『くノ一調教』

作:月華

第一章

伊賀の里へと忍び込んでいた源蔵は、崖を背後にして取り囲まれていた。
(もはやこれまでか。ならば、この爆薬でせめて何人かを道連れに)
そう腹をくくり、忍者装束から伸びる一本の紐へと手を掛けようとした所、
(手が、動かぬ……)
手だけではなかった。体中のどこもが、動かすことが出来なかったのだ。
汗すら流すことも禁じられた源蔵の前へと、一人の忍びが近づいてくる。
「どうやら、俺の術中にはまったようだな」
その男は、忍者装束とは違う、白い武家装束を身につけていた。
あるいは上忍の頭領なのかもしれない。
「俺の術は、相手を動けなくすることだ。辺りにいるものも巻き込んでしまうから、お主を離れた所にやるのに時間を食ってしまった」
してみると、さっきまで林の中で、敵と斬り合いをしながらここまで逃げてきたのも、全ては敵の狙いだったということか。
源蔵は歯ぎしりをしようとしたが、その歯すら動かすことが出来ない。
男は、懐から小袋を取りだした。
「幸いとそちらが風下。痺れ薬を撒くにはちょうど良い」
小袋の口が開けられ、中から、夜風に舞い、白い粉が舞い、源蔵を包んでいく。
そして、源蔵の意識はゆっくりと薄れていったのだった。

源蔵は目を覚ました。
意識が戻ったことを悟られぬよう、目を閉じたままに、気配で辺りを探っていく。
部屋の空気は、湿った感じがする。
どうやら、地下牢のような場所に閉じこめられているようだ。
それも、台のようなものの上に、仰向けにされ、両手両足を縛られているために、動くことは出来そうにない。
さらに空気の流れを読むと、どうも牢屋のように、壁の一つが格子になっている訳ではなく、掘り下げられた穴の中にでもいるようだった。
部屋の中には人の気配は無く、源蔵一人きりのようだった。
源蔵は、目を開けて中を見回した。
やはり地面を掘り抜いて作った地下牢のようで、辺りは剥き出しの土で覆われている。蝋燭などの明かりは無く、闇夜に慣れた源蔵の目には、わずかに上の出口へと伸びるはしごが見えるだけだった。
源蔵は、再び目を閉じて、変化が起こるのを待った。
暗い中に閉じこめられ、動けなくされ、物音一つ無い状態におかれるのは、普通の人間には耐えられないことだった。
源蔵は、心臓の鼓動を数え、時間の経過を知るのと同時に、闇への恐怖を振り払っていた。
その数が1万に近づこうとした時、天井の方で音がした。
意識を失っているふりをするために目を閉じたまま、気配を伺ってみると、二人がはしごを下りてくるようだった。
一人の足音には覚えがあった。
あの時に、源蔵の動きを止め、痺れ薬を撒いてきた男だった。
「源蔵、もう起きているであろう。薬の効き目は切れたはずだ」
聞き覚えのある男の声が、地下の中に響く。
源蔵は、相変わらず目を閉じたままだった。
「ふふ、黙りを決め込むか。それはそれで好都合。ではそのまま聞け。お主には、こちらの手駒として寝返ってもらう」
「誰がそのようなことをすると思うか」
源蔵は、目を開き、男へ向かって、声を出した。
「やはり起きておったか。喰えぬ男じゃ。
まあよい。今、聞いておったろう。お主には、こちらの手駒になってもらう。それも、くノ一としてな」
「くノ一だと?」
男の言葉を、源蔵はいぶかしんだ。源蔵は変装の術には長けているが、体躯は並の男以上であり、女に変装しても、すぐに見抜かれてしまう。
「心配せぬとも良い。お主の体を、こちらの忍術を使って、くノ一のものに変えてくれるわ。
そして」
男はにやりと笑って、源蔵の顔を見つめてきた。
「女人となったその体に女の快楽を教え込ませ、肉欲の虜にしてくれようぞ」
返す言葉もないままに、源蔵は黙りこくった。
「そう情無(つれな)い様をするな。もっとも、くノ一になれば、そのような男に冷たい態度を取るのも、また一興というものだがな。
変化郎。こちらへ来い。早く術を仕掛けよ」
変化郎と呼ばれた男は、返事をすることもなく、源蔵の脇へと近づいてきた。
忍者の仲間というよりも、どことなく呪術師を思わせるような出で立ちをしていた。
歳は、五十にでも届こうか、こちらも、忍者らしく無かった。
「お館様は、この場を外されても結構です」
暗に、邪魔だから出て行け、ということを、変化郎は口走った。
男の部下とは思えないような、図太さが感じられる。
