『闇に潜む者』〜第三章 "誘導"

作:月華


「ねえ、俺とお話しない?」
「お話って、どこで話をするの?」
「まずは喫茶店でいいんじゃない」
「喫茶店か……それよりも、ラブホテルの方が良いんだけどな」
女の子の口からそう言われて戸惑う男の首に女の腕が巻き付く。そのまま、首を引きつけられるなり、彼の口を彼女の唇が塞ぐ。
人混みの中でのキスが、そう珍しくもない渋谷では、二人の行動に気を止める通行人などいなかった。それを良いことに、有紀は初めて会ったばかりの男と長い時間キスをして、その口中へと媚薬と化した唾液をそそぎ込んでいく。
有紀の目の前で、男の瞳が驚いたものから、うっとりとしたものへと変化していくのを、有紀は満足げに眺めていた。
やがて、唇を離してから、
「ラブホテルの方が良いんだけどな」
同じ言葉を口にした彼女へ、男はぼんやりとした表情のままに、頷いた。
ホテルでの有紀は、様々な痴態を演じた。男を興奮させ、性欲を高ぶらせるために、相手が望む痴態を取っていくことなど、男の性欲を知り尽くしている有紀にとっては簡単なことだった。
昨日、ようやく有紀の体を支配できるようになったものの、本来持っている能力を回復するには、まだまだ精が足りなかった。
そしてこうやって、有紀は何人もの男を誘っては、男の精を集め、さらなる能力を身につけようとしていたのだった。

空も薄暗くなり、ビルの合間から夕日の赤さが見えるようになったころ、
「彼女、俺とどっか行かない」
声を掛けてきた男は、にやけた表情で、有紀を見下ろしている。それが、何かを企んでいる時の表情だと、有紀には一目で分かった。いたずらをしようとする子供の表情が大人には一目で分かるように、有紀にとっては悪事をしようとする人間を見抜くことなどたやすいことだった。
「なあ、一緒に俺の車でドライブしようぜ」
そう言えば女が付いてくるものと思っているのか、『俺の車』を強調して、男は有紀を誘ってくる。
「あたし、門限があるから、家まで送ってくれるんならいいよ」
「マジ、じゃオッケーってことじゃん」
男は無邪気に喜んでから、有紀の手を引っ張って、駐車場まで連れていった。
「さ、乗って」
駐車場から運び出した車を有紀の前に止めてドアを開け、男は有紀を助手席へと誘い入れた。そして、有紀にシートベルトを締めさせると、男は携帯電話を取り出して、メールを送る動作をした。
「何をしているの?」
さっきと同じ、何かを企む表情の男に声をかけるが、男は答えない。やがて、後部座席のドアが開く音がした。
振り返ると、もう一人の男がドアを開けて中に入ろうとしていた。隣に座る男に驚いた様子が無いところを見ると、この男の知り合いなのだろう。
「ねえ、この人、誰なの?」
何かされるとは分かっていたが、とりあえず有紀は、驚いた表情を作って、隣に座る男へと尋ねる。
「俺のダチ。楽しいことするんなら、多い方がいいだろ」
はぐらかすように答える男を見つめる有紀の鼻と口元へ、何かが当てられた。
下を見ると、後ろに座った男が、有紀の口元へハンカチのようなものを当てている。ただのハンカチではなく、薬品臭が感じられる。
そして、ゆっくりと体の自由が利かなくなっていく。
(クロロホルム、というやつか)
有紀の中に潜む者は、有紀が持つ知識を元にしながら、今の状況を冷静に眺めている。睡眠薬で眠らされたとしても、それはあくまでも有紀の体だけの話であって、今の有紀を操っている者にとっては何ら影響はない。体の自由は利かなくなってしまうが、必要になったら有紀の体に働きかけて、いつでも体を動かすことはできるはずだ。
(まあ、まずは様子を見させてもらうか)
