に出会ったかのような、妙な懐かしさのようなものが感じられた。
「一週間、ありがとうね」
ミサは、背を伸ばして、三知雄へと軽いキスをしてきた。
「それじゃあ、これでお別れね。あなたはもう、女の人の姿になることはないわ」
そう言って背中を向けようとした時に、
「待って」
三知雄は手を伸ばして、ミサの動きを制しようとした。
それを待っていたかのように、ミサは三知雄の顔を見詰めた。
「何かしら?」
「あの……」
言いたいことが言い出せずに、三知雄は俯く。
「このままサキュバスでいたいんでしょ」
そんな心中を見透かしたかのように、ミサは言ってきた。
「どうしてそれを?」
思っていたことを言われて、三知雄は驚く。
「言ったでしょ。一度サキュバスとしての快感を覚えたら、人間の快感なんかどうでも良くなるって」
こくり、と、三知雄は頷く。
初めて女の体になった時には戸惑ったものの、その体で得られた快感は、これまでのどんな体験とも比べようのないほどに強烈な、忘れられないものだった。
「でも、そんなこと、出来るの?」
「ええ、できるわよ。あなたと私が融合するの」
「融合?」
「ちょうど、さっきみたいなものね。体は私のもので、あなたの意識もその中に共存するの。あなたの意識は、あなたの寿命が続くまで、私の体に残ることになるわ」
「そう、なんだ」
「体の主導権は私にあるけれど、私が許せば、あながた自由に体を動かすことも出来るわ。もちろん、精気を吸う相手の理想像に変身することも出来るわよ」
「そ、それじゃあ……お願い……」
「ええ、良いわ。でも、今の人生を棒に振ることになるのよ。それでも、構わないの?」
三知雄は、一瞬ためらったが、この一週間のことを思いだしてから、首を縦に下ろした。
「分かったわ。それじゃあ、もう一度、目を閉じて」
言われるままに、三知雄は目を閉じる。
唇へと、肉感を伴った、厚い唇が触れてくる。
さっきと同じように、体の中から何かが吸い出されていくような感じがしてくる。
それが、しばらくの間続くと、体だけでなく、意識も吸い込まれていくような感じがした。
体中の感覚が消えていき、暖かいものに包み込まれているような気がしてくる。
『もう良いわよ』
その声は、頭の中へと響いてきたものだった。
目を開けると、そこにはミサの姿はなかった。
その変わり、何度も変身しなれた女の体、それも背中に羽根が、尻には尻尾の生えた感覚が伝わってくる。
『これで、融合は終わったわ。さあ、それじゃあ、新しい獲物を探しにいきましょう』
『うん』
ミサの中で、三知雄は頷いた。
一匹のサキュバスが、満月の夜へと飛び立っていく。

サキュバスになった三知雄の行方(ゆくえ)は、誰も知らない。





あとがき
ええと、「あとがき」です。
かなり久し振りに作品を書いたので、あとがきの文体を忘れてしまいました。
こんな感じで良かったでしょうか。
サキュバスものは前から書きたいと思っていたのですが、なかなか書けずにいました。そんな中で、執筆の癖を付けようと、とりあえず毎日パソコンの前に座るようにしていたら、なんとなく設定が思いつき、それからは毎日書き続け、一週間ほどで書き上げることが出来ました。
とりあえず、執筆の習慣を付けるために、書きたいことを書く、としたので、書き終わってみると、もっとネタを十分に練った状態で書き始めた方が良かったな、と思ったりもしています。全体的な流れはこれで良いのですが、もう少しコメディ的な形にしたかったですし、それに何より、最後は融合するのではなく、実体を持ったミサが、居候として三知雄の所に居続ける、としたかったなあ、とも思っています。そうした方が、話がこれからも続けられますし。ただそうなると、三知雄のミサに対する恋愛感情を描写する必要が出てきまして、それに見合うミサのキャラ立ても必要となります。支倉凍砂「狼と香辛料」みたいな感じに出来れば良いのですが、あのレベルは無理としても、あの方向性に向かうのも、今の能力では難しいところです。
その他、執筆中に書いたメモとしては……思いついた当初は、ゴールは精気100人分、なんて考えていたみたいですね。単純計算して今回の14倍の分量になる訳でして、我ながら無茶なことを考えていたなあ、と思います。ただ、終わりがない物語を書き続けるってのも、それなりに楽しいんですよね。「グイン・サーガ」を書き続ける、栗本薫の気持ちが分かるような気がします。
女の子に変身する設定としては、サキュバスの呪いによって、目が覚めたら女の子になっていて、それが他の男が見た淫夢の影響であって、その夢を見た相手とセックスしないと元に戻れない、なんてのを思いついたりもしました。それとか、エッチなことを考えている人に近づくと、その通りに変身してしまうとか。これらの設定は、いずれまたどこか、別の作品でお目にかかれるかもしれません。
では、今回はこの辺で。

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