「ふふふ。最近は、お主の術を見るのにすっかり興が乗ってしまっての。そのまま始めてくれい」
変化郎は、それには答えずに、台の上に縛られたままの源蔵を見つめたかと思うと、かっと目を見開いた。
そして口を開き、
「忍法、肉操」
と、重々しい大きな声を出した。
途端、源蔵の全身から力が抜けていった。
同時に、体を動かすことも出来なくなった。
心臓や呼吸器などは動いたままだが、指一本動かすことも、ままならない。
完全に抵抗することを止められた源蔵の忍者装束へと、変化郎の手が伸びてくる。
帯が解かれ、続けて全身を覆う衣装が剥がされ、下着もはずされていく。
「男の裸を見るのはつまらぬものだが、これが美しい女人へとこの手で変えられると思うと、堪らぬわい」
変化郎は、下卑た笑いを浮かべながら、源蔵を全裸にした。
体を移して、源蔵の下半身へと近づき、股間へと手を伸ばしていく。
「ふふふ。ここをもがれた時の、男の顔つきが、また面白いのじゃ。さて、この男はどのような顔をするかの」
源蔵の陰茎と陰嚢が、しわがれた男の手によって、鷲づかみにされる。
枯れた手のひらで自らのものを触られるのは、あまり気持ちの良いものではないが、それ以上に、取り調べの折檻とは違う、何をされるのかの不安感に苛(さいな)まれる。
源蔵のものが強く握りしめられたかと思うと、そのまま引っ張られた。
痛みは、感じなかった。
それどころか、何も感じなかった。
だと言うのに、
ぶつり
源蔵のものは、股間からちぎれ、男の手に収まっているのだ。
まるで、粘土をちぎったかのようだった。
常に平常心を保つことを忍者の習わしとしてきた源蔵であったが、これには驚いた。
「ふふふ。その顔、良いのお。ほれ、これがお主のものじゃ」
変化郎は、手にしていた源蔵のものを、顔へと近づけてきた。
確かにそれは、源蔵の一物であった。
断面からは血が出ている様子もなく、股間からも痛みは伝わってこない。
何をされたのかと尋ねようとしても、声が出せないでいると、
「ふふふ。これぞ、忍法肉操の真骨頂じゃ」
源蔵の戸惑いに答えるようにして、変化郎が呟いた。
人間の体は無数の細胞が集まって出来ている。変化郎の術は、その細胞同士のつながりを弱くすることで、人間の体を粘土のように柔らかくし、細工が出来るようにするものなのだった。
変化郎は、手にしていた源蔵のものへと息を吹きかけた。
すると、源蔵の陰茎は、むくむくと膨れあがり、やがては完全に勃起したのだった。
自分の勃起を、何の感覚も無いままに見せられるのは不思議な光景であった。
「今までのは、まだまだ余興じゃ。見せ場はこれからじゃ」
勃起した一物を、変化郎は、もぎ取った時と同じように、再び源蔵の股間へと近づけた。しかし今度は、根本を近づけてではなく、そそり立った陰茎の方を股間へと向けて。
何もない股間へと、源蔵の隆起した一物が当てられる。
ずぶり
源蔵の股間へと、源蔵の一物が突き立てられる。
そのまま陰茎は、中へ中へと、ぶすぶすと埋まっていくのだった。
股間へと、源蔵自身のものが入ってくる。
痛みなどは無く、その分、体に穴を開けられる、初めての体験に、源蔵は戸惑うばかりだった。
ついに、根本までが、源蔵の中へと埋まった。
体の奥の部分が押し開かれ、そこへと自分自身のものが入れられている。
責め苦とも、屈辱とも違った感情が、湧き起こった。
股間を見ると、源蔵自身のものを突き立てたままに、変化郎がにやりと笑っている。
彼の手が再び動いた。
ゆっくりと、源蔵に埋め込まれたものが、引き抜かれていく。
同時に源蔵は、己の一物に穿(うが)たれた穴が、一物が出て行くに連れて、左右から閉じるようにふさがっていくのが感じられた。
と言っても、完全に閉じていく訳ではない。刺さっているものが抜けた跡には、縦筋の切れ込みのようなものが残されているのが感じられる。
一物の雁首が股間の根本を通り抜け、源蔵の股間に埋もれていたものは、再び変化郎の手の内へと収まった。
源蔵を穿つものは無くなったものの、その跡には、一筋の切れ込みが入れられたかのような感じがするのだった。
「どれ、細工を続けるかの」
変化郎は、手にしていた源蔵の一物を台の脇に置いてから、源蔵の股間へと指を伸ばしてきた。
裂け目の感じられる股間へと、変化郎の指先が近づいてくる。
裂け目の左右へと、周りの肉を集め、左右に土手のようなものを作っていく。