そう決め込んだ者は、有紀の体が自由を失うのに任せた。目を閉じているので、視覚からの情報は入ってこないが、それ以外は起きているのと同様に、辺りの様子を感じることができる。
うまくいったことをはしゃぐ、男二人の声が聞こえてから、やがて車が動き出した。そして、30分ぐらい経ったところで車が止まり、有紀の体が、男に抱え上げられた。
一室へと運び込まれ、ベッドの上に横にされてから、男の手で有紀の服が脱がされていく。
全裸にされてベッドに横にされて、しばらくの間があってから、有紀の頬を揺さぶる男の手が感じられた。
「おい、起きろよ」
最初から意識を持っていた有紀だったが、男の手で目が覚めたように、ゆっくりと目を開ける。
「ここ……どこ。
あ、あたし、どうして裸なの?」
いかにも驚いたかのように、声を上げる。はるか昔、有紀に潜む者が、ある女に対して戯れに行った時の情景を思い出しながらの行動だった。どうすれば、男が興奮するかを考えながらの行動だった。
「ちゃんと、写真に撮らせてもらったぜ。俺達のこと誰かにチクったら、あんたの裸が世界中に流れるんだぜ」
一方の男が、片手に持ったデジカメを見せつけてくる。
(脅しに使う便利な道具が出来たものだ)
と、有紀に潜む者は感心しながらも、
「あ、あたしをどうするつもりなの?」
と、おどおどした表情で、男に尋ねる。
「決まってるだろ。俺達を、楽しませてもらうのさ」
言うなり、もう一方の男が素早く服を脱ぎ始めた。すぐさまパンツも脱ぎ捨てると、上を向いた男のものが、隠すことなく有紀の前に姿を現す。
「いやっ」
有紀は、見てはいけないものを見せつけられたかのように、慌てて顔を逸らす。だが、そんな行動は、男の支配欲を高めるだけだった。
ベッドに全裸の男が上がり、有紀の上体を持ち上げて、顎を掴む。
「ほら、ちゃんと見ろよ」
有紀の目の前に、男の剛直がそびえ立つ。シャワーも浴びておらず、蒸れた男臭さが、伝わってくる。
こうやって、男のものを見せつけられるのは、有紀に潜む者には、あまり気持ちの良いことではなかった。だが、支配欲を思い切り高ぶらせた男の精を集めることは、新たな能力獲得に繋がることであるからと、有紀は嫌がる女性の行動を続けていった。
「そんなもの、見せないでっ」
有紀は、悲鳴を上げるように叫ぶ。
「見たくないって言うのか。それじゃあ、見えないようにしてやるよ。
お前のマ○コに、突っ込んでな」
何人もの女に対して言い慣れたように言ってくる男に対して、有紀は肩をすくませて、悲鳴を上げる。
「そんなこと……やだ……」
「そう言ってもよ。俺のチ○コは、もうこんなになっちまってるんだ。何にもしないわけにはいかないよなあ」
下卑た笑いを浮かべて、何かを求めるように、男は言ってくる。
「お願い……あそこには入れないで……代わりに、手でするから」
「そうか。お前がそう言うんだったら、やってもらおうか」
目の前で脈打つものへと、有紀はおずおずと右手をあてがい、そっと包み込む。男の顔を見上げると、続く動作を待ちわびるような顔をして、こちらを見ている。
有紀は、右手が包むものをなぞり上げるように、右手をゆっくりと上下へ動かした。テクニックも何もない、単調な動きだった。有紀に潜む者は、どこをどう触れば、男が感じるかは完全に把握しているものの、あくまでもぎこちなさを演じるのだった。
「もっと、早く擦れ」
ぎこちなくしていたのは、男からの指図を待っていたからだった。自分から積極的に動くよりも、男に指図されるままに動く方が、より男を興奮させていくのだ。
有紀は、手の動きを早めて、男のものを擦っていく。
「擦るだけじゃなくって、先っぽの方を包み込んでくれ……」