続けて、その土手の中へと爪の先を立てて、襞のようなものを作っていく。
「相変わらず楽しそうであるな」
腕を組んで見つめていた、館主が声を掛けてきた。
「ふふふ。さっきのままでは、まだ肉まんじゅうを重ね合わせた稚児のようなものでしかありません。それを淫靡な女人の陰(ほと)の形へと作り替えていくのは、我が術ならではの愉しみ。
それとも、お館様は、稚児のような陰(ほと)の方がお好きですかな?」
「馬鹿を申せ。作業に専念せよ」
変化郎は、やりとりをしながらも、指先を休めることなく作業を続けていた。
それまで外側を弄っていた指先が、源蔵の中へと入ってきた。
ぴたりと閉じていた源蔵の切れ目は、変化郎の指先を素直に受け入れる。
入れた指先の爪先を、切れ目の断面へと当てたかと思うと、爪先をすぅっ、すぅっ、と動かしていって、その中へ、襞を作っていくような動きを始めていった。
同時に、源蔵の股間から、わずかな動きが感じられた。
さっきまで弄られていた、股間の裂け目口が、ひくひくと脈打ち始めたのだった。
その感覚は、段々と切れ目の中へと入っていき、股間の中で動いている指へと近づいていった。
変化郎によって作られた、切れ目の中の襞が、一本一本うねうねと動き始めるのが感じられる。
その動きは、切れ目の中へとミミズを入れられてしまったかのようだった。
「ふふふ。動いてきたわい」
そんな源蔵の変化を指先で感じ取ったのか、変化郎は満足げに笑う。
股間の変化は、それだけに止まらなかった。
割れ目の内側が、まるで汗が染み出るようにして、とろりとしたものを吐き出し始めたのだ。
溢れ出てくるものは、襞の合間に染み渡り、中で動いている変化郎の指先へと絡みつく。
それに合わせるようにして、変化郎の指先の動きは滑らかになる。
つるり、つるり、と源蔵の中の湿り気具合を探るように、指先はうねうねと動く。
割れ目の感覚はかなりはっきりとしたものになってきて、変化郎の指先の動きが、源蔵に手に取るように伝わってくるのだった。
(うう、俺の中で、あいつの指が動いている)
だんだんと動きがはっきりと分かってくるのに合わせて、股間からは、これまでに感じたことのない感覚が湧き起こってきた。
(な、なんだ?)
体の中を掻き回されることが、だんだんと心地よく感じられるようになってきたのだった。
性的な快感であることは分かるのだが、それは男のものとはまるっきり違っていた。男のものが外へ外へと欲求が向かうのに対して、今はもっと内へ内へ、と求めるような感じなのだ。
もっと弄って欲しい、もっと指先で掻き回して欲しい、そう思ってしまった源蔵は、慌てて正気に戻ろうとした。
だが、体の方は、反応し、変化し続けている。
割れ目からはとろりとした体液が染み出し、変化郎の指先の動きと相まって、くちゅり、くちゅり、と女の蜜壺を掻き回すような音がする。
粘液はなおも溢れ続け、とうとう割れ目の中には収まりきれず、外へと漏れだし、尻穴の方へと垂れていく。
「ふふふ。どうやら、感じ始めているようじゃな」
声を聞くことは出来ないが、顔の表情や、火照り具合を見て、変化郎はそう言ってきた。
もっとも、表情を見ずとも、源蔵の股間は、男の指先に歓喜する女人のものと、まるっきり同じ反応をしているのだ。
「では、もっと感じさせてやろう」
変化郎は、指先を引き抜き、台の脇に置いてあった、源蔵の股間からもぎ取った、陰茎と陰嚢を手にしたかと思うと、繋がっていた陰茎と陰嚢を引きちぎったのだった。
右手には陰茎が、左手には陰嚢が、握られている。
その陰茎を股間に近づけてきたかと思うと、今度は根本の方を下にして、さっき変化郎が作った割れ目の上へと、ぺたり、と貼り付けてきたのだった。
貼り付いた陰茎から、感じ慣れた男の感覚が伝わってくる。
勃起して外へと張り出そうとする、陰茎ならではの力強い感覚だった。
さて、と変化郎は言ってから、勃起している源蔵のものへと、息を吹きかけてきた。
すると、さっきとは逆に、だんだんと勃起が収まっていった。
血液が集まっている感じが無くなり、大きさも平常のものへと戻っていく。
だが、それに止まらなかった。
陰茎は、なおも小さくなっていくのだった。
親指大になり、小指の先ほどになり、ついには、陰毛の陰に隠れ、源蔵からは見えなくなってしまった。
「やはり陰(ほと)には、陰核がなければな」
変化郎は、自らが作ったものを、しげしげと眺めた。
そして、そのまま顔を近づけてきて、舌先を陰茎が縮み込んだ部分へと延ばしてきた。
ぺろり、源蔵の舌先が動いた途端、
源蔵の体には、舐められた部分を中心にして、痺れが走るような感覚が起こった。
それも、正座をしている時に感じるような、痛みを伴うものではない。全身をずしりと揺さぶり、法悦に至らしめるような、そんな感覚なのだ。
「どうじゃ、女体の陰核を責められる味は? 天にも昇る心地じゃろう」
源蔵は、快感を感じる以前に、これまでに感じたことのない感覚に対して戸惑っていた。
「隠そうとしても無駄じゃ。女人が陰核を舐められる感覚は、わしにも良く分かるのじゃ。なにしろ、わしも、わし自身に術を掛けて、女人の体に作り替えては、愉しんだからのう。ふふふ、女人の快感は堪らんのう。男なんかとは比べものにならぬわい」
この男は、自分自身の体すら女体にしたのか、と思うと、源蔵は男に対して不気味さを感じてしまう。
「案ずるな。今は男の体に戻っておる。
それにしても、女体は凄いものじゃな。男と違って、女体は開発されるほどに、その快楽も深まってくるからの。実に女とは、業の深い生き物じゃ。
お前も、いずれはそのことを、身をもって味わわされるはずじゃ」
意味深に笑ってから、変化郎は、左手に持っていた、源蔵の陰嚢を手のひらで転がした。
「それに、今のわしには、女人になる以上の愉しみがあるからの」
変化郎は、手にしていた陰嚢を両手で掴み、飴細工のようにその形を変えていった。
「わかるか? それは男を女人へと作り替えることじゃ。
わしの手によって、無骨な男の体が、美しい女体へと作り替えられていく。
力強い体が、子を孕むための体へと作り替えられていく。
女体を貪ることしかない心が、男の精液を流しこまれることばかり思うようになっていく。
ぐふふ、堪らんのう」
下卑た笑いを浮かべながら、変化郎は、手にしていた源蔵の陰嚢を作り替えたものを見せつけてきた。
かつて陰嚢だったものは、二つに分離され、それぞれ楕円形の形をしていて、白い膜に包まれていた。
「これが何じゃかわかるか? お前の陰嚢を元にして作った、卵巣じゃ。もちろん作り出すのは、精液なぞではなく、その精液を受け入れ、子を孕むための卵子じゃ
変化郎は、源蔵に見せつけてから、その二つを右手で持って、源蔵の濡れた割れ目――膣口――へと近づけてきた。
変化郎は、握りしめた右手を膣口へと押し当てたかと思うと、そのままずぶりと右手を押し入れてきた。
肉操の術が掛かっている源蔵の膣は、ぐにゃりと押し広げられ、右手を飲み込んでいく。
ついには、右手がまるごと、体の中に入ってきているのが感じられるようになった。
「卵巣を置く前に、子宮を作っておかねばな。子を孕むための大事な場所じゃ」
源蔵に言い聞かせるように口走ってから、変化郎は人差し指を伸ばして、膣道の奥へと、さらに穴を穿っていく。
源蔵の腹中で、指先が動き、何かを形作っていくのが感じられる。
「ふむ。これでよし。あとは卵巣を置くだけじゃ」
変化郎は、手にしていた卵巣を、作りたての子宮の左右へと押し込んだ。
腹の中に何かを押し込まれる異物感は無く、むしろ、あるべきものがあるべき場所へ収まったような、すとんと腑に落ちるような感じに、源蔵は戸惑いを覚える。
それを後押しするように、
「これで終わりじゃ。もはやお主は、子を宿せる体になったのじゃ」
そう言ってきたのだった。
源蔵は、戸惑い、混乱しようとする自分を必死に押さえていた。
縛られた体を見下ろすと、鍛えられた男の厚い胸板が見える。
その先には、陰茎は見えず、何もない股間がある。
その股間では、さっきまでの刺激により、割れ目が粘液に満たされていて、その奥には、これまでに感じたことのない臓器があるのが感じ取れる。
股間以外は男なのだ。
股間のみが女なのだ。
男なのか。
女なのか。
忍者として、常に己の役目、ということを考え続けてきた源蔵は戸惑う。
源蔵の役目は、忍びのはずだった。しかし今、敵に捕らえられ、体を作り替えられ、子を産む役目を持つ体へと変えられてしまった。
果たして自分の役目は何なのか。
自分は何者なのか。
股間を女体のものに作り替えられた源蔵は、己を失いそうになっていた。
そんな源蔵へと、追い打ちを掛けるように、変化郎が声を掛けてくる。