言われるままに、有紀は亀頭の部分を、右手で包み込む。陰茎とは違う柔らかさを感じながら、指先と手のひらで、敏感にタッチしていくと、亀頭の割れ目からは、透明な液が噴き出し始めてきた。
「おっと、濡れちまったみたいだから、綺麗にしてくれないかな」
相変わらずつまらないことを言う奴だ、と思いながらも、有紀は戸惑った顔をする。
「綺麗にしてって……」
「言わなくても分かっているだろ。口で綺麗にしてくれってことさ。
やらなかったら、分かっているだろ」
男は、相変わらずデジカメで有紀を写しているもう一方の男を見つめた。
「わ、分かったわ」
請われるままに、有紀は舌を伸ばして亀頭へ触れる。舌先に、しょっぱい粘液と、熱い体温が同時に伝わってくる。
ぺろ、ぺろ、と亀頭の先端を二、三回舐めると、先走りの汁は綺麗に拭き取られた。だが、男はそれでは満足せず、すっかり主導権を握ったつもりで、さらに求めてくる。
「ベロだけじゃなくって、口でも気持ちよくさせてくれよ」
有紀は、拒むことはせずに、舌先を亀頭の先に付けたままに、口を大きく開いて、男のものを口に迎えていった。
口の中に侵入してくる異物を、有紀は唇と舌で迎え入れる。
「おお、いいぜ。ちゃんとベロも使ってくれよ」
有紀の動きは、相変わらず単調だった。亀頭を口の中に含んだままで、亀頭を舐め上げるため、舐め方にむらがでてしまう。それが、男の欲求をさらに高めることとなる。
「おい、もっと口を動かしてくれよ。マ○コに入れられて、腰を振るみたいによ」
つまらない言いぐさだ、と思いつつ、有紀は男の言葉に従って、口を前後へと動かし始めた。上を向いた若い男のものは、口を上下に動かすには不向きなため、どうしてもぎこちないものになってしまうが、それでも男にとっては十分に気持ちの良いものになっていた。
そんな動きがしばらく続いてから、男は有紀の顔を両手で掴んだ。
「出るぞっ。飲めっ」
一方的な欲望に、有紀は辟易としながらも、口の動きを止め、男のものから吐き出される精を待ちかまえた。
うっ、と言う男の溜息があってから、有紀の口中に生臭い粘液が、大量に流し込まれてくる。男の精を集めるためには飲み込む必要があるのだが、有紀は口に含んだままに、男の言葉を待った。
「飲めってのが分からないのかよ」
男の指示に従うようにして、有紀は嫌がる振りをして、男の精を飲み込み、己の力へと変えていった。
有紀の瞳からは、涙がこぼれ出る。精液を飲まされながら涙を流す有紀を、男はさらに興奮を高めながら眺めていた。それが、男の欲望をさらに高めようとする有紀の演技であるとは、単純な男には気づきようもなかった。
「俺、もう我慢できねえぜ」
そう言ってきたのは、さっきまでデジカメで有紀を撮影していた、もう一方の男だった。すでにデジカメは置き捨てて、今では下着だけの姿になっている。
「お前は口に出したんだから、俺はマ○コに出してもらうぜ」
「そ、そんな……話が違うじゃない」
怯えた表情で、有紀は後ずさりをする。
「あれは、こいつとの話だろ。俺は違うのさ」
「そういうことだ。
さ、いいぜ」
有紀に奉仕させていた方の男が、有紀の背後に回り込み、有紀の肩をベッドへ押さえつける。
「いや……や……」
今の有紀にとっては、肩を押さえつける男の腕をはねのけることなどたやすいことなのだが、あくまでも恐怖する女性を演じ続けた。
抵抗をして左右に振っていた両足が、男の腕に抱えられる。
すっかり固くなり、手を添えなくても一方向を向いた男のものが、有紀の入り口に当てられる。
まだ濡れていない部分へと、強引にねじ込まれる。
「痛たた……やだ……止めて」
男が強引に剛直を突き入れてくる度に、有紀の股間からは、肉が擦れていく感触が伝わってくる。
口では痛がっているものの、有紀にとっては苦痛ではなかった。
むしろ、濡れてもいない中へ、無理矢理突っ込んでくる男のことを、ご苦労なことだ、と呆れるように思っていた。
有紀に潜む者であれば、とことん女を嬲(なぶ)り、すっかり濡らした上で、女が求めて来るまで待っていたというのに。
性欲に支配されただけの若い男の行動に、有紀は同情すら感じながら付き合っていくのだった。
「お願い……抜いて……抜いてよ」
懇願する表情を浮かべながらも、有紀は股間に意識を向けて、身体の奥から、女の粘液を流し始めた。
「へへ。こいつ、嫌がっているくせして、濡れてきやがったぜ」
誰のおかげだと思っているのだ、と思いながら、有紀は単調な腰使いに会わせるように、自分からも腰を動かし始めた。
「どうだ。気持ちいいか?」
「あ……や……」
男の問いに、有紀は肯定も否定もせずに、横に首を振る。男は、それが気持ちよがっている意味だと受け取り、さらに興奮を高ぶらせる。有紀の行動の奥には、こういう一方的な男には、曖昧な答えをして、勝手に思い込ませておくのが一番なのだ、という考えがあることなど、この男が気づくはずもない。
今の有紀は、外見こそはそうは見えないが、娼婦以上に男を興奮させる媚態を作っているのだ。
突然、肩に当てられていたもう一人の男の腕が外された。代わって両腕に男の重たい向こうずねが押しつけられ、空いた両手が、有紀の乳房へとおし当てられた。
「いい眺めだぜ」
「そんな……言わないで」
一人の男に両肩を押さえつけられながら乳房を揉まれ、もう一人の男に足を押さえつけられながら、股間に挿入される。女としては屈辱的な姿だったが、有紀に潜む者にとっては、レイプビデオでも見るかのような、客観的な出来事だった。
「ほら、出してやるぜ」
男は、一方的に終わりを告げた。
有紀の腰に、力強い一撃が加えられたかと思うと、その先端から熱いものが溢れだして、有紀の中を満たしていく。
男からそそぎ込まれたものが、有紀の胎内にある力と共鳴し、新たな力を呼び出していく。
精としての質は良くないものの、支配欲に満たされた男の精は、有紀の新たな能力を引き出すには十分だった。

「おい、俺の肩から早く体をどけろ」
有紀の乳房を揉んでいる男に声をかけてから、有紀は男の瞳をじっと見つめた。
すると、さっきまでの行動が嘘のように、男はすぐさま有紀の言葉を聞いて、かしこまったままに体をどけた。
「お前もだ。いつまで俺にのし掛かっているつもりだ」
「はい」
有紀に挿入していた男は、有紀の瞳を見るなり、体を動かした。その表情は、焦点が定まらず、ぼんやりとしている。
そんな二人の変貌を眺めながら、有紀は満足げに笑いを漏らした。
「まったく、お前達には苦労させられたな。まあ、おかげで、新しい能力が身に付いたことだしな……」
有紀の言う新しい能力とは、目の前にいる相手を催眠状態にし、有紀の言うことを聞かせることだ。
「さて、もう一度、精を集めさせてもらおうか。
さっきはぎこちなくしてしまったが、能力が身に付いた礼だ。今度はお前達を気持ちよくさせてやるぞ。
お前達が、枯れるまでな」
有紀の表情は、さっきまでとはまるっきり違っていた。男を支配する女王、という言葉がぴったりな表情だった。
「それぞれというのも面倒だ。二人まとめて相手をしてもらおうか」
言うなり有紀は、四つん這いになった。
「今度は、お前を口で楽しませてやろう」
男を楽しませると言うより、自らが楽しむために、有紀はさっきまで有紀を攻めていた男の立場を入れ替え、股間へ挿入していた男を、口へと導いた。
有紀の口元へ近づけられた男のものへ、有紀は舌先を伸ばす。右手で根本を押さえて固定しながら、亀頭の先端から雁首までを、念入りに、そして的確に刺激していく。舌先だけのピンポイントの刺激から、舌の表面を使ったまとわりつくような刺激まで、あらゆるテクニックを使ってのものだった。