「くふふ。拷問をする時には、このままの姿で男色の者をあてがわせて、犯させる時もあるがな。ほとんどのものは、それだけで白状をしてしまうのじゃ」
この姿のままで、男に犯されることを思い浮かべ、源蔵はぞっとする。
「じゃが、お館様の命令は、お主をくノ一にして、こちらの手玉に取ることじゃからの。これだけでは終わらぬ。むしろこれからじゃ」
源蔵はぞっとした。
股間から離れた変化郎は、源蔵の胸元へと近づいてきた。
「さて、どのぐらいの大きさにしてやろうかのう」
言っているのが何の大きさなのか、源蔵には分からなかった。
「くノ一として動くには小さい方が良いが、男をたぶらかすには、大きな方が良いからのう。まあ、大きさは後で忍術で自在に変えられるようになるのじゃがな」
変化郎の視線と、胸板を探る仕草で、それが胸の大きさだと源蔵は気付いた。
「せっかくじゃ。大きい方にしてやろう。
安心せい。それでも感度の方は良くしておいてやるから」
言うなり、変化郎の手が動き、源蔵の乳首を中心にして、周りの肉を寄せ集めるような動きをした。
肉操の術に掛かっている体は、手の動きを素直に受け入れ、だんだんと胸元が盛り上がっていく。
右、左、と二つの胸元へと、丸い形の肉の塊が作り上げられていく。
それに合わせて、これも変化郎の術なのか、浅黒い色をしていた源蔵の肌は、触られた部分の色がだんだんと抜けていき、白い色へと変わっていき、同時に肌の感触も、きめ細かいものへと変わっていく。
肉のふくらみはだんだんと大きくなっていき、仰向けにされ、眼下に見下ろす格好となっている源蔵の視界の下の方を占めていく。
大きさが増すのと合わせて、それまでは粘土のように変化郎の手つきに合わせて形を変えていたふくらみは、だんだんと綺麗な丸い形を描くようになっていった。さらに肉を寄せ集めると、まるで葉っぱの上に溜まっていた丸い水滴に別の水滴が混ざるように、その丸みを帯びた形はそのままに、大きさを変えていくのだった。
ただ肉を受け入れるだけでなく、同時にたゆたゆと揺れては、その綺麗な形を見せつけてく。
丸い形、白い肌、先端についた突起。それはまさに、乳房のものだ。
女性の乳房が付いている光景を、源蔵は自分の胸元に見ているのだ。
変化郎の、肉を寄せ集める動きが終わった。
もはや、片手には十分あまる程の大きさになった源蔵の乳房を、今度は陶器を磨くようにして、その形を整えているのだった。
「ふふふ。これだけ大きいと、普通は垂れてしまうのじゃが、忍者だけあって、胸筋も鍛えられておるから、良い形をするのう」
変化郎は、目をぎらぎらと輝かせながら、己の作った芸術品――源蔵の胸に貼り付いている二つの乳房――を見つめたのだった。
胸元に作られた膨らみを見て、源蔵は股間をいじられた時以上に、自分の体が変化してしまったことを感じていた。
目の前にある乳房は、見とれてしまうほどに、丸く、綺麗で、美しかった。
その乳房は、源蔵の呼吸と同じに、わずかに上下に動く。
重たげな乳房と同じ荷重が、源蔵の胸元を圧迫してくる。
柔らかそうな乳房と同じ密着感が、源蔵の胸一杯に貼り付いている。
紛れもなく、それは源蔵自身の乳房なのだ。
源蔵の肉により、源蔵の胸元へと作り出された乳房なのだ。
ふるふると震える乳房に、思わず手を伸ばしそうになるのを、これは自分の乳房なのだと言い聞かせる。
「どれ、感度の方も確かめてみるかの」
変化郎の両手が伸び、源蔵の乳房を鷲づかみにした。
胸元を触られているのが感じられるのだが、その場所は、男で言えば、胸板の先にある、宙の部分だった。
本来は肉体の外にある部分へと感覚が伸び、そこを直に触られているような感じなのだ。
なかったはずのものが触られている。
女に作り替えられた部分をまさぐられている。
くすぐったさを幾重にも重ね合わせたような、未知の感覚が伝わってくる。
そしてそれは、乳房の快感へと変わっていく。
源蔵は、自分の頬が赤く染まっていくのを感じていた。
「その分じゃと、どうやら感じておるようじゃの。それじゃあ、ここはどうじゃ?」
乳房を揉みしだしていた変化郎の人差し指が、男よりも一回り大きい、ピンク色をした乳首を突いてきた。
同時に湧き起こる、乳首が陰茎にでもなったかのような感覚。
源蔵の体が、ぴくりと震える。
「ふふ。どうじゃ、乳首で感じる女の快感は?
さて、次は細かい所を整えるとするかの」
変化郎の手のひらが、源蔵の両肩へと当たってくる。
そのまま、両肩が左右から押されたかと思うと、肩を覆う筋肉と、その中にある骨が、縮んでいくのが感じられた。
変化郎の手は、二の腕へと移った。
揉むようにして肌が触られていく度に、さっきの乳房と同様、肌の色が白くなり、同時に腕が締め付けられるようにして、ほっそりとしたものへと変わっていく。
肩と肘に手を当てられ、両方から押されたかと思うと、二の腕の長さが縮み、女体のものの長さへと変わっていく。
前腕の部分も同じように変えられ、手の先は源蔵の手へと当たっていく。
指先の一本一本が、紙縒(こより)をよるようにさすられていく度に、武張った男の指が、ほっそりとした女の指へと変えられていき、同時に爪も細く長く変わっていく。
もう一方の腕も同じように変えられてから、変化郎の手は腹部へと移った。
乳房に隠れて見ることは出来ないが、腹部は皮下脂肪のあるやんわりとしたものへと変えられ、尻は筋肉質の盛り上がったものにされ、太ももはむっちりとさせられ、ふくらはぎは綺麗な曲線を作られ、足はほっそりと、爪先は指先同様に綺麗に揃ったものへと作り上げられていく。
首から下の全てを女体にした所で、変化郎は、源蔵の全身を眺めた。
「ふふふ。これではまるで、女体の首を、男にすげ替えたようじゃわい」
まだ手を加えられていない源蔵の顔を見つつ、変化郎は呟いた。
「さて、仕上げといくか」
変化郎の指先が、視界へと近づいてくる。
これまでと違って、まるきり見ることの出来ない部分が変えられることに、そしてこれが終われば完全な女体となってしまうことに、源蔵は恐怖を覚えた。
だが、体を動かすことの出来ない源蔵は、その指先による変化を受け入れるしかなかった。
目元が弄られ、やや釣り上がったような感じにさせられる。
鼻が摘まれて、つんと尖ったような形にさせられる。
口がゆがめられ、やや左右へと開くような大きさにさせられる。
さらに、頬やあごへと手のひらが押し当てられ、女性のような小顔へと圧迫されていく。
変化郎の手が離れた顔から伝わってくる感覚は、もはや源蔵のものではなかった。完全に、別人のものだった。
「これで終わりじゃ」
変化郎が源蔵の髪の毛に向かって、息を吹きかけると、ぞわぞわと髪の毛が伸びていき、同時に、うなじに触れてくる感触が、さらさらとしたものへと変わっていく。
もはや、源蔵が源蔵であった痕跡を残すものは何も無かった。
「ふふ。良い女体が出来上がったものじゃ。しかし、これは本の序の口に過ぎぬ。お前が本当の女体を知るのは、まだまだこれからじゃ」
変化郎は、自らが作り出した女体を満足げに見つめ続けていた。
「変化郎。いつもながらの手慣れた術であるな。務めご苦労。それでは、次の者を呼んでこい」
言われた変化郎は、はしごを登って、牢から出て行った。
「ふふふ。これからは、お主に女体の業の深さを思い知らされてくれよう。そして、肉欲の虜になり、手駒となるのだ」
男の言葉に、源蔵は未知への恐怖を感じたのだった。

第二章
「お館様。お持ちしました」
一人の女が、着物のようなものを手にして、地下牢へとやってきた。
「うむ、さっそくあやつに着せろ」
女は、源蔵に近づいて、手にしていたものを開いた。
それは、くノ一が使う、忍び装束だった。
作りなどは男のものと同じだが、くノ一としての細身の体に合わせるために作られているように見える。
まだ体が動かせないでいる源蔵へと、女はくノ一装束を履かせていく。
男物に比べれば、はるかに細い。
だが、くノ一へと作り替えられた体となった源蔵の身は、その装束へと包み込まれていくのだった。
上半身と下半身が紺色の装束に、すっぽりと覆われる。
肌に食いついてくるようなその密着感は、くノ一になった体の形を強調するものだった。
普通のくノ一であれば、動きの邪魔にならないようにと胸元にさらしを巻くのだが、そういうことはされなかった。
目の前にそびえていた二つの膨らみは、装束に包まれることで、さらに盛り上がったものになり、その大きさを見せつけるものとなっている。
さらに、胸の辺りには、型くずれせぬようにと太い紐が入っているのか、まるで柔らかい乳房が忍び装束に支えられているかのようだった。
両腕の部分は、ほっそりとなってしまった腕全体を、布地が貼り付いてくる。
腰回りも、腕と同様にずいぶんと細くなってしまい、男の体にはなかったくびれの部分を、布地が締め付けてくる。
股間の部分には、あるべき男のものは無く、股間の根本にまで、布地が触れてくる。
尻と太ももの部分は、男に比べて肉感が感じられた。男のように、鍛えられ締まった筋肉とは違う、女ならではの柔らかさを持った部分へと、布地がぴたりと当てられる。
己の気配を消すのではなく、くノ一としての肉感を強調させるような着心地だった。