そして、舌先を亀頭に触れたままに唇を亀頭に触れてから、亀頭全体を唇と口内の粘膜で包み込んでいく。
頭上で男が溜息をもらすのを感じながら、有紀は唇で陰茎をなぞり、口内の粘膜で亀頭を刺激し、舌先で鈴口を突き、時には歯で雁首を甘噛みする。
ふと、有紀はもう一方の男のことを思いだした。
そういえば、何も指示を与えていなかったな、と横目で見てみると、ぼんやりとした表情で、二人の様子を見つめている。
これには、有紀も苦笑した。
「ほら。お前には、こちらで楽しませてやるぞ」
男のペニスから口を離してから、有紀は誘うように腰を突き上げ、両足の間にあるものを見せつける。
そこは、さっきまでとは違い、中から吹き出した有紀の粘液ですでに濡れていた。さっき男が出した精液ではない。精液は、有紀の体が全て吸い込んでしまっている。男を迎え入れるための粘液だけが、有紀の体を濡らしているのだった。
誘われるままに、男は股間へとペニスを突き立ててくる。
「ううっ」
男のものが受け口へ埋め込まれ満ち足らせられる気持ちよさに、有紀は声を上げる。男とは違い、体中が痺れるような快感は、何度味わっても飽きることは無かった。
そして、その快感をさらに味わおうと、有紀は腰を動かし、男のものを包み込んでいく。その動きは、口の奉仕と同様、さっきまでのものとはまるっきり違っていた。誘うような腰の動きは、女性のヒップを一層美しく見せる。そして、男のものを包み込む膣の中は、柔らかい襞がうねうねと動き、男が腰を動かさずとも、射精にまで至りそうなほどだった。
その一方で、口の動きも止めていなかった。口と股間のそれぞれが、男を絶頂に向かわせるために艶めかしく動いている。仕組みも動きも違う二つの受け口が、それぞれの方法で男を興奮させていく。
有紀のなすがままに興奮している男二人だったが、最も楽しんでいるのは、有紀に潜む者だった。
女の体を自由に操り、男の体を自由に弄(もてあそ)び、精を放出させる。
有紀の体に潜む者ならではの、快楽だった。
今の有紀にとっては、男二人をいつでも絶頂に導かせることができた。それにも関わらずそうしないのは、二人を同時に絶頂に導かせて、同時に精を吸い取る楽しみを味わおう、という魂胆からだった。
そして、その頃合いが訪れた。
「ううっ」
体中の力が抜けたかのようなうめき声が二人から漏れると同時に、有紀の口中と膣内に、男の精がぶちまけられた。
有紀は、舌先でからめ取りながら喉へと押し込む一方で、膣壁を巻き付けながら子宮へと吸い込んでいく。
やがて、射精が終わると同時に、力つきた男二人は、ベッドへと腰を下ろした。
それとは対照的に、有紀は目を陶然と輝かせながら立ち上がり、ぐったりとした男二人を見下ろした。
「うふふ……美味しかったわよ」
女としての絶頂が残る体の中で、その言葉遣いは自然と女のものになっていた。
「でも、わたしはまだまだ満足していないわ」
そう言った有紀に見つめられた男二人は、ぼんやりとしたままに、のろのろと立ち上がる。
そして、立ち上がったままの有紀の足下へと、跪いていった。
「まだまだ楽しませてもらうぞ。
お前達が、枯れるまで……な」
満たされることのない有紀に潜む者の欲望に対して、二人の人間は全ての精力を捧げるための奉仕を再開したのだった。

第三章<完>

第四章「転移」へ
メインページへ戻る
この作品は、
「月華の本棚」http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/8113/main.html
に掲載されたものです。