「ふふふ、なかなか似合っておるぞ」
館主は、くノ一装束に包まれた源蔵を見て、にやりと笑った。
「なんだ、この格好は……」
いつの間にか口と舌が動くようになっていて、源蔵は声を出した。
「お前のくノ一は、このような淫らな装束を着させられているのか」
「ふふふ、淫らと来たか。その淫らな装束を着ているのが、お主自身だということを忘れてもらっては困るな。
その装束は、本来はくノ一を鍛えるためのものだ。快楽責めに耐えるためのな」
言って館主は、装束に包まれた源蔵の体を、しげしげと見つめる。
「くノ一の本領は色仕掛け。敵を快楽に溺れさせつつ、自らはそれに耐えねばならぬ。そのため、その装束には、媚薬が塗りつけてあり、それに耐えさせるようにさせておる。
だが、今の目的は、その逆だ。お主を、女人としての快楽に溺れさせるために、着させたのだ」
「媚薬、だと」
源蔵の体へと、まるで濡れた手ぬぐいを当てられたように、何かが染み込んで来るのが感じられる。
それに合わせるようにして、肌の感じが敏感になってきて、装束が貼り付いているのが、はっきりと感じられるようになる。
忍びの修行を受けた源蔵は、絶えず五感を鋭いものとしていた。
肌で感じる触覚もその一つだ。
だが、今の源蔵は、それを上回るほどに、全身の肌が過敏になっているのが感じられた。
装束を編んでいる糸の一本一本までもが、手に取るように分かるのだった。
「肌が……どうなっているのだ?」
「ふふふ。男に比べて女の方が皮膚が薄い分だけ、体は過敏なものになっている。それに比べて、今のお主の体は媚薬でさらに鋭敏になっているのだ」
装束から染み出してきた媚薬は、さらにその肌の奥へと入り込んでくるように感じられた。
同時に、全身が見えないほどの小さな手によって、くすぐられるような感じがしてくる。
装束に包まれている全身の中でも、そのうちの二ヶ所が、より敏感にその染み込み具合を感じてしまっている。
一つは乳房だった。
胸元で膨れあがっている乳房全体が、火照ったように熱くなっている。
平らな男の胸板とは逆に、外へと張り出した皮膚全体が、撫でられているような感じになってくる。
本来は、何もなかったはずの、胸からせり出した部分が敏感になっているのは、奇妙な感覚だった。
敏感になるにつれて、その形が見た目だけでなく、感覚としてはっきり分かるようになってくる。
丸みを帯びた乳房全体が、四方八方から刺激され、装束に圧迫される。
同時に、それを押し返すように、乳房が熱を帯びて膨らんでいくような気持ちになってくる。
そんな乳房の上で、強い自己主張をしている部分があった。
先端にある、乳首だった。
男の時には胸の真ん中にあることぐらいにしか思っていなかった乳首が、今は固く尖り、装束を下から持ち上げ、丸みの上に小さな突起を作り上げている。
ぴりぴりとした疼きが、乳首から乳房全体へと広がっていく。
もう一つ、敏感に感じているのは股間だった。
男で言えば、陰茎の根本辺りにある、陰核の部分が、じんじんと痺れているのが感じられる。
その感覚は、男とは違っていた。
男であれば、血がたぎり、神経が過敏になり、より外へ外へと向かおうとするのだが、今の体はそれと反対だった。
股間の根本の部分が痺れ、その痺れが体の中へ中へと伝わってくるのだ。
そんな、小さな部分の変化につられるようにして、その下の部分でも変化が起こっていた。
左右からの肉によって、ぴたりと貼り付いている女人の割れ目へと、装束から溢れ出る媚薬が、染み込んでくるのが感じられる。
体の内部へと、何かが染み込んでくるのはこれまでに感じたことのない感覚だった。
敢えて言えば、肌から汗が染み出ていくのと正反対の感覚、と言えば良いか。
割れ目へと入り込んできた媚薬は、それだけに止まらなかった。割れ目を作っている粘膜へも、染み込んでくるのだった。
その感覚は、開いた傷口へと薬を塗った時のようだった。
だが、薬の時に感じるような、しみたり痛んだりすることは無い。
すっと入り込むようにして、媚薬が膣襞へと吸収されていくのだ。
それに合わせて、膣襞の方でも変化が起こる。
複雑な女内のうねりが、ひくひくと動き出すのが感じられるのだった。
体の内側で膣が動いているのを感じるのは、心臓や胃が動くのを感じるのとは違った感覚だった。
なによりも、その微妙な動きだった。
男の体だった時に、源蔵が女を籠絡する時に、陰(ほと)に指を入れては、その具合を確かめたりしていたが、今はそれを、自らの体の動きとして感じているのだ。
膣に刻まれた襞の一本一本がうねり、それらが集まって、奥へ奥へと何かを引き入れるような動きをする。
男の体ではあり得ない動きだった。
それに合わせるようにして、体全体が火照ったようになり、何かが欲しくて仕方が無くなるのだ。
本能から突き上げてくるような、衝動。
それが何であるのか、源蔵には最初は思い出せなかった。
そして気付いた。
体の中から湧き起こるもの、それは性欲であることに。
忍びとしての修行を行ってきた源蔵は、なるべく己の欲望を閉じこめるようにしていた。
どのような女を見ても、興奮することなど無く、いかに利用するかだけを考えてきた。
射精するわずかの瞬間、己の欲が自制を越えるのを感じる程度だった。
だが、くノ一にされてしまった今の体は違っていた。
まるで、射精の瞬間に陰茎の根本を縛られ、精液の放出を止められてしまったかのような、内側から起こる性欲の強烈な渇望が感じられるのだ。
自制を大きく越えた、性への衝動が押さえられないでいる。
男の体の時には無いほどの、強烈な欲求だった。
内側から高まる性欲に、源蔵の額からは、自然と汗が染み出てくる。
「ふふふ。どうやら媚薬が効いてきたようだな」
館主が、にやりと笑う。
「ぬ、ぬかせ」
そう答えるものの、源蔵は自らの体に起こっていることに、戸惑い、そして苦しんでいた。
同じ性欲と言っても、男と女では、まるきり違うのだ。
男であった時には、己の中に高まった欲望を放出したいと思うのだった。
だが、今は違う。
乳首が、陰核が、膣が、全身が火照り、何か刺激を求めているのだ。
たった一ヶ所の部分だけで感じる男性の欲に比べて、なんと女の体とは、業の深いことであるか。
媚薬まみれの忍び装束に包まれつつ、源蔵は女体の貪欲さを感じていた。
それをこらえようと、歯を食いしばるのだが、それでも欲望は収まらない。
体中の隅々が、刺激を求め、蠢く。
それはまるで、修行で水を飲まずに過ごし続けている時のようだった。
乾いているのは喉だけでなく、全身が水の癒しを欲してくる。
体だけでなく、意識すら、水のことしか考えられなくなる。
それと同じだった。
「くぅ、うう……」
くノ一としての女体から湧き起こる欲望を抑えきれずに、源蔵は思わず声を上げてしまった。
その声は、単に呻(うめ)いている女の声では無かった。
その中には、男の意識を惹きつけるような、艶っぽさが含まれているのだ。
自分の口から、そんな男を求めるような声を上げてしまったことに、源蔵は戸惑い、口をつぐむ。
だが、それも長くは続かなかった。
女体は、ますます敏感になり、それに合わせて欲望も高まっていく。
水を飲めないだけでなく、息すらできないような錯覚に捕らわれていく。
「ああ、あぁん……」
源蔵の口から、男に媚びる女の声が漏れていく。
刺激が、欲しかった。
今の源蔵は、天秤ばかりの一方にのみ重しを置かれているのと同じ状況だった。
片方ばかりが重たくなり傾いていくのだが、それを受けるものが無い。
体中が敏感になっていき、欲望を満たしたいと思う気持ちは高まっていくばかりなのに、それに応えるような刺激はまったく感じられない。
これまでに受けたどんな修行や拷問とも違う、恐ろしいまでの責め苦だった。
欲望ばかりが膨れあがっていく。
欲しくて欲しくて堪らなくなる。
だが、何が欲しいのかは、源蔵は認めたくなかった。
くノ一となってしまった己の体が何を求めているのかから、必死に意識を逸らそうとしていた。
「ふふふ。体が疼いて仕方がないであろう」
冷笑を浮かべて、館主が顔を近づけてくる。
「言わずとも分かる。お主の体、欲しがっているのであろう。
男の、一物を」
言われて、どきりとする。
必死に隠していた心の内を見透かされてしまったような気がするのだった。
「お主の体が求めているのが聞こえてくるぞ。
男の手で乳房をまさぐられたいのであろう。
男の舌で陰核を舐められたいのであろう。
男の物で陰(ほと)を貫かれたいのであろう」
館主に囁かれる度に、その映像が浮かぶ。
男になぶられている、女の姿。
その女の立場に、なりたいと思っている自分がいる。
「うくっ……くぅ……」
源蔵は、そんな思いを必死にこらえる。
だが、そんな苦しみから逃れようと、体をくねらせ、腰をよじらせるその様は、まさに男のものを求めている女の痴態そのものであった。
「どうじゃ、欲しいであろう。男のものが、欲しいであろう」
耳元で囁かれる度に、くノ一としての源蔵の欲望は、その姿をはっきりとさせ、そして一つの方向へと向けさせられる。
「ほ、欲しい……」
ついに、源蔵は認めてしまった。
女体である業の深さを。
途端、源蔵の中で、何かが崩れたような気がした。
それと同時に、新たなものが生まれたような気がした。
だが、それも一瞬のこと。
次から次へと湧き起こる、性への欲求が、源蔵を狂わせる。
「ふふふ。認めたの」
そう呟いて、館主は、忍び装束を持ってきた女へと、指図をするように手を向けた。
「それでは、味わわせてやろう。お主の体が求めているものを。せいぜい、快楽に狂わぬことだな」
館主は、刺激を求めて悶え続ける源蔵を見て、にやりと笑った。

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